男の子「フゥーッハッハァ!伝説の勇者の剣をコンビニの駐車場で拾ったぞ!!」
IGANTF
第一話「コンビニの駐車場で拾ったのは、伝説の聖剣でした」
男の子「みて」
女の子「なんでそんな変なもの拾うの」
男の子「カッコイイから。ちゃんと柄にひらがなで『でんせつ』って書いてあるし」
女の子「そんな伝説の剣があってたまるか。落とし物は交番とかに届ければ?」
男の子「こんな鋭利な刃物もって交番行ったら、お巡りさん誤解しちゃうでしょ?」
女の子「知らないから……。じゃあ、コンビニの店員さんに届ければ」
男の子「こんな鋭利な刃物持ってコンビニ入ったら、店員さん通報しちゃうでしょ?」
女の子「めんどくさいなぁ……。じゃあ、そのへんにまた置いておこうよ。私、予備校あるし、もう帰ろ?」
男の子「まって。こんな鋭利な刃物ひとりで持ち歩くのこわい。ひとりにしないで?」
女の子「やだ気持ち悪いってば!それ捨てないなら、ついてこないで」
魔族「クックック……ついに……ついに見つけたぞ……ゆうしゃ!!」
男の子「えっ」
女の子「知り合い?」
魔族「貴様を追って魔界から地上を
男の子「えっ。ひとちがいです。あの、ひとちがいです」
女の子「必死」
男の子「そりゃね!!!いきなり面と向かって殺害予告されりゃ、必死さね!!!」
魔族「隙アリッ!!死ねェッゆうしゃァァァ!!!」
男の子「うわああああああああああああ!!!?」
魔族「ガハァァッ!?ゴブッ!ウボァ……!!」
男の子「あっ、やべっ、そんなつもり無かったのに、良い感じに刺さっちゃったよ、伝説のゆうしゃの剣」
魔族「ゆうしゃァッ……貴様……ッ!オノレェェェ……カハッ――!?」
魔族「」チーン
女の子「なんか殺した!人じゃ無いけど、なんか殺した!!なんか殺し!!!」
男の子「ちがう!!わざとじゃ無い!!そもそも、正当防衛でしょ、これ!?」
女の子「知らないよ!!ああ、もう、マジでどうすんの!?ヤバイって……!」
男の子「いや、でも……この剣はやっぱり……」
女の子「ほら、行こって!はやく!そんな剣はやく捨てて、行くよって……!」
男の子「イーーヤァーーーー!!コレ、もってかえるぅぅぅぅ!!」
老賢者「ゆうしゃ殿ォ!!」
女の子「ほらぁ!!クズクズしてるから、またなんか来ちゃったじゃん!!(怒)」
男の子「でも味方っぽいから大丈夫じゃね?」
老賢者「探しましたぞ、ゆうしゃ殿ォ!こんなところにおられたとは!」
男の子「ごめんなさい。はるばるどっかから来て頂いたところ、たいへん申し訳無いのですが、ひとちがいなんですよねぇ」
老賢者「ハッハッハ!お戯れを!」
女の子「ほんとにね」
老賢者「いくら老いぼれようとも、まさか、ゆうしゃ殿のお顔まで忘れはいたしませぬぞ!」
男の子「そうでも無さそうなので、もの忘れ外来とか行きましょう?」
女の子「しーっ」
老賢者「むむむ。相変わらず頑固ですなぁ、ゆうしゃ殿は……。よかろう、それでは、この“賢者の石”で証明いたしましょうぞ!」
女の子「ねぇ、あれほしい。買って?」
男の子「次の誕生日で良い?」
老賢者「さあ、ゆうしゃ殿ォ!賢者の石に触れ、選ばれし勇者の輝きをこの老いぼれに見せてくだされ!」
男の子「触るのはいいですけど、光ったりしませんよ?ゆうしゃじゃないし」
女の子「あ、私も触っていいですか?」
老賢者「……」
男の子「……ねっ?光んないでしょう?」
老賢者「お前は誰だあああああああああああああ!!!!」
男の子「ああああああああああああああああああ!?」
老賢者「むぐぅぅぅぅっ!?不……不覚ッ……!まさか、この、ワシ……が……」
男の子「あっ」
老賢者「」チーン
女の子「いやぁぁぁぁぁ!?今度は本当に人殺しぃぃぃぃぃ!」
男の子「違うから!さっきからこの人たちが、勝手に、自分から良い感じに刺さってくるだけだから!!」
女の子「……へっ。今日のことは黙っててやるから、今から私がすることも見逃してくれぃ?」
男の子「泥棒はだめだよ。賢者の石は無理かもしれないけど、誕生日に好きなの買ってあげるから、返してあげて?」
女の子「じゃあ、誕生日まで我慢するから、そっちも、その剣捨てて。はやく一緒に帰ろ」
男の子「それはちょっと」
女の子「なんでよ!そんなの持ってたら、また変なの来ちゃうかもしれないかもしれないでしょ!」
