第4話 He's Gone

《登場人物》

[アーサー・ラス・クルーガー]

この物語の主人公で恋人を助けるために帝国と戦う騎士となる

[トライト・ウーズ]

主人公の幼馴染で相棒。帝国の将軍の致命傷を受けてしまった

[ハーリスト・ライラ・フィオナ]

ウーズの恋人。今現在ウーズに付き添っている

[ドロイト・ティジ・スターク]

アーサー達が所属する一番隊の隊長を若くして務める実力派剣士

[クラーローズ・ホワイト]

女性の精鋭だけが入隊を許されている2番隊の隊長を務めている智将

[シャル・クランス]

穿煌の使い手にしてドロイトの元相棒で貴族出身の兵士

[ニール・ガンテ・ワイエット]

アーサー達に剣を教えた恩師

[ファーリー・クザ]

女性ながらに最強の12番隊隊長を務める武闘派


〜アーサーが只管に騒いで走っていったことをミラから聞いたドロイトは不足の事態を危惧して足早にアーサーを探したが見つからなかった〜

アーサー:ウーズがやられたのもリーナが連れさられてしまったのだってそうだ

     敵のあの頭の可笑しな科学者を仕留め損ねたのだって......俺が弱いせいだ

     俺はまだまだだった......強くならなきゃ......大切なもん一つも守れない!

ドロイト:全くあいついないぞ......まさか!?いや......

〜一方教会ではミラの尽力を尽くして行われた集中治療のお陰でウーズは一命を取り留め、ゆっくりとその瞼を開けたのだった〜

ウーズ:うっ......あれ? ここは?

フィオナ:ドロイト! (泣きながら)ほんと心配したんだからぁ......

ウーズ:何の為に強くなったと思ってるんだよ。僕が君を置いていく訳ないだろ?

フィオナ:うん!(泣)ほんとによかったぁ

ウーズ:......そう云えば、アーサーは?

フィオナ:昨晩までいたんだけどね。ふとした瞬間に凄い勢いで出て行ったの。

ウーズ:あいつ、まさか......!!(勢いよく立ち上がる)痛ッッてぇ、くそ。

フィオナ:だめだよ、無茶しちゃ。お医者さんも安静にしないとだめだって。

ウーズ:でも、あいつには僕が、僕がいなきゃだめなんだよ!

フィオナ:わかった。でもあと1日だけ寝てて。私もお医者さんに掛け合ってみる

ウーズ:ありがとう......僕頼りないなぁ。はぁ

フィオナ:ううん。そんな事ない。ウーズは立派だよ、そこが好きなの。

〜アーサーは再び自分を見つめ直し、あてもなく放浪して只管に剣を磨いていた。そしてある夜、一心不乱に剣を振り只々己の弱さを卑下していた〜

アーサー:まだだ。まだ早く振れる、もっと! もっと!!

ニール:(後ろから突如声を掛ける)剣筋が乱れておるな。アーサーよ。

アーサー:し、師匠!

ニール:こんな所で一人こんな時間に何をしているんだ。

〜アーサーは入隊してからの事を全て赤裸々に話した。そして今現在に至るまでの成り行きも必死に涙ながらに話した。そしてその間ニールは下を向いて深く何度も頷いた〜

ニール:そうか。ウーズが......か。

アーサー:(泣きながら)もう一度俺に、げぇんをおじえでぐだざい! 

     このままだど、俺は......ずよぐなれないんです! おねがいじまず!

ニール:あの日俺は全てを教えた。一通りだ。普通の敵に、周りに負けないように、

    押し潰れてしまわないように。だが世の中にはイレギュラーというものがあ

    る。それは技にも同じだ、それを教えてやろう。ついて来い。

アーサー:はい! お願いします!!

