拾八の城
「ほらほら見てみ、あそこがさっきうちらが待ち合わせした
私はその指に従って身を乗り出してその場所を見た。
昨日までは近くで見ていたお城を今日は上空から見下ろしている。
「あの場所から
と本丸から大手門をなぞるように私は指でその経路をなぞった。
「見える距離にあるから遠くないように感じても結構歩いてきたんだね。」
私はその
「私達が待ち合わせた場所から歴史博物館だと、おおよそ10回程度左右に曲がらなければいけなかったからその分距離感を感じる。お城にとってはその距離感を感じさせることが重要になってくるの。」
「それぞれの門から天守にたどり着くためのゲームだと考えれば想像しやすいかもしれないわ。ゴールの天守に行くためには左右折れ曲がった迷路のような構造を素早くクリアしなければならない、天守側も容易にたどり着かれないように巧妙に罠を仕掛けて対策するの。」
ゲーム、虎口先輩にそう言われるとよく古臭い施設なんかに置かれている板を傾けてボールを穴に落とす迷路を想像してしまって威容をあるお城が可愛く見えてしまった。
「大手門から天守に行くために10回も折れ曲がる必要があるんですね。そう言えばお城を歩いている時結構歩かされている気分になったのもそれが原因なんですね。」
私は頭の中で大阪城の迷路を何度も上下左右に傾けてボールを動かす想像をしながらそう言った。
「正確には大手門からだと10回ではないけども、大阪城は外壁とかが焼けてしまって無いから、郭ごとの間取りがより広く感じて距離感をあまり感じないのと、特に桜門から大手門にかけてはあまり傾斜を感じさせないような作りになっているから、余計に距離感を感じないかもしれないわね。」
「うち、あんまり運動してないのに元気やし少し日に焼けてるやろ。その理由はお城を歩いとるからやで。」
訪ちゃんが自分を指差した。
そうか、直射日光を浴びながらウォーキングで
そう言われると昨日もかなり歩いたおかげでよく寝れたような気がする。
「そう言えば訪ちゃんは少し陽に焼けてるのに虎口先輩はあまり陽に焼けてないような。」
私は訪ちゃんと先輩の肌を交互に見る。
「私はUVカットのクリームを塗っているの、日光が強い日は日傘も差すわ。訪はあまり気にしないけど肌のケアは重要よ。」
虎口先輩は少しだけ自慢気にそう言った。
「そんなケアしたかって誰に見せるわけでもないし、あゆみ姉はホンマに豆やなぁ。」
訪ちゃんは面倒くさそうにそう言った。
「いつか誰かに見せる時がきっと来るわ。それに
と訪ちゃんを
皮膚癌のリスクか・・・私はそうきくと少し震えて、私も日傘は差すかどうか分からないけどクリームは塗ろうと思った。
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