第530話 3日目の話。
「イシホさん、最初は俺の指示に従って」
「はいマスター」
「ファイヤーボールを放って、ウシローノさんを近づけるな」
ミチトの言葉を聞くなり「はい。ファイヤーボール」と言ってウシローノにファイヤーボールを放つイシホ。
イシホの放ったファイヤーボールはものすごい速度でウシローノを狙う。
「くっ!?」と言って驚きの声をあげたウシローノは辛うじてかわせたが後一歩で直撃する所だった。
そしてイシホは止まらない。
その後もファイヤーボールを撃ち続ける。
狙いも正確無比でウシローノを狙い続ける。
意地悪い顔のミチトが「ウシローノさん、反撃しないんですか?」と聞くとムキになったウシローノが「くっ!ファイヤーボール!!」と言ってイシホに向けてファイヤーボールを放つ。
「イシホさん、ファイヤーボールをファイヤーボールで迎撃。全て打ち落とせ」
「はいマスター」
そう言ったイシホは正確に容赦なくファイヤーボールを撃ち落とし続ける。
この姿を見ていたイイーヨは「やべえ、イシホすげえ」と漏らす。
横に居たライブが「わかってないよイイーヨ、あのイシホはウシローノの動きを見てから対応してるんだよ」と説明をする。
自分がやるならと言う事を考えたイイーヨが「動きを…見てから?」と言うとイブが「本当、あの皆をいつも見ている目は恐ろしいですよ。多分ウシローノさんの癖をいつも見ていて、手の動きや目の動きから驚異的な予測をしています」と言った。
「イシホさん!次は全部奪術術で消しされ!」
「了解マスター」
ウシローノの放つファイヤーボールを全て消し去ったイシホにミチトは「フリースタイル。好きに動いて圧倒して」と言う。
言われた途端に滑走術で肉薄距離に入るとアイスインパクトでウシローノを殴り飛ばすがウシローノはそれは防ぐ。
だが次のタイミングではイシホはミチトがやるようにアイスボールを放つと更に移動をして再度ウシローノにアイスインパクトを放っていた。
ウシローノは防ぎきれずに訓練場を転がっていた。
「そこまで、ウシローノさん、どうですか?」
「参りました」
「イシホさん、支配力を下げるから戻って」
「…はい」と言ったイシホは普段の表情に戻るとウシローノに駆け寄って「ウシローノ君、大丈夫?」と言いながらウシローノを起こす。
「はい。完敗です。良ければ敗因を教えてください」
敗因と聞かれて少し困った顔のイシホは「マスター?」と聞くとミチトは「言ってあげるといいよ」と言った。
申し訳なさそうな顔のイシホは「私が見ている中ではウシローノ君は見ているものが問題だと思うの」と言う。
「見ているもの?」
「ウシローノ君は自分のファイヤーボールをお姉様やマスターのファイヤーボールと比べていて自分の威力を見ようとしない。
そして戦いの時も自分の動きではなくマスターの動きを意識してるからそこを狙ったわ」
以前ライブとシック邸で話した内容を意識していたが、それに囚われていたウシローノは自分でも思うところがあったのかすぐに「…気をつけます」と言う。
その後、ウシローノ達は2日目は大鍋亭で食事をしてトウテで過ごしながらウインドバイブレーションとアースフィードの練習でイブとライブが山道に用意したアースランスの破壊を練習したりした。
イブも参加をして一度にウシローノ達4人分の仕事をこなした事で、ブレないウシローノはイブの強さに興味を示したがイブからは煙に巻かれていた。
イシホがこっそりとライブに聞くと「私とイシホ達4人が束になってもイブには勝てないと思うよ」と言い「ちなみにマスターの場合、イブと私とイシホ達4人束になっても勝てないから。当然孤児院の子達を含めても勝てないよ」と言った。
第二騎士団は3日目の朝に到着した。
途中、ヘル・レイザーと言うキャスパー派が妨害してきて予定より遅くなったと言いながらレイザーの私兵を確保してやってきて面子は保てた上に術人間145人の移送任務をシックから言い渡されていて一応ディヴァントまで来た意味はあったと言う事になる。
2日間でローサが手を回し、イイーヨ達がシックを送るついでにイブとライブを王都に招待したいと言い出した。
一瞬で殺気を漲らせるミチトにローサが「身持の硬さは信じられない?」と聞くと「…信じていますが何かあったらと思うと」とオヤジミチトの顔で言う。
「ふふふ、やあね。戦闘力ではイブさんとライブさんの方が圧倒的に上でしょ?それに何かあったら転移術で逃げられるから安心なさい。それに大きくなって洋服が揃っていないのだからこの機会に甘えちゃいなさいな。ドデモの2人は奢ってくれるそうよ?」
この言葉に相変わらずとにかく金が無いと思っているミチトは「許可しましょう!」と言った。
ちなみに当人達と言えば「え!お洋服買ってくれるんですか?ありがとうございます!」「いいの?貰うけどさ」と言ってついていくと言う。
ミチトはそんなイブとライブに「一応20歳と19歳だけどハメを外さないようにね」と言うと嬉しそうなライブが「わかってるよ心配性マスターだなぁ」と言って抱き着くとイブが「平気です!」と言った。
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