サタンの休日

時間の流れがおかしい。国内に居ながら時差ぼけの様な感覚。

明らかに3時間ぐらい経ってるのに10分ぐらいしか経ってないとか

そういう時間の錯覚・・・こういう時はサタン様の休息日であって

現世の時間をちょっと止めていたりするのがデビル都市伝説。

時間停止モノのアダルトムフフは9割がフェイク。残りの1割は・・・

俺が現世に来てから初めてのサタンの休日。まるで静止画の様に

朝方の街や人々が凍り付いた様に動かない。どうやら噂は本当みたいだぜ。



ちなみに恋人と居るラブモーテルの休憩時間が短いと思うのは錯覚だ!

爆発しろリア充どもめ・・・いかんいかんついデビってしまう俺。


それにしても今日は千年に一度あるかないかのサタンの休日の様だ。

デビルスマホで通知が来てるから配布されてる悪魔達には知られてる筈なんだが

おそらく師宮しのみやあたりの馬鹿悪魔は文字通り時間を忘れて停止してしまってるだろう。

この回にヤツが現れる事は無いぜ。俺様のハードボイルドが霞んでしまうからな。


ほら、おかげで行きつけのコンビニで俺の事をカニカマ太郎と呼んでいる

(悪魔の聴力は猫ぐらいあるのでついつい聞こえてしまうのだ。気を付けろ!)

いつもの笑顔とレジの速さが一流の店員さんも店頭で「あたためますか?」の

「あ」と言いかけたところで止まっている。

サタン様の時間停止は今回かなりエグいな・・・結ちゃんに電話しようにも

デビルスマホまで停止してるのでとりあえずは家から事務所まで行ってみる俺。


先ほど、静止画の様に世界が止まってると言ったが・・・

今ならコンビニのレジから金を抜き取ったり強盗したりも出来るのだ。

だがこの世界の防犯カメラにはミリ単位の証拠として残ってしまう。

未解決事件と言うのはサタンの休日に起きる隙間時間での

悪魔的事件だったりするのだが、ショボい犯罪を企てる様な木っ端の悪魔は

サタン様の時間停止に逆らえず動けないまんまだ。

よって、厄介な事件に限って未解決なのは上級悪魔の仕業だったりするのだ。

人類よ。サタンの休日には気を付けろ!


時折、俺様もサタンの修正パワーを受けて挙動不審なダンスを刻みつつ

アスファルトをステップで駆け抜けて最短のルートを行く。

待てよ?時間停止ムフフがあるのなら多少は結ちゃんに

ムフフ・・・いかんいかん。雇い主にそんな真似したら

悪魔の魂の核に穴開けられて消されちまうぜ!


しかし、あのスーツ越しに浮かぶ少なからぬお胸の膨らみはおそらく・・・

これまでの経緯や勘で思い浮かべる、悪魔は時折悪魔になっちまうのだ。

お椀型、いや、溢れる・・・体重移動、身のこなし

肩の肉付き・・・すべてを鑑みるに・・・来た!神様に感謝するぜ。

脳裏に神がかったリビドーが天啓として舞い降りて・・・


例えば、あんまり数学には詳しくないけど四次元ってよく分からないじゃん?

ひょっとしたら逆らえない力に流された後って

別の宇宙へ行ってさっきと同じような生き方をするのではないか?

光と闇とか果てしないバトル?のち雨、雷警報が鳴り響き・・・

これはサタン様の時間軸で俺の葛藤が酩酊してるのかよ?

こういう時は考えるのを辞めた方がいいって小学校の先生が言ってたな。

電波な時間は事務所のドアが開くと共に終わった。


「あれ?ヴェっさん、来てたんですか?」


「え?結ちゃん、今の状況でも動けるの?」


「何か街が止まってますね。サタンの休日って言うみたいですが、

 鍵は開いてるんで、どうぞー。」


普通に気まずいがバレてない様で安心。

しかし罪悪感で天啓をも捨て去る俺。悪魔は神になんか感謝してやらない。

やっぱり同僚の事でムフフなのを考えるのはよろしくないな。

ちなみにサタン様はマリトッツォが食べたくて

現世に旅行に来ていたらしい。この時間停止は1日続いたが

俺は申し訳ない気持ちで一杯になり黙々と書類仕事したぜ。

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