第8話
お月さまは、赤い時と、黄色の時と、青い時と、土色の時と、色んな顔をして私を見ている。
私は、黒い服と、白い服と、たまに柄の付いた服を着て外に出る。コロナになってから、何もかもが気になって、電車にも乗れなくなって、乗ってつかまるところがないし、他の人は近づいてくるし、マスクしてない人もいるし。
全部が嫌になって、家に引きこもった。おかあが、働いててくれるから、少しサボっても大丈夫。自分でも、全て汚くて、外に行って買い物したものは、全部アルコールで拭いてたし、1番汚いのは、外で働いてくる、おかあだ。
玄関の入り口に、荷物を置かせて、お風呂に直行してもらい、自分を洗ってお風呂の壁まで全て洗ってもらい、入ってきた時歩いた所をアルコールで拭かせて。買ってきたもの、携帯、家に入れるもの全てを、アルコールで拭いてもらわないと、どうしようもなく、不安になって、怒り狂う。
ずっと、不安定な毎日。
気が狂ってるんだけど、やめられない。
どうなってしまうんだろう。
いっそ、死んでしまえば、いいのかも。
時々そう思う時もあった。涙が溢れて止まらない時もある。
みんなは、悩まないのだろうか、考えないのだろうか?
気にしすぎと言われても、無理なのだ。
食欲もなく、眠れない日々が続く。
朝になったら、眠くなって昼間ずっと寝ていた。カーテンも開けない、トイレと布団の行き来だけ。
でも、こんな若い子たくさんいるんだと思う。
最近は、働きに出でいる。
少し吹っ切れて、どうにでもなれと。
ヤマトの倉庫の仕分けには、別の国から同じ世代の若者が家族や自分の為に仕事にやってきている。
なんて、私はちっぽけで、もったいない事していたんだろうって少し思うこの頃だ。
暗い道を、歩いていたら、遠くに光った宝物がある、どんどん、どんどん歩いて行くけど全然そこには、たどり着かないんだ。
別に宝物を、欲しいわけじゃないけど、そこを目指して歩いてしまう。
それは、人間の欲なのだろう。
私は、多分歩いてしまうだろう。
その光る宝物をみつけに。
それは、欲だからあまり良くはない。
けれど、生きていく欲は持っていなければならないと思う。
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