悪魔の童話「最期ノ晩餐」

とある人間界の一般人達が数名地獄に堕ちた。

彼らは様々な事情でこの世界が嫌だと言い張り

最期に好きなモノのジャンルを一つだけ選んで食し

旅立つと言ったなかなかに狂ったイベントである。


Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人。

ヒトにはそれぞれ事情がある。これは悪魔の手招き・・・

アメリカでもラストミールと言って死刑囚が好きなモノを食べて

刑に服すると言う風習があるがそういった実験なのだ。


それぞれ紙に記入し、誰にも見せない様に指示される。


そして執り行われる最期の晩餐。

各々が煉獄の炎を背景に食す。これ以上の美味は無い。

少なくともこれから人間扱いはされないのだ・・・


Aさんは子豚の丸焼きを食べた。すると現世に還り子豚に転生した。

彼は人間並みの知能を持つ豚として重宝がられ

生前に劣悪な環境で苛められて社会性を失い、自分を大事にしなかった彼は

こんな形ではあるものの初めて愛される事を知った。


Bさんはありったけのモヤシ炒め。お金のない時間にこのサクサクとした音が

堪らなく好きだったので、とにかく無限に湧き出てくるモヤシ炒めを食し

彼は現世にモヤシとして転生した。生態系の原典に戻ればいずれ人間に還るのだ。


そしてCさんが紙に書いたのは「Dさん。」

猟奇殺人鬼だった彼は即座に人間に生まれ変わり

最も恐ろしい人間が現世に解き放たれる事になる・・・


そのCさんは、案外すぐ近くに居るかもしれない・・・

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