悪魔探偵の過去:黄泉還りの女
悪魔探偵の過去:黄泉還りの女
一見隔絶されてる様に感じられる人間界と魔界。
しかし、『監視者』と言う神でもサタンでもないと言う薄気味悪いのが
俺みたいな流れモンの悪魔とか悪魔と人間が手を組んで悪さをするのを監視してる。
「って、流れはデビルギルドに通じる結さんでも分かってるっけ?」
「まぁ、監視者の方から悪魔関連のお仕事をいただくので。」
「監視者とお知り合いって事は、それなりに訳ありみたいだな?」
「まぁ、頑張って勉強して訓練を受けて警察官になった事もあったんですが・・・」
人間心理学には聡い俺。ここから言いたくない話に入るのが分かる。
「あまり覚えてないんです。勤務中に頭を鈍器のようなモノで殴られて・・・
一回死んだのかなって思ったんですけど、その時に監視者に会って色々聞かれた記 憶があります」
それだけで俺にとっては合点が行った。
「それは審判されてからの黄泉還り現象だな。」
説明しよう。黄泉還り現象とは、霊的才能に恵まれた人間が不遇の死を遂げた場合
世界の監視者に低確率ではあるが蘇生出来るレベルまで肉体を復元してもらい
一回死んだ現世に戻って来られるって寸法なのだ。
臨死体験をした人で幽霊が見える様になるって話を聞いた事はあるかな?
あれは結構ガチな話なんだぜ。
「んで、警官辞めちゃったワケ?」
「組織に馴染めなくて・・・幽霊みたいなのも見えるし、『おかしいヤツだ』って弾かれる様になったんで。」
「俺も職務質問受けたから分かるよ。自分らと違うヤツは、って感じなんだろうな」
組織ってのは自浄作用がないといけない。
ただし組織のブレーンが癌細胞まみれだったら
自浄作用と称して通常な細胞、つまり若者を喰ってしまうんだ。
そんなこんなで人間の世界はいつだってかなり病んでる。
悪意が転移しての潰し合い。全く夢が無い。
「そこに監視者の人が来て『ここで悪魔を呼べ。』と言われてから・・・
開業資金まで渡されたので、何か断れなくなって
自分にしか出来ない仕事だから。って言えば聞こえがいいでしょうか?
あっ、すいません。誰かと話すのも久しぶりだったので。長くなっちゃいました。」
ここまでの話なら普通に良い子ちゃんだが、
先ほどのイカレっぷりは監視者に毒された感じか。
おそらく蘇生にあたって人としての道徳を一部消されている。
なんたって当たり前の様に悪魔と取引してるんだからな。
正義の概念を人間が語り合う事がワイドショー。
そしてインターネットの定番だが
正気じゃないヤツが語る正義ほど恐ろしいものは無い。
俺と結ちゃんが立ち向かうのは、
俺達とも違った正気じゃない奴らとの、ちょっとした争いである。
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