第13話:演習の大和

 1942年9月1日13:00快晴、ガーナカタルの敗北から一週間が経過していた、事後処理と今後の対応に追われている上層部を余所に、四州宿根泊地の大和は連日厳しい訓練に明け暮れていた。


「艦橋より毛利機へ、本艦速力第二戦速30ノット、進路そのまま、南南西からの風に注意して着艦して下さい」

 大和艦橋の航空管制員の席に座り通信機を扱っているのは『藤崎 小鳥ことり』であった。


 現在大和は8月中旬に合流した新型の『特型戦闘機』(通称・特戦)の離着艦訓練に勤しんでいる、数名の候補の中から適性を見出された藤崎は艦橋通信員から航空管制員へと配置換えをされていた。


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『了解した、毛利機、是より着艦する!』

 大和後方を飛行するのは零戦によく似た戦闘機であった、ただ零戦より僅かに全長が短く、機体下部左右に何故か空気取り込み口エアインテークの様な機構が備わっている。


 大和の後部甲板は通常の戦艦と比べれば開けた造りになっているが、其れでも航空機が着艦出来る程の長さは無い、にも関わらず其の『特型戦闘機』は見る見る速度と高度を下げ大和に近づいて来る。 


 此のままでは失速し墜落すると思われたその時、機体下部の機構から推進機のノズルが現れ機体直下に向けて噴射を始める。


 すると機体は失速する事も墜落する事も無くゆっくりと下降し[やまと]の後部甲板への着艦に成功する。


 この新型機は所謂垂直離着陸(艦)機であり、海軍艦政本部第六技研が開発した『瑞雲ずいうん零型』試作戦闘機である。


 元々の発案は水偵の代替としての案であったが、八刀神景光率いる第六技研は是を戦闘機として送り出して来た、しかし矢張りと言うか当然の事ながら費用対効果コスト度外視の造りである為、量産には至っておらず、[やまと]他、一部の艦艇に配備されるに留まっている。  


 ただ、以前の試作機・・・・・・の様に動力が蒼燐核動力炉で無いだけマシであると言えた……。


「よーし、毛利機を速やかに格納しろ、直ぐに上杉機が着艦して来るぞっ!!」

 責任者と思われる男性作業員が叫ぶと、数名の作業員が機敏に動き、鉄人(小型)が後部エレベーターまで毛利機を牽引して行く。


 程なくしてもう一機の瑞雲が着艦すると再度鉄人が瑞雲をエレベーターまで牽引して行き、再度上がって来たエレベーターには別の瑞雲が乗せられている、それを鉄人が指向性カタパルトの所まで牽引すると瑞雲はリフトに乗せられせり上がりカタパルトに固定された。


『艦橋より立花機へ、本艦速力強速20ノット、進路良好、発艦許可下りました、どうぞ!』

「瑞雲六号機、立花一飛曹、行きますっ!」

 年若い声の搭乗員が叫んだ直後、ブザーが鳴り回転灯が点滅すると、瑞雲は一気に前に押し出され、そのまま射出される、直後ロケットノズルから強い光を放ち、機体は力強く大空へと舞い上がる、その勢いのまま立花機は急上昇と急降下、捻り込み等の空戦機動を一通りこなし始めた。


 特型戦闘機・瑞雲は最高時速900kmを叩き出し20㎜機関砲2門を備える、航続距離は900kmだが増槽タンクを搭載すると1900kmの飛行が可能である、搭乗員は2名であり、後部座席の搭乗員は垂直離着陸時の補助や観測員、そしていざ・・と言う時の予備操縦士としての役割を担っている。


 その外観は零戦に似ているが、下部機構の重量と防御重視の設計から運動性能は零戦とは比べるべくも無い、しかしその加速性能は零戦に勝るとも劣らず、F4Fとの撃墜対被撃墜比率キルレシオは零戦と同等か上回ると想定されている。  


