異世界転生したら...

異世界とやらにどうやらオレは転生したらしい

しかし、全然チートじゃなかった。

顔もイケメンじゃなく、そのまんまだし、身長も中1の入学時の身体測定のまんまだった。


そうなのだ、オレは中1から1ミリも身長が伸びていない。中1ではなかなか悪くない身長だった、だが

それでオレの伸びは停止してしまった。


現実的なオレは、異世界転生なんて、あるはずもない世迷言だと常日頃からくだらねーとバカにしていながらも、TVで異世界転生モノを観ていた。

異世界転生? は? ありえねーただのバカじゃんw、そう思っていたが、知らず知らずのうちに自分がもし異世界転生して、好き放題チートで無双できるならば、どんな世界がいいかなぁと漠然と考えてしまうこともあった。


そうなると、やはり先ず第一に身体的な悩みを克服したいとなった。


迷うことなく、先ずは

顔→イケメン

体型→痩せ型

身長→180超え


酒池肉林とまではいかなくても、とにかくモテる、いや、モテてモテてモテまくる、そんな旧ジョニーズみたいなチャラい人生を送りたかった。


しかし、まあ、異世界転生などあるはずもないのだから、バカげた妄想に過ぎないのだが、実は異世界転生をバカにしている自分は、潜在意識ではその可能性を信じ、心底希求しているのかもしれなかった。


そんなことを、ある時は恋人がほしくて悶々としながら、またある時は、みじめな自分がイヤになって自暴自棄になりながら、それでも生きて行かなければならないなんのかわりばえもしない、つまらなくてくだらない日常生活を漫然と送っていた。


これがオレの人生なのだ、とりあえずは大病を患うこともなく健康に生きてこられたことに感謝しよう、その感謝の気持ちが、きっとオレを救ってくれるだろう、もしかしたなら、これから素敵な出会いがオレを待っているかもしれない。


そうなんだ、オレ自身が明るい未来を信じなければ、いったい誰が明るい未来を信じるというんだ、オレ自身が、明るい未来を信じ、明るい未来を引き寄せなければならない。


孤立無援だ、ハゲだ、デブだ、チビだと、ネガティブなヤイバで、自分を傷つけていたら、それこそ明るい未来がやってくるはずもないのだ。


そう考えたなら、なんか気が楽になった。身体的な悩みは、どうしようもないのだし、なるべく考えないようにした。


すると、どうだろう、世界がパッと輝きだして言うに言われないような、多幸感に包まれるという状態に日に何度か遭遇するようになっていった。


そして。


やがてオレは、なんということだろう。

異世界転生したのだった。


冒頭に書いたように、まったく現実世界のオレとなにひとつ変わりはない自分に落胆し、途方に暮れた。


しかし、ひとつだけピンポイントで変化していたのに気づいたのは、明け方のことだった。


オレは、泣きながら知らぬ間に眠ってしまったのだ。しかし、その偉大な、というか、巨大な存在に気づいて、目を剥いた。


その威風堂々とした立派な姿は、まさに神々しいほどで、オレは、思わず手を合わせて拝んでしまうのだった。


賢明な諸君なら、もうお気づきだろう。


そう、オレに与えられたチートは、黒光りする巨大なオチンチンだった。


30センチはあるであろう、その威容なペニスはみなぎる自身のパワーで、ゆさゆさと妖しく揺れ動いていた。


合掌🙏





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ラップ部屋☆駐車場に停めたアルファードに2時間放置してしまったピカチュウとユクシーのぬいぐるみは、ぐったりしてしまい、うんともすんとも言わなくなった トリヤマケイ @asaiem

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説