ノンフィクション・実話に異世界転生を投稿する神経
水原麻以
ノンフィクション・実話に異世界転生を投稿する神経
苦々しく思っている人が少なくないと思うので敢えて声をあげる。
単刀直入に言おう。ジャンル違いの投稿である。
特定作品の批判、非難は禁止されているので敢えて名は上げない。
いや、今後とも起こりうる可能性として後世のため記しておく。
異世界に転生してどうこうの類がどうして「ノンフィクション・実話」なのか。
明らかに場違いである。このような行為の何が困るかというと
「ランキングの順位がめちゃくちゃになる」
もし悪意ある人間が自作品を「何が何でもランクインしたい」と考えたらどうなるか。ライバルの少ないジャンルに投稿すればいい。しかしフィクションは競争相手が多い。異世界転生にむりやりミステリーやホラーを盛り込んだところで焼け石に水だ。
絶対的に勝利するためにはどうすればいい?
「ノンフィクション・実話」に投稿すればいいのだ。原理的に異世界転生の競争相手はいない。
カクヨムの規約を読むがギリ、ジャンルの分類は作者の裁量に任されている。
そしてジャンル違いの投稿は禁止されてない。
当たり前だ。パソコンやスマホに不慣れな高齢者や障碍者がいる。悪意のない過失を冤罪されたらたまったもんではない。
そして世の中には様々な疾患に苦しむ人がいる。
投稿者本人が異世界に転生して「こちら側」へ出戻ったと本気で信じている可能性があるのだ。
ここから先はケースワーカーや障害者自立支援法の範囲になるのでとやかくはいわない。
利用者家族や施設職員あるいは医師がリハビリの一環として小説投稿を指せているかもしれないのだ。
しかし、しかし、それならばなおのことジャンルを守って欲しいのだ。
考えて欲しい。ランキングの上位が異世界転生や仮想ゲームうんぬんで独占されたらどうなるか。
ノンフィクションや実話の話題作を読みたいと思っている人間は困るのではないか。
もちろん、異世界転生と作者のブログを交えた『制作裏話』『楽屋落ち』スタイルの作品ならノンフィクション・実話が良いだろう。
例示しよう。
有名な富野由悠季監督の著作に「イデオン・ライナーノート」というエッセイがある。番組放映中の舞台裏を家庭事情も交えて面白おかしく語っている。そこには脚本の一部が抜粋されている。監督自身の生みの苦しみが参考になるのだ。
ところが残念なことにランキング上位にある異世界転生を読んでみたところ、何処にも作者の実生活ないし21世紀日本の現実に触れる話題はなく、ただただフィクションとして書かれている節がある。通読したわけではないので私の見落としかも知れぬ。
しかし、それならばなおのこと「フィクション風エッセイです」と記しておく製造物責任があるのではないだろうか。
しつこいようだが、フィクションだか実話だかわからぬ作品というのはある。
「メタフィクション」だ。
筒井康隆の有名な作品に朝のガスパールというのがある。新聞小説だが、当時のネット掲示板を巻き込んで大炎上した。作品をこき下ろした相手を作者は小説に登場させたのだ。
ノンフィクション・実話がそういうのばかり溢れても困るが節度ある人間なら匙加減を知っているだろう。
だが、ノンフィクション・実話にランクインする異世界転生にそのような配慮があるかと期待したが、いまだに私は善意を発見できないでいる。
ノンフィクション・実話に異世界転生を投稿する神経 水原麻以 @maimizuhara
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