 しかし惜しむらくは製造費用コストが非常に高い上、高度な工業技術が必要である為生産速度は極めて遅く、量産機としては到底運用出来ない事であった。


「こちら立花機、機体に異常無し、着艦許可願います!」

『大和より立花機へ、現在本艦速力第二戦速30ノット、進路そのまま、南南西の風に注意して着艦して下さい』

「了解しました、立花機、是より着艦します」

 立花は大和の真後ろに機体を付け水平を保ちながら先程の毛利機と同じ機動を取る、速度と高度を落としながら見る見る大和に近づく立花機、更に100程手前で足下のペダルを強く踏み急減速を始めると同時に後部座席の搭乗員が素早く左右の機器を操作する、すると瑞雲の下部機構からロケットノズルが現れ真下に向く。


「垂直噴進機稼働良し! 操作を立花に移譲する!」

「垂直噴進機操作移譲了解、着艦体勢に入る!」

 後部座席の搭乗員の言葉を受けて立花は返答すると、直ぐ様手足を機敏に動かし瑞雲の機体を細かく操作する、すると立花機は安定した体勢のままゆっくりと車輪を出し、そのまま甲板に着艦する。


「着艦完了、主翼の折り畳み開始、後を整備員に委ねます」

『了解です、お疲れ様でした』

 立花が機器に付いている蓋を開けスイッチを押すと主翼が45度程の角度に折れる、其れを確認後航空管制に報告すると無線から藤崎の声が聞こえるが、それと同時に立花機は鉄人によって艦尾エレベータに牽引されて行く。


「流石だな蒼士そうし、隊の中でお前が断トツだな! 流石……おっと、すまん……」

「……別に良いよ、でも、僕が一番上手いって事は無いと思う、毛利隊長や、斉藤さんの方がずっと……」

「まぁ、確かにあの二人も上手いと思うけど、お前の方が絶対上だって!」

「……」

 下降するエレベータ上で会話する2人、謙虚と言うよりは卑屈にも思える自信無さ気な立花に後部座席の青年は飛行帽を脱ぎながら励ます、しかし立花は飛行帽を脱がず俯いたままであった。 


 やがてエレベーターが格納庫に着くと艦内に待機していた整備員と鉄人が走り寄り手際良く機体をエレベーターから移動させる、所定の位置まで移動された機体に整備員がタラップを設置し搭乗員二人が機体から降りた事を確認すると整備員が素早く機体の確認を始めていた。


 10程の高さのある格納庫内には、他に計5機の瑞雲が格納されており個別に整備を受けている、奥にあるドリンクバーの様な休憩所では10名の瑞雲搭乗員が会話を弾ませていた。


「よっ! 二人共お疲れさん!」

 その中の一人が立花達に歩み寄り気さくに声を掛けて来た、[やまと]航空隊隊長『毛利もうり 元政もとまさ』海軍中尉である、柔らかな雰囲気を持つ青年で、24歳と若いが翠玉湾攻撃から戦闘に参加している熟練搭乗員であり、冷静沈着で指揮能力も高い優秀な士官でも有る。


「 「お疲れ様です、毛利隊長!」 」

 毛利に声を掛けられた二人は姿勢を正し敬礼する。


「あー……そんなにかしこまらなくて良いって、気を張る時は張って、緩める時は緩める、其れが出来ないと戦場では生き残れないぞ?」

 そう言ってニヤリと笑みを浮かべ毛利は二人にラムネの瓶を渡す。


「あ、ありがとうございます!」

「ありがとうございます……」

「おう! んで立花、そろそろ帽子位脱いだらどうだ?」

 格納庫内は空調が効いているが、先程まで炎天下の中訓練をしていたのである、暑く無い筈はないが、毛利の問い掛けに立花は俯いたままであった。


「いえ、僕……自分はこのままで良いです……」

「……そうか、まぁ無理に脱げとは言わんが ……ふむ、この後は艦砲射撃演習だったな、轟音響く中での反省会も効率が悪いな、よし、一時解散、反省会は19:30ひときゅうさんまるに行う事とする、それまで各自休息をとっておけ」

 毛利が満面の笑みで手を叩きそう発言すると、紳士然とした二人の青年が無言で立ち上がり姿勢を正した後毛利に敬礼し「 「失礼致します」 」と声を揃えて発言し立ち去る。


 その直後、服装を乱した青年が手に持っていたラムネを一気飲みした後、乱暴に瓶を台に置くと、おもむろに立ち上がり、やや乱暴に敬礼した後、一言も発せず無頼漢の様な歩き方で立ち去りその後を女性の様に美しい少年が慌てて追う。


