002

 転落している最中である。

 遠くから、メル・アイヴィーの自殺ともとれる行為をもし眺めている人物がいたとするならば、きっとこう述べるだろう。

「転落している最中、白い何かは黒い闇に吸い込まれていった」

 まるで、救いを求める必然の方程式のように、あるいは磁石のプラスとマイナスが引き付けあうように。

 同じ性質を持ちながら、欠けた部分を持ち合わす。そんな出来すぎな出会いがあるということを、我々はいずれ知ることとなる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る