第10話 藪の中から
ガサガサと藪の中から音がする。
小動物というか鳥がいるようだ。
オデカケの楽しみはこういうふうに生き物と触れ合えることだよね。
ちょっとした脅威である人間が見ているのを嫌がる者たちも多いが・・・。
藪の中を移動していたのはヤブサメだった。
シロハラがいるんじゃないかなと思って覗いたのだが意外だった。
ウグイス科のヤブサメは低山の藪を好む。目の上に見られる眉状での斑紋が特徴で尾羽が短い。地面に積もった枯れ葉などの中から好物の昆虫や節足動物を探しているようだ。
藪の中にはウグイスが潜んでいることもあるが、今回はぱっとみてすぐにヤブサメだと分かった。ウグイスはさえずりでその位置をしっかりとアピールしてくれているが意外に恥ずかしがり屋さんで人の目に触れない茂みに隠れていることがよくある。
知人が梅にウグイスだと言っていたのを見たら梅の木にいたのはメジロだったということがある。ご丁寧に近く椿の木の茂みでウグイスが鳴いていたというおまけ付きだ。その知人は私が指摘するまでメジロをウグイスだと思いこんでいた。
その知人には図鑑を見てもらいやっと納得してもらったが「ウグイスはうぐいす色ではないのか。メジロがうぐいす色だと思わなかった」と言っていた。うぐいす色は灰色がかった緑褐色のはずだがメジロのような抹茶色をうぐいす色だと思っている人が多いようだ。うぐいす餡がメジロの色に近いのもそんな勘違いの原因だろうか?
メジロは目の周りの白いリングが特徴だが梅に鶯の先入観からメジロをウグイスと思っている人は案外多く、そしてメジロの体色をうぐいす色と思っている人がほとんだった。
藪の中から音がすると覗きたくなる。何がいるか気になるから。但し中にはこちらに飛びかかってくるやつもいるから注意が必要だ。窮鼠猫を噛む。大抵は逃げていくが、猫、ハクビシン、シマヘビがこちらを威嚇してきたことがある。
だからオデカケ中に藪の中を覗き込むときには十分に注意している。ついでにいうとこの時期のカラスにも注意が必要だ。カラスが巣を作っている近くを通ると空中から攻撃をしてくることがある。嘴での攻撃は危険だ。巣は電柱に作ることもあるので街中でも注意は必要だ。オデカケのコースでいつも同じところでカラスが鳴いているときには要注意。
卵を生むとさらに凶暴になってくる。私の観察結果だ。前の人がカラスの攻撃を受けているようだったらコースをすぐに変えて近づかないことが大事だよ。公園の遊歩道だったら公園管理者に街中だったら警察や市区町村に届けたほうがいい。登下校中の子どもたちが襲われたら大変だ。頭や顔を狙われたらシャレにならない。
北海道の公園で前の人が襲われたのを見て少し離れたところから観察してから管理事務所に届けてことがあったが、「はあ、そうですか」で済まされてしまったことがある。そういう届けは怪我人が出る前にしっかり対処してもらいたいよね。巣の近くに行けないように規制線を張るなり。まあ、旅で訪れた公園だったのでその後どうなったかは知らないけどね。
暑くなってきたけど今日も藪を覗きながらオデカケをしています。勿論、カラスや蛇に気をつけながら。
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