017
私は一度だけ人間の温かさに触れたことがあるらしい。
暗号で聞いたこと。
でも私は定義した。この世界に人間はいないということ。
じゃあ、その人は一体誰だというの?
親でもない。友でもない。子供でもなければ自分でもない。
他人という名の人間はどこにいるの。
私は。
希望を。
絶対に捨てない。
誰かの言葉が、一本の線として私に届いた。
『
ココロネ?
誰なの?
聞いたことあるその言葉。
ケイ?
私はケイと呼んでいた?
ケイに対して私は歌う。
『メル・アイヴィーはここにいる!』
言葉の束が何本も何本も何本も何本も私を貫いていく。
人はそれを幻聴と呼ぶ。
私はそれを信じた。言葉の束を信じたがゆえに聞こえるたびに歌で答えた。
空の彼方から、誰かの言葉の雨が放射状に降ってくる。
私も負けじと空の彼方へ歌の雨を放射状に降らしてやった。
ハイイロはもういない。
ハイイロがいたらこう言うだろう。
『まるで世界を頂点とするラグビボールみたいですね』
言葉と歌の
一体いくら交わし続けたことだろう。
ある日、遂に。
放射状の雨が
放射でいることに耐えられなくなった真実の言葉たちが中心へ収束した。
言葉が現実を追い抜いた。
私の部屋に、ある日、鏡のドアが現れた。
開くとそこに、
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