琴乃家の日常 1st Season

小糸匠

第1話 新学期に事件!!!

ここは琴乃開発株式会社。全国でITに挑む人へ役立つ商品を開発している会社である。


これは、琴乃開発の社長、琴乃昭仁ことのあきひとの子供達が色々な出来事を解決していくお話。


僕は琴乃匠ことのたくみ、15歳。

発達障害という障害があり、できることと出来ないことの差が激しい。

でも、双子の妹でチアリーダーの愛央あおとさらに下の愛華あいか、呼びやすいようにあいちゃんと僕らは呼んでいる。その2人の支えがあって、楽しい生活を送っている。社長、副社長の両親がいる5人家族だ。

そして今日は、僕と愛央の新学期。今日から高校生活だ!と思っていたが・・・



今の時刻は朝6時。妹の愛央が起きてきた。


あお「たっくん!おはよう♪」


愛央は中学時代、公立では珍しかったチア部に所属していた。寝癖を直し、すぐに私服に着替える愛央の顔には、どこか緊張している。でも可愛らしい愛央の姿があった。


あお「たっくん、今日の朝飯なに?」

たく「今日はね、目玉焼き」


でも俺は失敗していた。目玉焼きなんか初めてだったのだ。父親に教えてもらったとはいえ、愛央とあいちゃんに食べさせられるくらいの出来栄えではないくらい下手だったのだ。


寝癖を直して髪を縛った愛央の姿はちょっと違った。いつもはポニーテール。時々ツインテールを作るのに、今日はハーフアップを作っていた。

愛央っぽくない姿に僕は驚いたが、それを見た愛央はこう言った。


あお「チアを習っていたときね、ハーフアップ作れなかったの。今日は入学式だし、ちょっと普段とは違うことをやってみたくてね!」


なるほど、とは思った。そして続けて愛央は


あお「今日から高校生だから、2人で頑張って高校生活しよっ!」


そう。愛央と俺は双子。勉強が苦手なのも一緒。だから、近くの高校に行くのが限界だった。高校の近くにはあいちゃんの保育園がある。つまり今日からようやく3人で一緒に行けるのだ。


6時30分に愛央があいちゃんとポンポンを持って戻ってきた。ちょうど朝ごはんが作り終わったところだった。


あお「たっくん、今日は高校生活1日目だから気合い入れて応援するね!」


チアをやっていた名残で、愛央の私服はノースリーブのブラウスにスカートというのが多かった。愛央はズボンを持っていなかったからだ。冬はインナーを着たりしていて寒さをしのいでいたらしいが、愛央にとっては、自分がチアをやることで俺の笑顔を見たいらしいのだ。そしてポンポンを持った愛央は可愛く応援を始める。


あお「フレ!フレ!たっくん!フレ!フレ!わたし!」


こんな短い応援だけれども、俺は可愛さに惚れて笑顔を作ってしまう。ポンポンを振る愛央が可愛すぎるのだ。


たく「ありがと。朝飯食べて準備しよっ」


俺はこういった。懐中時計の針は朝7時を指していたからだ。


朝ごはんを食べ終わると、制服に着替えた愛央が俺のところへ来た。スマホの画面を見せてこんなことを言ってきたのだ。


あお「たっくーん、こんなのあるんだけど」


俺はそれを見て思わず口に出してしまった。


たく「動画編集コンテスト!?」

あお「たっくん、行けるんじゃない?」

たく「いやいやいや、いくら動画制作やってるからと言ってそんなの出ても賞取れないって!」


俺は動画制作が趣味だ。だけど制服に着替え終わってこんなの出されたら困るわって思いつつ、入学式のために高校へ行く。


あお「あいちゃん!いくよ!」

あい「うん!」


こんなこと言いながら俺はモヤモヤしていた。

そう、さっきの動画編集コンテストのことだ。


保育園についた。と同時にあいちゃんがぐずりだす。


あい「うわぁぁぁん!!!!」

先生「匠くんと愛央ちゃん、学校大丈夫?」

たく「ちょっとごめんなさい失礼しますね。あいちゃんどうしたの?怖い?不安?にーにーがいないとやだ?」

あい「にーにーいてほしいの」

たく「にーにーとねーねーはお昼までには来てあげるから。頑張って行ってきな」

あお「必ず来るからね!」

あい「うん」


なんとか保育園に送っていけた。あいちゃんの保育園はお兄ちゃんお姉ちゃんが送り迎えするときは遊べたりする。そしてこのときまだ登校予定の1時間前だが、とりあえず高校が保育園の近くにあるので高校へ行く。


高校についた瞬間、みんなが俺らを待っていたかのように拍手で迎えていた。私立方南高校しりつほうなんこうこう


先生「初めまして。琴乃兄妹」

たく「あ、初めまして。琴乃匠と申します。本日からよろしくお願い致します。」

あお「初めまして!琴乃愛央です!よろしくおねがいします!」

たく「それで、何が起きてるんです?」

先生「君たちは特待生でね、全校生徒が君たちを出迎えてくれたんだ。案内するよ」

たく「ありがとうございます。ねぇ、俺らが」

あお「特待生なの!?やったね!たっくん!」


愛央は特待生が初めてだった。当然、俺もだ。ただこんなに喜ぶことか?と思っていた。

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