自世界短編集【カクヨムweb小説短編賞2021応募作品】
ロベルト
物語ラズ
大阪のとある地。
1ルームの安アパートで私は慣れたように目を覚ます。
07:45
毎朝起きて必ず最初に見る数字。
間のコロンが無機質に時間を主張している。
私は負けじと無機質に冷飯を安物の電子レンジに放り込みダイヤルを2分に合わせる。
飯が食い頃に温まるまでに備え付けのIHヒーターにフライパンを乗せ温度を強火の1000に設定。
生卵を1つフライパンに割り入れ菜箸で掻き回してやる。
スクランブルエッグが出来上がる前に電子レンジからタッパに入った2つの飯を取り出し丸型の小さな弁当箱に移す。朝飯用に1つは残してだ。
飯を移したタイミングでスクランブルエッグも出来上がり、弁当箱の米の上に適当に乗せてしまう。ここまででおよそ5分くらい。
次にフライパンにそのまま水を入れウインナーを2本茹でる。
茹でてる間に弁当箱に梅干しを1つ、昆布の佃煮を箸1つかみ程入れておく。
ウインナーが茹で上がるまでまだもう少し掛かりそうなので朝飯も用意してしまおう。
毎朝食うのは納豆。右に13回、左にも13回混ぜる。昔何かのアニメで見たやり方でどうも印象に残っていて癖付いている。
白飯に納豆をのたっと乗せて掻き込む。
朝飯に時間をかけるのは好きじゃ無いが1口25回は噛む事を心掛けて頭の電源を起こす。
良く噛む事は頭を働かすのに良いし健康にも良いと子供の頃小学校の廊下に貼られていた保健新聞に書かれていた。
大人になって恰幅が良くなりすぎてからこの事を思い出しもう手遅れかも知れないがせめてもの抵抗だ。
さっさと朝飯を平らげフライパンの中で機嫌良く沸いているウインナーを弁当箱に取り上げ片付けもそのまましてしまおう。
1人で暮らしていると洗い物が都度面倒をかけてくる。
洗い物はすぐやる。これは人が1人暮らしをする時、私が必ず与える助言だ。
これを1度逃がすともう底無し沼に片足を突っ込んだようなものである。
後でやろう。帰ってきたらやろう。晩飯食ったらやろう。どこまでも深みに嵌まっていく。
私はそうはいかない。
ここまでして時計は08:00
朝の1仕事を8時までに終わらせる。
これが私のルーティーンだ。
後は仕事に行くまでの用意をしながらゆっくりと。
コーヒーをすすりながら読みかけの本を読み進めたり、スマートフォンのメモ帳に思い付いた1文を書いたり。
そんな事をしている間にそろそろ出勤だ。
なんのドラマも起こらない駄作の1ページ目。
言い換えれば安寧である。
喜ぶべき事である。
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