第6話 続・総合ミーティング!

私から最近気になることが

ありますので一言いいですか?

ここは指名制のシステムなのでいわばどのお客様からでも指名を貰えば

誰でもお席に着けるし指名料もいただけるし売上げとしてお給料にも反映されることになります。

ここまでわかりますよね?

このシステムは私達の努力結果とお客様との信頼関係で公平であるべきですが

ある一部の人から苦情の声があがっています。

聞くところによるとあることないことを言ってお客様が指名しないように妨害している人がいると・・・。

(だんだん面白くなってきたぁ。

でもそんな悪口言ってる人いるのかな?まさか言ってる本人だったりして・・・。)

『ま、ここでは名前を伏せておきますがそんな卑怯なまねは自分の首を絞めることにもなるので止めていただきたいとお伝えします!』

奈々ママは視線をずっと美涙さんへ向けながら話していたことを

ここにいる総勢50人程の人はその張本人が誰なのか気づいてしまった。

(まあ、美涙さんが・・・。そんなぁー。私、絶対違うと思う。これは奈々ママの陰謀だわ!だって美涙さんそんな事をする人ではないしする必要もないと思う)

店内は奈々ママの爆弾発言で騒然となった。

『みんな静かにしてくれ!』と鬼塚が大声をあげた。

『今、奈々ママが話されたようなことはあってはならない事だから一人一人

自分の言葉には気をつけるように!

今日はこれで総合ミーティングを終わりにします』

と店長が珍しく慌てた声でこの場を収拾しようとしていた。

(みんなが美涙さんを気にしてる。どうするのかな?)

『すみません店長!お聞きしたいことがあります!』

『えっ。はい!由佳か、なんだ!』

『えーと先程奈々ママから誰かが悪口をいってるという

お話ですがそれって証拠とかあるのですか?』

(やったぁ!美涙さんの一番の友達の由佳さん登場!

由佳さんは地元の小料理屋の一人娘でいずれは女将になるべく

修業のためにクラブで働いていた。義理人情に厚くかなり気も強い)

『それは・・・。』さすが鬼店長も口ごもった。

『私がお答えするわ。この話しはかなり信憑性のある人から直接聞いた

話しだから間違いないわよ』

と少し興奮気味に奈々ママが答えた。

『じゃ、その聞いた人ってどなたですか!』

(なんだか雲行きが怪しくなってきたぁ。由佳さんも負けないなぁ。

一発触発の緊張感。ドラマみたい)

『ここであなたに答える義務はないと思うわ!』

と半分悲鳴をあげそうな勢いて奈々ママが答えた。

『まあまあ、二人とも落ちついて、事実の究明は

私たちに任せてもらって今日のところは終わりにしましょう。

そろそろお客様もいらっしゃる時間ですから。

みなさん今月も宜しくお願いしますね』と麗子ママが止めた。

このミーティング中、美涙さんは無表情のままだった。


その日は奈々ママから宣戦布告のような発言でお店中でその噂でもちきりになった。

夜の世界は弱肉強食のように隙を見せるとお店から追い出されることも多い。

美涙さんにとって今日の出来事はこれから起こる悲劇の序曲に過ぎなかった。 

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