ライバル「みーつけた♪」
女の子「な?言っただろ?」
男の子「実はちょっとだけ期待してた」
ライバル「ゆうちゃん、探したんだぜぇ?ひょっとして、俺っちのこと避けてんじゃねーの??」
男の子「お初にお目にかかりますが、今後は距離をおかせていただこうと思います」
ライバル「まー、いいや。俺っちが何言いてぇのか、分かるよなぁ?ゆうちゃんよぉ」
女の子「おぅおぅ。俺っちと勝負しろやぁ、ゆうちゃんよぉ」
ライバル「ぴんぽぉーん♪あったりぃー♪」
男の子「貴様、どちらの味方だ」
女の子「ごめん。なんかもう楽しくなってきて」
ライバル「そーいうわけでぇ!手加減抜きで行かせてもらうぜぇッ!!ゆうちゃんよォッ!!」
男の子「やめて!来ないで!来ちゃダメェェェ!!」
ライバル「かはッ!?俺が……ゆうちゃんに……?負け……た……だと……」
ライバル「」チーン
男の子「もうっ!だから言ったでしょ!?」
女の子「おまいう」
男の子「……いいか?君が何と言おうと、俺は絶対に剣を捨てないぞ。これは
女の子「……どうして?どうして、分かってもらえないの?私は、私はただ、あなたに……生きて欲しくて……っ」
男の子「まだ死ぬと決まった訳じゃ無い。少しでも希望が残っているのなら、僕はこの剣と共に戦い続ける。世界を守るために」
男の子「そして……君を守るために」
女の子「トゥンク……!」
男の子「だから、どうか僕を信じて欲しい。そして、どうかこのまま、一緒に旅を続けて欲しい」
女の子「私の家の前までな?」
悪の貴公子「ブラァーボォー♪」パチパチパチ
男の子「やっぱり来たね」
女の子「しかもめっちゃ空気読んだ人選で来たね」
悪の貴公子「実に、実に美しい!散りゆく運命の者が愛する者と愛を語らい、想いを告げ、そして無残に散っていく様ほど、美しく、愉快なものは無い。実に愉悦だ!」
男の子「は?好きとか言ってねーし?は?バッカじゃねーの?は??」
女の子「ヘタレ」
悪の貴公子「さあ、宴を始めようではないか!グラスに人間どもの血を注ぎ、壁に臓物を飾るのだ!!」
男の子「お戯れを(笑)」
女の子「ノッてきたな」
悪の貴公子「イッツ・ショウターイム!!」
悪の貴公子「」チーン
男の子「地獄へ、ご招タァーイム」
女の子「だれうま」
伝説の剣「愚か者ッ!!先ほどから黙っていれば、つまらぬモノばかり切り捨ておってからに!!」
男の子「キェェェェェェアァァァァァァ!!」
女の子「シャァベッタァァァァァァァ!!」
伝説の剣「アイムラビニッ☆」
男の子「意外とノリ良いですね」
伝説の剣「……」
女の子「ほーら、そういうパリピみたいなイジり方するから、拗ねちゃったじゃん」
男の子「ごめんてー」
勇者「君たち!」
男の子「まーた来たよ」
勇者「このあたりに、剣が落ちていなかったか?なんかいいかんじの伝説のゆうしゃの剣なんだが」
女の子「説明がめっちゃアバウトで草生える」
男の子「それでいて適確っていうね」
勇者「うわ!?なんだこれは!?知り合いがたくさんしんでる!!」
女の子「知り合いが死んでるのに、そんなんでいいの?」
男の子「きっと語彙力があまり無い人なんだよ」
勇者「ハッ!?そ、それはボクの剣じゃないか!どうして、君がそれを!」
男の子「えっ、あっ、いや、これは、その」
女の子「ほら、持ち主現れたんだから、早く返しなよ。これ以上、面倒なことになっても、私知らないからね?」
伝説の剣「あ……あ……」
女の子「ん?」
伝説の剣「ゆ……ゆうしゃが……二人いる……だと……?」
女の子「は?バカじゃないの」
伝説の剣「なに?この」カチッ
藤村D「wwwwwwwwwww」
男の子「なんだこのおっさん(驚愕)」
勇者「何を言っているんだ、聖剣アンタレス!彼は勇者じゃない!勇者はボクだ!」
男の子「いいや!ゆうしゃはボクだアントニオ!偽物に騙されるな!!」
女の子「ここでまさかの熱い手のひら返し。でも聖剣の名前間違ってるっぽいよ」
勇者「さあ、アンタレス!ボクと一緒に魔王を倒し、世界の平和と秩序を取り戻しに行くんだ!」
男の子「いいや、アントニオ!君は俺と一緒に自撮りをインスタとYouTubeにうpして、世界中のみんなからチヤホヤされるんだ!」
