第18話 久しぶりに
明け方、夜勤からの帰り道、視線を感じた。
何かいる。動物?タヌキかな?ハクビシンかな?それとも・・・
ここはニュータウンの造成が平成になってから盛んに行われた地域。
アニメの舞台にもなったのもここから南や東に行ったあたりのようだ。造成工事で野生動物も追い棲家を奪われたのだろうが・・・・。
最近、今まで都有地だった原野が住宅団地やマンションになっている。付近で出会ったキジやハクビシンとも出会わなくなった。春のキジの声も聞く機会が減ってしまった。令和のたぬき合戦は・・・・・。工事も順調のようだし波乱もなさそうだ。
人間に紛れて生活しているタヌキたちどうしたよ。もう諦めか?
人間と勢力を争っているのはカラスだな。最近ますます勢いを増している。どの地域でも困っているという話を聞いている。ドバトも増えているようだ。餌を与えている人達もいるようだし、鳩公害も困ったものになっている。
カラスは結構こちらをじっと見ていることがある。あれは少し怖いものがある。カラスが子育て行っている巣を作っている近くを通ると襲われることがある。それも頭部を狙って嘴で急降下攻撃してくる。この攻撃はこちらがダメージを負う攻撃だ。
そういう面ではカラスは十分注意が必要な野生動物だと言える。令和はカラス合戦かな。
タヌキといえば30年以上前に体験した不思議な出来事を思い出す。
深夜、国道一号線を乗用車で藤枝から静岡に向かっていた。バイパスも一部で使用されていた時代だがその日はなぜか旧道を通っていた。夜で疲れていてバイパスへ入るのが面倒だったからだったのだと思う。
国道の左側には何軒かの建物があり、その向こうには岡部川がある。
左手にいかにも「よろずや」という雰囲気の建物が見えてきた。
何故かその建物だが浮き上がって見えた。その店の両脇には建物がない。あるのはバス停。それも古びた、その頃でもあまり見ないようなバス停がポツリと・・・・。
そしてそのバス停の横の低い位置で2つの点が光った。
『眼・・・動物の目』
そう感じた瞬間、その動物が姿を表した。
狸。置物でなく本物の狸が後ろ足で立っていた。こちらをじっと見ながら。
私が止まったら乗っていくつもり?
バス停で待つ狸。待っているのは「◯◯バス」か?お前は「◯◯ロ」か。
そんなことが頭によぎったが不気味に感じて急いで走り去ってしまった。
後日、その場所は何回も通っている。勿論深夜ではなかったが。
しかし、「よろずや」も「バス停」も見つけることはできなかった。勿論タヌキと再会することもなかった。私にとっての不思議体験の上位に入る体験だった。本当にあのタヌキの視線は何だったのだろう。そしてタヌキの正体は?全くわからない。
夜勤帰りの明け方に出会った視線。それはハクビシンだった。何かを訴えるような視線にこちらも動けなくなっていたが、ゆっくりとハクビシンは藪の中へと消えていった。それと同時に私も我に返った。なんで動けなくなったの?何を訴えかけていたの?久しぶりの不思議体験だった。天変地異の前触れでなければいいなと思う今日このごろだ。オデカケに影響がなければいいなあ・・・・。
動物の視線を感じると言ったら、神経質だと言われた。そうなのかな?猫の視線は特によく感じるのだけど・・・。
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