第1話

「人!!人はどこだ!!」

興味ありげに草原にある道を伝いながら歩いていく少年がいる。

彼の名前は帆能小路(ホノウ・コウジ)


お!町が見えたあそこなら当たり前に人がいるだろう


コウジは町に着くとどんな町なのかどんな人たちがいるのかに驚きながらあちこち見て回る。


「うん!初めは町の入り口が一番人通りが多いと思っていたがどうやらこの店通りが人が多そうだ」


この男ブツクサ…と独り言を言い始めたぞ商売でも始める気か


「ここが良さそうだ」とひと声言うと指で地面を差し『routeルート』と唱えるとほのかな緑色の30cm程の幅の光が指先を追うようにその道を灯していく。


町行く人は何をしてるのかとチラチラと見ていくがその緑色の光には気づいていないらしくそのまま歩いていく。


「ここまでか!」

どうやら線を描き終えたらしい。


「どうしたアンちゃん何か落ちてるんかい?」

と気になった店主に声をかけられる。


「いや何でもないですよ!」


何だこの光の線は?まあ見てれば分かるさ。


その緑の光の線の上を町の人が歩いていくのを小路は邪魔をしないように見ている。

線の上を歩くとうっすらと光の玉がきらきらと浮かび上がってくる。


小路は空中にあるデジタルなウィンドウを覗き込むのだった。

「うっしゃ!」と今更ながら小声で呟く


緑の線の上を人が歩くとデジタルなウィンドウに書いてある経験値らしきポイントが増えていく



この調子ならどんどん増えそうだな…!しかしなんだろうこのスキル人を歩かせるだけだなんて!レベルが上がるとなんかあるのか?

それにしてもやっぱり光の道が30cmしかないなんてやりづらいよな!この道幅2m~3mはあるぞその中の30cmだものな一人分の幅しかないよ



「そうだ!歩いてきたところに書き直そう」


緑の道を消去しちょうど歩いてきたちょい肌が色黒で金髪の男性の通路に緑の道を作り始める


通り終わった後ウィンドウを覗いてみると

「でもこのやり方だとあと2回ぐらいしか出来ないな魔力が尽きてしまう」


そして小路のウィンドウには

ーーーーーーーーーー

帆能小路 


魔力 15/31


通歩Pt 15pt

ーーーーーーーーーー


という感じで表示されている。


「やっぱり、一歩分が1ptなんだよなー」とさっきから通行人等を見ながらブツクサ言ってる小路を二人ぐらいの売り場の屋台主が見ている。そのうちの一人が話しかけてきた。


「おいそこの!」

「俺ですか?」

「そうだ!さっきから何やってるかしらねえがこれでも食うか?」

ちょっと眉間にシワ寄せた屋台の兄さんが鶏肉の焼いた物をくれるみたいだ

「本当ですかありがとうございます!実はお腹すいていたんですよ」

通歩スキルに夢中になっててお腹すいてたの忘れてたよ

「そうかそうか!それでよ兄ちゃんさっきからここで通る人みてるが何してるんだ」

「え…いや…こいう町来たの初めてで珍しくて見てただけですよ」オナカスイタ…モグモグ

「こいう町がか?ああ旅人かい」と小路の珍しい服をみながら聞かれる

「…そうです」

「なるほどな てっきり屋台でも始めるのかと思ったぜ」

「どういうことですか?」

「屋台開く時は人通りが多いとこを選ぶもんだろ?」

「確かに!」


「じゃあここが一番人通りが多いんですか?」

屋台の兄さん頭掻きながら「んーどうなんだろうな!店開くならここが多いかな」

「ん?そうなんですか!」

「そういや泊まる場所はもう決めてあるんか?」

「あ…それが…銭なしで…」

「銭なしか少しぐらい持ってるんだろう?」

「それがまったくの銭なしで」

「……泊めてやろうか?」

「本当ですかありがとうございます!」



その屋台の兄さんはラウドという名前らしい自分の名前も紹介した。

ラウドさんが店が終わるまで緑の道を延長したりして待っていた時あることを思いつく。


「あ!そうか!複数の道を作れるのなら横並びにして緑の道幅を広げればいいんだ!」


また指を立てながら何か言ってる小路を見て(ホント大丈夫かアイツ)って目でチラチラと見られる。


3本目を作ろうとした時

ーーーーーーーーーーーーーー


ルートは2本までしか作れません


ーーーーーーーーーーーーーーー


とウィンドウに表示される

「あーマジかよ!!」

「ん??待てよ??延長は出来るんだよな?だったらこうすれば」


まずは1本目と2本目を延長で繋ぐそれをさらに延長させ曲がらせ幅の大きな緑道を作ろうとしたがまずいな魔力が尽きそうだ。


そんなこんなでラウドさんの家にやって来た。白っぽい感じでしっかりした家だった。

「パパおかえりなさい!!」

「ただいまアルカ!!」ギュー

「子供がいるのか聞いてねえ!」ボソ


「ん?パパこの人だれ?かわったフク~!」

ママさんも出てきて「あらお客さん?」

「あ…小路ですよろしく!」

「ああ旅人だ!何か銭がないらしくてな困ってたんで連れてきた」

「まあ!そうだったのね!いらっしゃいコウジくん!」




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