ノーベル文学賞受賞者の作品、一人につき一作品で全員のを読む
総真海
はじめに
ノーベル文学賞といえば、近年は村上春樹氏が受賞するかどうかが話題になりますが、そもそも第一回目は誰が受賞したんでしょう?
そんな疑問から始まったこの「全員の作品読む」という挑戦。
現在、わたしはEテレの番組『百分de名著』で紹介された本を全部読むという挑戦をしているのですが、この番組で紹介される本、哲学系のものが多くて。
もちろんそれはそれでとてもいい刺激、体験になっています。哲学の本なんていう自分からはまず手に取らないようなジャンルのものに触れることができている。
でもね、やっぱり小説も読みたくなってきたんです。
ただ、好きな小説を読みはじめてしまうと『百分で名著』の方の本を後回し、さらには積ん読状態にして企画が頓挫するおそれが。
どうしたらいいだろう? と考えていたとき、ふと思い出したのが冒頭の「ノーベル文学賞の第一回受賞者は誰か?」でした。
そうだ! 小説読む方も企画にしてしまえばいい! そして『百分de名著』と交互に進行すると宣言してしまえばもうあとにはひけない!
でもノーベル文学賞受賞者って、小説家だけじゃないよね? と思った方。そのとおりです。ちょっと前にアメリカの歌手ボブ・ディランが選ばれて世界中が驚いた、なんてことがありましたね。
ここでノーベル文学賞についてちょっとだけ説明を。
ノーベル文学賞はほかの四賞(物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、平和賞)とおなじく1901年が第一回でした。受賞者の発表は毎年10月上旬です。一年に一回です。
文学賞はこれまでのところ受賞者が一回につき一人もしくは二人選ばれています。受賞者なしの年もあります。
2021年6月現在、ノーベル文学賞受賞者は117名です。この人数には1964年に受賞を辞退したフランスの哲学者であり文学者、サルトルも含まれています。
そうです、ノーベル文学賞受賞者には哲学者もいるんです。サルトルは『百分de名著』の方でも著作が取り上げられています。
同じように『百分de名著』にも名前を連ねている受賞者には、カミュや大江健三郎などがいます。
つまり。
そのひとたちはどっちか(「百分de名著」か「ノーベル文学賞」か)で読んでおけばいい!
というわけでいよいよ始まります、「ノーベル文学賞受賞者の作品一人につき一作品で全員読む」。
今回はおもに『ノーベル賞文学全集』(主婦の友社、1971年)を読んでいきます。
この全集のいいところは長い作品は抄としてまとめられていること。読むハードルを下げてくれているんです。そしてそれぞれの年における選考経過と授与演説、受賞演説、受賞者の経歴と掲載作品についての解説が載っているなど、知りたいと思っていたことがすべてここにあった、そんな満足感が読み終わると湧いてきます。
ただ全集とうたっていますが、刊行されたのが1971年です。収められているのは1970年受賞のソ連のソルジェニーツィンの作品までです。
おそらく1968年に川端康成が日本人として初めてノーベル文学賞を受賞して、世間の同文学賞に対する関心がとても高まったから出版されたんでしょうね。
しかし以降、この全集は続きが出ていません。人びとの興味はすぐにしぼんでしまったんでしょうか。1994年に日本人二人目として大江健三郎が受賞しましたが、それでも全集の続きを出そう! とはならなかったんですね。大江健三郎は大江健三郎作品集で読めばいい、他の外国人受賞者の作品なんてどうせ誰も読まんわーって感じかな。ならばそれはそれでとてもあからさまで面白い。
それでは看官(読者の意。福沢諭吉が『学問のすすめ』で使っていた言葉で、わたしもいつか使いたいと思っていた)! この挑戦が長く続きますよう、どうぞ優しく見守ってください。
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