悪魔の徒然草

滝川ヒロキ

第一章:あの世から来たデビル

悪魔、来日

202X年の日本。 かき消すように姿を消して闊歩してた筈だったのだが

警察官に見つかり職務質問される。

おかしいな?ちゃんとビジネスマン的な黒服を着ているんだが・・・

髪型も床屋が苦戦していたがゆるふわナチュラルパーマで

今どきのプレーンな男子を演じておるわ!

本当は髷でも結いたいところであったが

やっぱ目つきかなぁ・・・人見知りなのが災いしたぜ。


「お葬式か何かの帰りでしょうか?・・・ご職業は?」


どうやらこのポリスメン共は勝手知らぬド素人の様だぜ。

悪魔の俺様に嘘など必要ねえぜ!


「俺様は悪魔だ。10万飛んで33歳だ。」と答えた。

事実なのだから仕方あるまい。だが世知辛い世の中、正直者が馬鹿を見る。

本当にこの世界と言うモノは生活に困難な事ばかりだな。

「ハイ、そういうのいいから、身分証とか、ホラ、さっさとね」

それが当たり前といわんばかりに色々と怪しいモノが無いかチェックされる。



何故、地獄ではそこそこ名の知れた悪魔である俺が人間の世界に放り込まれたか?

説明しよう。地獄の刑法では他人の食べ物を奪い取る事は重罪なのだ。

なんだそりゃと思うかも知れんが悪魔は食べ物にうるさいんだよね。

ホラ、食べ物の恨みと言うヤツだな。俺は普段から学業に置いて優秀で品行方正だったがあの時は本当にお腹が空いていたのだ。「魔が差した」と言うヤツだな。悪魔なんだから魔が差すのが当たり前じゃないか、と言うのは間違いだ。


むしろ品格を保つ様に求められる。少なくとも財産差し押さえだけは回避して

それまでの仕事で得たモノを金に換え

俺は実家の親に泣かれながら勘当され現在に至る。デビル流刑だ。

デビル死刑まで行ったら人間界ではそこそこ箔が付くんだが・・

だから俺はグレまくって現代をエンジョイしている・・・と言った事にはならず

この世の法律と言う概念をキッチリ予習してきてやったのに

この世界の人間はかなり神経質だ。

俺に言わせればこの警察官と言う存在もなかなかに地獄の使者ではないか?

ただ言われるがままに指図され、この前取得した身分証を見せて・・・

素性を聞かれた人間を騙す事でまた悪魔が一人この世界に紛れ込む。

怪しいモンが無いんでそのまま塩対応喰らって俺は無駄な時間を喰われる。10万と33歳って言うと面倒みたいだから33歳で良いなって答え。


それにしてもこの世界の人間達はどうしようもない事に延々と文句言って

やるべき事が出来ていないんじゃあないか?現実ってのは神よりも残酷で無慈悲だ。

食べ物の賞味期限と地球の天気は変える事は出来ないが

自分自身を省みて生きてかないと何かを見失ってく。

俺様はいつでもそういう事だけはしっかり考えてるんだ。

人間よ。流されてると10年前が良かったと10年後にも言う事になるぞ気を付けろ!

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