 そして立花を鋭い目つきで睨み付け毛利には姿勢を正し敬礼した後、毅然とした動作で立ち去る女性と、その後をオロオロとしながら付いて行く女性、そしてバツが悪そうに敬礼した後その場を後にする立花とその副操縦士の青年、後には毛利他3名が残された。


「ふぅ、立花と斎藤は相変わらず、か……」

 ラムネの瓶を片手に毛利はそう呟き、軽く溜息を付く。


「まぁ仕方が無い! 立花が悪い訳じゃ無いが、斎藤の事情を考えると頭ごなしに咎めるのも難しい、いずれ分かり合えると期待するしかあるまいよ、カカカッ!!」

 そう言ってラムネをラッパ飲みする声もがたい・・・も大きい青年は23歳の瑞雲操縦士『武田たけだ 信悟しんご』上等飛曹である。


「おい武田、少し楽天的過ぎるぞ、苦労するのは隊長なんだからな?」

 そう言い咎めるのは同じく23歳の『児玉こだま 武彦たけひこ』上等飛曹、毛利機の副操縦士の、余り特徴の無い青年である。

  

「まぁまぁまぁ! 自分等はまだ集まったばかり何だし武田上飛曹の言う事も一理有りますぜ? 悩むのはもうちょい様子見てからでも良いんじゃ無いですかい?」

 少し軽薄な小物感を醸し出しているのは22歳の『陣内じんない 明則あきのり』一等飛曹、武田機の副操縦士で細身の出っ歯が何となく下っ端感が拭えない胡散臭い青年である。  


「……全ては斎藤次第か、もう少し様子を見るかな……」

 毛利は思案顔のままそう呟き、手に持っていたラムネを飲み干す。


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 艦内の自室へと戻った立花は休息を取る為に手袋や上着などを脱ぎ始める、この時ようやく飛行帽を脱ぐが、その中から現れたのは茶色掛かった頭髪だった、よく見ると顔つきも少し日輪人離れしており、明らかに純粋な日輪人では無かった。


 実はこの『立花たちばな 蒼士そうし』は米国人の父親と日輪人の母親の間に生まれた混結児ハーフであった。


 父親は米国のかなり裕福な家庭の次男であり、戦争前は父親の操縦する飛行機で日米を往復する生活をしていた、しかし1931年の天洲事変から日輪を取り巻く状況が悪化し、更に1937年に日煌戦争が勃発すると立花蒼士の父親は妻子を日輪に置き去りにして帰国してしまった。


 そして日米開戦後、米国人の血を引く蒼士とその姉、そして母親は立花本家を含む周囲から間諜スパイ疑惑を持たれ命の危機すらあった。


 その為蒼士は自身と家族の潔白を証明する為に若干15歳で海軍航空隊に志願し、その卓越した操縦技術から特型戦闘機瑞雲の操縦士に抜擢された。


 立花と同乗していた青年は名を『島津しまづ 義光よしみつ』と言い、蒼士の3歳年上の兄代わりの幼馴染で、立花本家と島津家が主従の関係にある事から蒼士の監視役の任を受けている、ただ義光本人は蒼士を弟の様に思っており、むしろ蒼士を守る為に監視役を引き受けたのであった。 


 暑苦しい装備一式から解放された立花は簡易ベッドに倒れるように寝そべり、そのまま大の字になって天井を見据える。


 普通は士官以下は2~6人の相部屋が基本であるが、戦闘機搭乗員だけは個室が用意されている、外見が日輪人離れしている立花にとって心安らげる1人部屋は非常にありがたかった。


 立花に対してあからさまに敵意を剥き出しにするのは斎藤だけであるが、他の隊員が友好的かと言えばそうではない、流石に隊長の毛利や幼馴染の島津は好意的に接してくれるが、他の隊員や整備班の者達は明らかに不信感を持っている。