ニール:この技は言わば禁忌だ。お前なら一回で体に応える。

アーサー:それぐらいの覚悟はハナからできてます

ニール:ならいい、今から教えるのは昔ある騎士が敵将を一撃で沈めた技だ。

    名を『mort arrive』世には絶燐剣、最恐の技として知られる。

アーサー:俺は意地でもその技を会得してヤツと戦います

ニール:では、始めようか。前回の比にならん努力が必要だがな

〜アーサは1ヶ月間寝ずにただひたすらに修行と向き合い手の皮は何度も剥けて流血を繰り返しズタズタになり目の下には大量のクマと泥がついていた。だが血に汗かいていたが今一度コツを掴めずにいた〜

ニール:もう一度初めからだ。先ず肩幅より1.5倍ほど足の間隔を空けて天に矛先を     

    向ける。そして強く握って気を入れ込んで叩き斬る。気の大きさによって威  

    力が上がる。今のままでは岩一つ砕けるかどうかだ。

アーサー:あ、ある昔の騎士はどれほどの威力を......?

ニール:大陸を割ったのだ、たった一振りでな。いずれ世界を壊しかねないとされ、

    次第にこの一撃は禁忌となったのだ。

〜アーサーは毎日文字通り血の滲む努力を重ねた末に何かを感受していった

その一方でドロイトもさらなる強さを求めてある場所を訪れていた〜

ドロイト:夜分遅くに失礼します。師匠。

クザ:全くだ、でもって......お前再びこの門を叩いたってことはそういうことか。

ドロイト:はい、新たな力を、奥義を伝授願いたいのです。

クザ:まずはその薄汚れたツラ洗って着替えてきな、話はそれからだ。

ドロイト:(少しキョどったように)着替えて来ましたが......

クザ:見た目だけはあらかたマシになったね。じゃあ見せてもらおうか。

ドロイト:何を、でしょうか?

クザ:決まっているだろう。お前が飛び出して以来どこで何をして何を見て来たのか

   その全てを今この目で確認してやる。全力で来な。

ドロイト:では遠慮なくいきますねッ‼︎

〜模擬刀であったため、また、実力さを自身のみで痛感していたからこそ己の今出せる全力を行使したが、結果刃先すら触れることもできずに、体には打ち付けられたあざだけが痛々しく残った〜

ドロイト:まだ......やれます。俺は、まだ!

クザ:もういい。十分だ。己の惨めさが分かっただろう。

ドロイト:だとしても! 何としてでも、何度でも、向かいますよ!

クザ:そうかい、そこまでして守りたいもんがあんたにもやっと......

ドロイト:えっ......?

クザ:いいだろう、奥義を教えてやる。但し一つだけ条件がある。

ドロイト:条件?

クザ:戦うことは人を守ることに非ず、人を生かすためである。胸に刻め。

ドロイト:はい!

〜ドロイトも精神と感情を一つにして極地を見出しついに技は成った

そしてウーズの怪我も治り、動乱をかけた三人が再び戦場に立った〜

クランス:この1ヶ月間どこで何してた?

ドロイト:師のとこで奥義会得をしていた。

クランス:おまっ抜け駆けか? まぁいい、まともな面になってやがるな、お前も例      

     の新人二人も。

ドロイト:あぁ。当然だ。

ホワイト:さてこれより先日失敗に終わった殲帝戦線を再び行う。

     尚、三度の失敗はないよう、此度の総大将はこの私、ホワイトが務める。

     では出陣と致しましょう。みなさん「無事生きて帰りなさい」

ドロイト:独特な檄だな。

クランス:だが、見ろ。兵士が皆沸き立っている。

ドロイト:すごい熱気だ......圧倒されるようだ

クランス:味方に気圧されるでない

ドロイト:無論だ。それより各自自身の隊を取りまとめねばならない、いくぞ

クランス:いよいよ出番だ。

〜一方でウーズとアーサーも再会を迎えていた。ウーズは覚悟により一段と引き締まり、アーサー自身もあの日の面影は消え、一段と凛々しくなっていた〜

ウーズ:アーサー!

アーサー:大丈夫なのか?傷......

ウーズ:まだしばしば痛むが大丈夫だ。心配かけたな

アーサー:全くだよ、馬鹿野郎が。

ウーズ:悪いな。でも俺は強くなったよ

アーサー:俺も強くなった。決して......もう二度と......大切なものを失わないように

ウーズ:そうだな。大切なものは自身で守らないとな

アーサー:待ってろ。ダグラス......

~全体の士気と共にアーサーも昂っていた。アーサーの、国と恋人をかけた逆襲が今幕を開ける~











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