第2話 たたかうフィギュア2
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公園の入りいぐちにある小道で、ラディすけと守人は辺りを警戒する。周囲に人は居そうにない。今社会問題になっている、ノラのバトルアーツの仕業かもしれない。
「よう天野ォ」
声の主は、公園の小道の先から現れた。
「あ、鎌瀬君。気をつけて、今攻撃されたんだ。この辺りにノラバトルアーツが居るかも」
「へぇどんな攻撃をされたんだ?」
「銃撃されたんだ」
「こんな風にか?」
再びどこからともなく銃弾が飛んでくる。再びラディすけにかすめる。しかしラディすけは、微動だにせず鎌瀬を見ている。
「鎌瀬君、なんで?」
「天野ォ、お前初心者だろ?」
「今日からバトルアーツデビューだけど」
すると鎌瀬は大きく笑う。
「やろうゼ天野、オレとバトルをよ」
「えー? 今はちょっと無理だよ」
「聞かせてもらったぜ、ソイツはバッテリーが切れそうなんだろ? だからだよ。オメーをラクショーで倒せるからなぁ」
鎌瀬は再び大きく笑う。
「鎌瀬君!」
「無駄だモリト、コイツは何言っても無駄なパターンだ。それによ!」
ラディすけは守人の左手から飛び降り、地面に降りると剣を抜いた。
「こんな程度のやつ、パパッと終わらせてやんよ!」
ラディすけは剣をかまえる。
「でもラディすけ!」
「バッテリーか? ちょうどいいハンデだ」
ラディすけは「一気にたたんでやる!」と、意気込んでいる。しかし相手はスナイパー。姿が見えない。守人は長期戦になりそうな予感がした。鎌瀬もそれを望んでいる。バッテリーの残量が気になって仕方なかった。
「ハハハ! やれハウンドβ! その生意気なバトルアーツをぶっ壊してやれ!」
ラディすけは目を閉じる。そして心を落ち着けて、相手の位置を探る。
左前方、かすかに何かが動く音が聞こえる。
「そこだ!」
カッと目を見開いたラディすけは、左前方の茂みに向かって駆けていく! ラディすけが茂みに入る直前何かが飛び出した!
それはマシンガンを持った、猟犬型のバトルアーツだった。
「やれハウンドβ! 蜂の巣にしてやれ!」
ハウンドβはマシンガンを掃射する。しかしラディすけはそれをハウンドβを中心にへと旋回していくことでかわしていった。
そして弾倉の弾丸を使い切った瞬間を見計らって、ラディすけはハウンドβに飛び込んだ。
「かかったな」
ハウンドβは背部からマシンガンの弾倉ではなくハンドガンを手にし、二発ラディすけに向かって発砲した。
ラディすけは気合一閃、ハウンドβの弾丸を切り払った。
「「「な!」」」
ラディすけ以外の三人は思わず声をあげて驚き、そのスキにラディすけはハウンドβに胴薙ぎを見舞った。
ラディすけの放った強打が当たったハウンドβは吹っ飛び、体力値を満タンの百から一気にゼロにした。
「ヘッ、おとといきやがれ」
そして、ラディすけは剣をしまった。
「テメエ、何が初心者だ。チートしやがって!」
「チートだなんて人聞きの悪い。そんなことしてないよ!」
「うるせえチートヤロウ! 学校中に言いふらしてやるからな!」
「見てたよ」
鎌瀬のの背後から現れたその声の主を、立っている三者は見た。
「鎌瀬くん、見てたよぉ? キミがスッパリ負けるところ」
アッハッハと子気味よく笑いながら現れたのは守人がそこそこ知っている少女だった。
「チート使ってたの見てなかったのかよ!」
「鎌瀬くん、キミが初心者狩りしようとして、逆にやられるところはバッチリ見させてもらったよ」
再び小君良くアッハッハとやる。
「チクショー! 覚えてやがれ!」
鎌瀬はハウンドβを拾い上げると、そのまま走って逃げ去った。
「アッハッハ、これ以上ないカマセ犬っぷりだねえ」
「アンタは?」
ラディすけはその少女を見上げる。
「隣のクラスの坂下ミサさんだよ」
「よろしくね」
ミサはラディすけに手をふる。
「ああ、よろしく」
と言い切る前に、ラディすけは前のめりに倒れた。
「ラディすけ!」
「こりゃあバッテリー切れだねえ」
ミサはアッハッハと笑い、守人はほんのちょっぴりだけ途方に暮れたのだった。
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