 「母さん……姉さん……」

 立花が掠れた声で呟き目を閉じ休もうとした瞬間、腹に響く振動と重圧な砲声に一瞬目を開ける立花であったが、最初の頃こそ慣れない振動と轟音に飛び起きて身構えたものだが、半月も経てば慣れてしまい、直ぐに瞼を閉じる。


 早朝5時から8時間訓練に従事した身体は休息を求め、大和の砲声とその振動を子守唄と揺り籠代わりに眠りに入って行った。


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「標的艦摂津せっつ本艦左舷ひだりげん、距離20000、方位2.9.2で捕捉しました!」

「相対速度同等、相対距離0,2ノットで離れています!」

 電探レーダー要員の男性乗員2名が 電探レーダー情報を良く通る声で報告する、東郷は正面を見据えたままやがて口を開く。


「左舷対艦戦闘用意! 目標、標的艦|摂津、主砲射撃準備! 速度進路現状を維持!」

「主砲射撃準備、速度進路現状を維持了解ヨーソロ! 艦橋から射撃指揮所へ、目標距離20000、方位2.9.2の標的艦、主砲射撃準備!!」

『こちら射撃指揮所、目標、距離20000、方位2.9.2の標的艦、主砲射撃準備了解ヨーソロ!!』

 東郷の指示に戦術長の正宗は復唱した後、戦闘指揮所に指示を出す、すると大和の主砲が軽快なモーター音と共に20km先の標的艦に向けられる、大和の主砲の180度旋回速度は僅か10秒であり砲塔内の乗員にはかなりの負荷が掛かる為、主砲要員は皆がたい・・・の良い男性ばかりとなっている。


 また、大和の主砲は高性能に自動化されており、砲弾、炸薬装填、尾栓開閉までを自動装填装置が行う為、最低限必要な人員は主砲塔内の12名だけで有るが、不測の事態に備えて砲塔内に24名、下部構造部に60名(鉄人装備10名)の人員を配置している、これは万が一自動装填装置が故障若しくは破損した場合の対処要員である。


「主砲発射準備完了、何時でも撃てます!」

「うむ、目標標的艦摂津、主砲4基全門、撃ち方初めっ!!」

 東郷の号令と共に大和の64㎝4基12門が一斉に火を噴くと周囲に凄まじい爆風と轟音が響き渡る、そして僅か十数秒後には摂津の周囲に巨大な水柱が上がる、が、その距離は摂津からかなり離れており残念ながら命中弾は出なかった様だ。


 しかし砲撃を続ける内に着弾距離は縮まり、やがて数発の水柱の直後、凄まじい轟音と共に摂津の艦体が衝撃で傾いた。


 大和は現在30ノットで航行しながら20km先で同航する標的艦摂津に向けて砲撃している、無論実弾では無く模擬弾ではあるが、それでも命中すれば轟音が響き摂津は激しく揺動する、その様子を海防艦から観測している宿根防衛艦隊司令の顔が引きつっていた、摂津は遠隔で操作されている為艦内は無人であるから、司令が心配しているのは宿根基地の財産である標的艦摂津の身だろう。


 大和の主砲は最大装薬で秒速2000で砲弾を射撃し、仰角45度で実に250km以上の射程距離を誇る、その強大なエネルギーが叩き付けられれば模擬弾と言えど艦本体が損傷する可能性は十二分にある為、宿根の関係者は気が気では無いのだろう。


 因みに250kmとは『最大射程』であり『有効射程』では無い、250km離れた目標に無誘導弾を当てる等不可能である、その為、各国の戦艦の想定交戦距離は20km前後とされている事が多く、装甲も其れを基準に施されている。

 

 然し八刀神景光による大和の想定交戦距離は8km前後となっている、基本的に想定交戦距離内に置いて戦艦の装甲は自艦の主砲に耐えられる様設計されている、即ち大和の装甲は8000の距離からの64cm砲の砲撃に耐えられると言う事を意味している、当然ながらその防御力は破格である。


 この世界に置いても、無誘導弾を数十キロ先の動く標的・・・・に当てる事は至難の業である、其のため大和の設計思想は、戦艦の目的が動く標的・・・・に無誘導弾を当てる事で有るならば安全を確保した上で・・・・・・・・・当て易い距離・・・・・・に近づき撃てば良い・・・・・・・・・、と言う非常に単純シンプルな思考に基づくものであった、然し其れを力技蒼燐核動力炉で実現する辺り、正に天才となんとか・・・・は紙一重、と言って差支え無いだろう……。


