目が覚めたら変な村の近くにいて村の巫女さんに拾って貰った話
月浜咲
プロローグ
「わぁ……ここが大都会、仙台……!」
朝の八時。
駅西口から出ると、建物がブワッと視界を埋め尽くしました。
全てがテレビや本で見たような高いビルで、建物にはカラフルな看板やらおっきなテレビやらが張り付いています。
自分の居た田舎な村ではまずお目にかかれないゴミゴミしさ。
「ぺですとりあんでっき? よく分からないけど広い駅前ですねー……ん?」
視線を感じて振り返ると、通勤時間らしい駅内を行き交う人々にチラチラ視線を送られていました。
……そんなに、変な格好してますかねぇ?
お母さんのお古で、個人的に気に入ってるのに。
普段、着物ばかりだったから、個人的にも違和感が凄いですが。
『生まれて初めて』村の外を出たんで、流行なんて分かりません。
「【あの方】にこの格好、笑われたりしますかね……」
それでも、構いません。
今はただ、あの方に会いたい。
その為に、初めて村を出たのです。
目を閉じる。
意識を集中させると……ポゥと、光の道筋がどこかへ伸びていく。どこか……その先にはあの方が居る。これも、あの方が教えてくれた力の使い方です。
意外にも、彼は近い。どうやら街中にいる様子。
「待っていて下さい。待っていなくても、必ず、恩を返しに辿り着きますから」
天気は青空です。
こんな青空を見るのも何年ぶりでしょう。
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