絶望社会人の奇趣味見聞録

ジロギン

夢無 康之の絶望

2週間ほど日記をつけてみたことがある。


朝7時半に目覚め、9時に出社。19時ごろまで残業したら、帰って飯を食って寝る。


毎日同じような出来事の繰り返し。

檻に閉じ込められてる死刑囚の方が、俺よりもバラエティに富んだ日記を書くだろう。


俺の名前は夢無 康之(ゆめなし やすゆき)。

営業職をやってるだけの、しがない社会人だ。

誇れることといえば大学を卒業したことと、ちょっと名の知れた企業に新卒で入社し、4年間辞めずに勤め続けていることくらい。


趣味なし。将来の夢なし。恋人なし。

いまだに童貞すら捨てられていない26歳の男だ。


俺はこんな人生に退屈、いや絶望している。

このまま生き続けることになんの意味があるのだろう。

死のうと思ったことは何度かあるが、いざ実行しようと思うと足がすくむ。


ならば俺の人生を変えるしかない。嫌でもこの人生を歩み続けるしかない。

俺は毎日インターネットで、楽しく生きる方法を検索した。

自分なりにたどり着いた答えは「趣味を見つけること」だった。


今でこそ堕落している俺だが、過去に趣味を見つけようと色々チャレンジしていた時期もある。

「読書」「スポーツ」「ファッション」「旅行」「散歩」「音楽」

しかし、こういった王道と言える趣味はどれも長続きしなかった。


恐らく俺には「一風変わった特殊な趣味」が必要なのだろう。

それが見つかれば、人生が好転しそうな気がする。

けれど、そう簡単に見つかるものではない。


どうするべきか考えた俺は、身近な人に趣味を聞いて、参考にしてみることにした。


これから紹介する話は、俺がどハマりする趣味を見つけるまでの見聞録である。

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