 この世界の戦艦クラスの砲撃は最低でも秒速900を超えるが、艦の速度と加速力、そして旋回反応速度は我々の世界とは比較にならない、その為20km以遠の砲撃等まず当たらず、一部の軍関係者が提唱した『超ロングレンジ戦法』を八刀神景光は鼻で笑い現実的な火砲の交戦距離は15km程度であると断言している。


 閑話休題。


 6時間程の射撃演習を終えた大和は砲身を正面に戻し、停泊地である宿根沖10km地点に移動を開始していた、艦内では乗員が各所確認点検を始めている、大和航空隊の面々もゾロゾロと格納庫の一角に有る搭乗員待機所に集まり反省会を始めていた。  


 艦橋内では各乗員共、気を緩ませる事無く自分の業務に集中している、東郷は報告書を読み、正宗は砲術長と何やら話し込んでいる。


「ん? 対空電探に反応……!? 艦長! 本艦1時方向より航空機が接近中、現在の距離25000、速度は200キロ前後と思われます!」 

「ふむ? 1時方向と言う事は宿根基地からか……? 速度的には民間のプロペラ式複葉機か……哨戒中の艦船と航空機に知らせ! 第二種対空戦闘用意!」

 電探レーダー要員の報告を受け東郷は僅かに思案した後、指示を出した、藤崎と正宗は機敏に動き、各所に連絡をする。


 すると上部建造物から機敏な動作で数十人の乗員が飛び出し、三連装機銃に駆け込み起動させる。


 現在大和は宿根沖より南に100km程の距離を航行している、完全に日輪の勢力圏内であるが、今は戦時下で在る、不明機を前にのほほんとして居られる筈は無かった。


「えっ!? か、艦長! ふ、不明機からと思われる通信が入っています! 【我、艦政本部第六技研所長、八刀神景光也、貴艦への着艦許可を求む】との事です!」

 通信員である如月明日香から発せられたその言葉に、徐に立ち上がり反応したのは正宗であった、その表情は怒りを露わにし拳を握り締めている。


 程なくして大和乗員達の視界に現れたのは民間の複葉機等では無かった、主翼と呼べる翼は無く、機体上部の回転翼で揚力を得る航空機、即ち回転翼機ヘリコプターであった。


「な、何だありゃぁ! 翼が無いのに飛んでる!?」

 この時代、まだヘリコプターは実用化には至っていない、故に戸高が目を剥くのも仕方が無いと言えた。


「ふぅ、生みの親のお出ましか……航空管制、着艦を許可すると伝えてくれたまえ」

「了解しました、誘導します!」

 東郷は僅かに溜息を付き帽子を少し深く被り直す、八刀神景光の人柄を良く知らない東郷であるが、厄介事が舞い降りて来た事は直感していた……。

  

 

  

 



 ~~登場兵器解説~~



◆特型戦闘機・瑞雲零型


 最大速度:900㌔   


 加速性能:10秒(0キロ~最大速到達時間) 


 防御性能:C 


 搭乗員:2名 


 武装:20㎜機関砲×2


 動力:YG-2型蒼燐発動機


 推進機:単発・YG-2型乙式蒼燐噴進機


 航続距離:900km+1000km(増漕)


 特性:指向性通信装置 / 垂直離着陸装置


 概要:戦闘機の名を借りた偵察機、と称した戦闘機である、艦政本部の要望通り零戦をベースに・・・・・・・設計した結果・・・・・・の産物であり、蒼燐推進の零戦を水上機にと言うのは形状的に無理難題で有る為、水上偵察機の代替・・・・・・・・と言う条件はクリアしていると言える、所謂垂直離着陸ブイトール機で有り、故にその複雑且つ難解な構造から八刀神財閥所有の工場でしか生産出来ず生産性が極めて悪い事が致命的な欠点である、その形状は当然零戦に似ているが、下部構造の配置と形状を加味するとSU27やミグ29に通じるモノが有る。

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