第13章:デビル・サーティーン

悪魔のプロレスリング:除霊編

どうでも良い事で飯を喰っても仕方がない。

悪魔は幽霊とか呪いとか大嫌いだが、それをやるのがお仕事と言うモノ・・・

というワケで、本日は事故物件の除霊に、お待たせしました凄いヤツ!

久々に悪魔プロレスラー:チョコボーイ芥子河原の登場だぜ!

なんで除霊にプロレスラーが必要かって?何故かって言うと

鍛えてますから!と言わんばかりにこの筋肉を以って

彼らの気持ちを汲んで差し上げるのだ。


不動産屋には内見と称して、デビールなスキルで暗示を仕掛けておくぜ。

今日は、イロモノレスラーのカチコミ実験と言う事で俺様の単騎駆け。

いざ、3LDKに潜む亡霊を相手に受けて立つ!


「えーと、なになに。こちらで家主の男性が借金を苦に・・・」

デビルスマホを操作してる間にレスラーである事を忘れる俺。

家主のみならず、ちょっとした幽霊もワンサカ居る事を忘れた次の瞬間


試合はリングインの前から始まっているのだ。

特に理由のない花瓶が棚から落ちてきて俺の頭に直撃!

コイツはえげつない極悪レスラー共だぜ!ハードコアの極みと言うヤツか?


こういう時こそ、受け身を大きくとってダメージのリカバーだぜ。

とは言っても投げ技じゃないので普通に首に来やがった。

事故物件にのた打ち回る自称悪魔プロレスラーの姿は見応え間違いない・・・筈。


なんたってプロレスは地上魔界問わず一番スゴイ競技なのだ。

なんやかんやで様子を見に来たこの館に潜む幽霊さん・・・観客が集まって来て

俺が「視える側」だと知るや、すっかり俺を取り囲む。

やっぱり曰く付きは違うな。これは魔界プロレスの場外乱闘の如く

特に見栄えのするシーンでも無いのに苦戦を強いられる。


「オウ!一番つえーのは、どいつなんだぜ?」

俺様はレスラーなんで面倒な喧嘩はしない主義だ。


「俺じゃい!」


「だーれじゃいじゃい!?」


悪魔と死霊は何やかんや波長が合うから会話にはなるのだな・・・

これは酷い。元の家主さんの亡霊がそれこそ重量級レスラーの様に

他の霊体と言う名のプロテインで肉付けされビルドアップされてやがる!


あんまり家屋を傷つけるのは面倒だろうから、ここから悪魔時空展開!


「なーかなか、やり応えのありそうなお客さんですな」


例えば、幽霊の様に現世と意思疎通出来なくなって

未練が残ってしまわれた方と言うのは最も悲しいモノで

冷やかしに来た人間は追い払うしか無いし、とにかく孤独なのだな。

身体を動かして憂さ晴らしすればストレス発散出来て成仏するやもしれぬ。

ここからが俺の正念場。


「来な、始まってるぜ。」


強くなり過ぎた幽霊さんは戦いを望んでいるのだ。


ここからは、一気に手四つで組み合っての力比べから

何でもありの格闘戦。頭突きを喰らわすも本当に霊体のフィジカルがモノを言い

花瓶に頭を打った俺のダメージが増すだけとなる。


いいぜ!プロレスラーはダメージあってナンボのもんなんじゃい!

容赦なく顔面パンチが飛んで来るのを見逃さず、飛びついての腕十字固めだぜ!

この腕を極める為の攻防から俺は立て続けに首を極めかけては外し

蹴りが飛んで着たらタックルを合わせて投げ飛ばし、スタンディングに戻す。


「なんで、トドメを刺しに来ねえんだおめえ!」


「ほら、立てよ」


「!?」


近くにあった椅子を瞬時に悪魔変換して巨大ハンマーに作り替え

寸止めする事で彼に初めて「死」の光景を想起させることになる。

別に本当に殺さなくてもいいのだ。言い方はアレだが既に死んでるんだから・・・


この霊体を取り込み過ぎて強くなっちまった手合いは

仲良く喧嘩すれば案外スッキリする様で

初めて正面から向き合った俺を相手にパワーを使い切り

死の情景がようやく思い浮かんだ所で

周囲の観客と化してた幽霊さん達の頭に天使の輪が浮かび


血なまぐさく暗い顔をしてた辛そうな顔はどこへやら。

みんな仲良く天に召されていった・・・

魔界プロレスラーの手にかかればちょっとした亡霊さんは筋肉でお祓い!

コマーシャルのうるさい映画は内容で裏切るが筋肉は裏切らんのだ


「とまぁ、俺様のファイトで除霊完了と言った具合なんだぜ。」


「これ、監視者さんに通じますかね?・・・」


俺様は久々のガチファイトに燃えてたが

報告書を読んだ結ちゃんはなかなか信じてくれなかった・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る