女の子「いいなー私もー」
伝説の剣「う、ううっ……!果たして、どちらが私に課せられた真の使命なのだ……!?」
女の子「インスタじゃね?(適当)」
男の子「そうだよ(便乗)」
伝説の剣「あ。やっぱそうかな??」
勇者「騙されるなアンタレス!!」
伝説の剣「黙れ!!今日から私は、聖剣系ユーチューバーのアントニオだッ!!」
男の子「wwwwwwwww」
女の子「wwwwwwwww」
伝説の剣「wwwwwwwwww」
藤村D「wwwwwwwwwwww」
勇者「クソッ!まさかとは思うが、君たちは、ボクから聖剣を奪うため仕向けられた、魔族なのか……?」
女の子「魔族っぽい人いたよね。どれだっけ」
伝説の剣「これ?」
男の子「それは認知症のおじいさん」
勇者「ハッ!?大賢者ハルバドス!?そんな!うわああああ!!」
女の子「最初に気付け」
伝説の剣「ほら、アイツ、意外とバカだからさ(笑)」
藤村D「wwwwwwwwwwww」
男の子「ねぇ、この人誰?ねぇ誰か」
勇者「おのれ魔族め、よくも……!!ウオオオオオオオオ!!!!」
女の子「来るよ!」
男の子「アンドリアノフ!」
女の子「アントニオじゃなかったの」
伝説の剣「まかせろー!!」
女の子「めっちゃ空気読めるいい奴」
美女「やめて!!」
勇者「姫ッ!?」
美女「もう……やめて……」
男の子「誰?」
女の子「姫だって。どっかの国のお姫様じゃない?」
勇者「いや、彼女は自分をどっかの国のお姫様だと思い込んでいる精神異常者なんだ」
女の子「超絶辛辣で草生える」
美女「もう私のために争うのはやめて!!」
伝説の剣「アイツ、マジで一回ぶっ殺さないとダメだわ」
男の子「ステイ、ステイッ」
美女「勇者……終わったの。もう戦いは終わったのよ」
勇者「いいや、まだだッ!!ボクの戦いは、まだ終わってなんかいない!」
女の子「ねぇ、なにこれ」
伝説の剣「いつもの」
美女「ああ、勇者……また、行ってしまうのね……」
勇者「すまない……ボクの戦いは、まだ始まったばかりなんだ……いつか、いつか必ず君を迎えに行くから!」
美女「ゆうしゃ!まって!勇者ァーーーッ!!」
男の子「二人とも、めちゃくちゃ足速くね?」
女の子「特にゆうしゃの人、ガチのランニングフォームだったね」
伝説の剣「アイツ、表では上手いこと言いながら、裏で姫のことめっちゃ嫌がってるからな」
男の子「さすが勇者」
女の子「世渡り上手」
伝説の剣「でも、口臭いよ?」
男の子「じゃあ、今度会ったら、しつこく『ミンティアいる?』って声かけてあげよう」
勇者「ゼェ、ハァ!ゼェ、ハァ!」
男の子「ミンティアいる?」
勇者「そんなものより、聖剣アンタレスを返してもらおうか!」
男の子「うん。ミンティアいる?」
伝説の剣「お前、正直私のこと忘れて戻って来ただろ」
勇者「いや……うん。ほんとうにごめん」
男の子「ミンティアいる?」
伝説の剣「まぁいいよ」
女の子「ほんといい奴」
姫「ゆうしゃああああああああ!!!」
勇者「さらばだ!!不本意だが、しばし聖剣アンタレスを預けるぞ!忌々しい魔族よ
!!いらねーって言ってんだろ!(半ギレ」
男の子「ミンティアいる?」
伝説の剣「二度と来るな。アイツ、マジで絶交だわ」
男の子「グループLINEからも弾き出そう」
女の子「え?いたっけ」
男の子「こわ」
伝説の剣「こわ」
女の子「いや、五万歩譲って元々知り合いだったとしても、アイツ絶対スマホとか持ってねーし」
伝説の剣「あ。アイツからLINEきたわ。スルーしよ」
男の子「いや『ミンティアいる?』って送っといて。あとLINE教えて」
伝説の剣「フルフルでいい?」
女の子「ケータイの普及率」
男の子「そういえば、予備校間に合う?」
女の子「やべ!本当にもう帰んなきゃ」
伝説の剣「ごめんね、なんか」
女の子「ううん、私こそごめんね。今度またゆっくり」
男の子「じゃあ、俺らこっちだから」
伝説の剣「じゃあねー」
女の子「……いいの?」
男の子「何が?」
女の子「伝説の剣、持って帰るんじゃなかったの?」
男の子「いいんだ。もういいのさ。だって……」
――明日また、学校で会えるから――
完
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