第569話 サソリの重槍と街の英雄のレベル40ステータス
レスミアの為に〈ストーンウォール〉で日陰を作り、冷たいリンゴ水で小休止をしていると、ビュスコル・グランツの死体が霧散して消えて行った。残されたのは宝箱が一つと、赤く長い棒が残されていた。
「なんですか、これ? サソリの尻尾?」
「あー、もしかしてレアドロップ品か?」
見た目はビュスコル・グランツの赤い甲殻で出来た、細長い2mサイズの槍である。ただ、柄の部分が節くれだっており、真っすぐに伸ばしたサソリの尻尾なのだ。勿論、穂先というか、サソリの針が付いている。手に取ってみると意外と軽く、手触りが金属や木材とは違う。
取り敢えず、〈詳細鑑定〉っと。
【武具】【名称:グランツラムダの重槍】【レア度:B】
・ビュスコル・グランツの尻尾から作られた長槍。さそり座のアンタレス星に次ぐ、ラムダの星をモチーフとして作成されており、魔力を込めて敵へ攻撃すると、不可視の槍撃で3つの穴を空ける。
・付与スキル〈毒付与 中〉〈
・〈毒付与 中〉:攻撃した敵に、中確率で出血毒を与える。流す血が止まらなくなり、放置すれば内臓を破壊する。
・〈三重穿槍〉:武器に魔力を込める事で自動発動。敵を突き刺すと、その左右に不可視の攻撃加え穿つ。
……重槍って重い槍じゃなくて、三重に攻撃するって意味か。
試しに魔力を流し、砂丘の斜面を突いてみると……サソリの針のような穂先が突き刺さった左右に、同サイズの穴が空いた。なるほど、一回の突きで、三連突きになる……新選組の沖田総司の必殺技かな?
素人的な考えだと、穂先が三つあるトライデントとかを使うのと変わらない気もする。まぁ、意表は突けるかな?
少し長いが、軽くて取り回しは悪くない。凸凹しているからグリップの代わりにはなるか。
「あはは、強い槍なんでしょうけど、ちょっと悪役っぽいですよね」
「それな。レア度Bだからミスリル装備くらいには貴重っぽいけど、見た目がサソリの尻尾だからなぁ」
俺の手持ちの槍は『貫通のフェケテシュペーア(黒豚槍)』なので、ぼちぼち装備更新には良いのかも知れない。貫通効果には助けられたけど、〈炎雷〉で貫通大が使えるようになったからな。
一緒に出て来た宝箱からは陽鉱石(大)が出て来た。納品するには丁度良い。
そして、砂漠フィールドの主を討伐したことにより、中心付近に群生しているエケベリア・サンドローズ(砂漠の薔薇)から、陽鉱石を採取できるようになった。レスミアと二人で獲れるだけ採取をするのだった。
先日レベリングした近衛騎士と街の英雄、レベル40までのデータは以下の通り。
【ジョブ】【名称:近衛騎士】【ランク:3rd】解放条件:騎士Lv50以上、騎乗突撃で魔物を50体以上倒す、上位貴族から護衛騎士に任命される。
・上位貴族に認められた特別な騎士。主君とその家族を守る時に真価を発揮する為、出来るだけ主君と同じパーティーで行動しよう。属性攻撃スキルを習得する上位の騎士であり、騎乗した状態での突撃は非常に強力。また、騎乗できない場合でも、高い耐久値と盾スキルは健在である。指揮スキルも習得する為、パーティーの要となるだろう。
※契約主君:ソフィアリーセ・ヴィントシャフト伯爵
・ステータスアップ:HP大↑、MP小↑【NEW】、筋力値大↑【NEW】、耐久値大↑、精神力小↑、敏捷値小↑、器用値中↑
・初期スキル:騎士スキル、主君忠義の盾、矛槍術の心得、騎士団の行軍
・習得スキル
Lv 10:毒耐性中アップ
Lv 20:麻痺耐性中アップ
Lv 25:騎士の護り、人馬一体
Lv 30:筋力値大↑、MP小↑
Lv 35:騎士の号令、シールドラッシュ
Lv 40:盲目耐性中アップ、石化耐性小アップ
サードクラスなせいか、Lv 5とLv 15の取得スキルは無かった。まぁ、レベリングで直ぐに上げられる範囲なので、削られたのだろう。ステータスアップ系よりも、状態異常耐性の方が多く覚えているくらいなのだからな。
【スキル】【名称:人馬一体】【パッシブ】
・騎乗した動物を手足の如く操れる様になり、落馬しなくなる。また、騎手が装備している防具の防御力の半分を、騎乗している動物にも加え、〈シールドバッシュ〉は馬ごとの体当たりに変化する。
例によってバイクには効果が無いようだ。『動物』と指定されているのが痛いな。
ただ、馬の防御力も上げられるのは良い。フィールド階層に馬を連れ込んで、戦闘に巻き込む事を考えると、補強はいくらあっても良いのだ。
【スキル】【名称:騎士の号令】【パッシブ】
・パーティーメンバーへの指示が通り易くなり、半強制的に聞き入れさせる。この時、命令を受けたメンバーの戦意が向上する。ただし、余程極端な命令には効果が無い。ある程度、個々のメンバー自身が納得しなければならない。
また、声が届く範囲にいる他パーティーにも効果がある。ただ、指揮系スキルがかち合った場合、序列やレベルが上の指示が優先される。
騎士が覚えていた〈中隊指揮〉の上位互換のようだ。指示に強制力が発生するとは、偉くなったお陰かな?
この間の領都防衛戦では、他パーティーに協力を仰ぐのに役立ったので、騎士団に必要なスキルだな。
【ジョブ】【名称:街の英雄】【ランク:2nd】解放条件:村の英雄Lv30、滞在している街の住民の認知度(自身の名前)が80%以上。もしくは、自身よりLv40以上高い敵を単独で倒し、街の住民の8割から感謝される。
・街を守りし英雄。彼が居れば、どんな脅威が来ても街は安心だと、住民が安堵する程である。
高いステータス補正に、光属性と雷属性のスキルを多数覚える為、同レベル帯では一線を画す強さを誇る。
しかし、まだまだ道半ば。更なる高みを目指して研鑽しよう。
・ステータスアップ:HP大↑、MP大↑、筋力値大↑、耐久値大↑、知力値大↑、精神力中↑、敏捷値中↑、器用値中↑
・初期スキル:村の英雄スキル、無我の境地、雷光閃、HP自然回復量中アップ
・習得スキル
Lv 10:流星剣、封魔剣
Lv 20:光属性ランク2魔法、雷属性ランク3魔法
Lv 30:カバーシールド、光属性ランク3魔法
Lv 40:青き宝珠の団結、
相変わらず、レベル10毎にしかスキルを習得しないようだ。まぁ、その分だけステータスが最初から高いので、特に問題は無い。レベル5毎のお楽しみが減るだけだ。
ビュスコル・グランツ相手に色々使って見せたが、攻撃系のアクティブスキルと、光と雷属性魔法を覚えるので、バランスが良い。〈カバーシールド〉も覚えるから盾役も可能。戦闘配置(前衛や後衛)のどこに置いても活躍できる万能タイプだな。
【スキル】【名称:封魔剣】【アクティブ】
・一定時間、封魔の力を武器に宿す。この状態で敵を攻撃すると、スキルの発動や魔法の充填を阻害し、低確率で魔封の状態異常にする。また、投射型の魔法やブレスを剣で切る事により、掻き消す事も可能。ただし、この効果で掻き消すと、スキルの効果も早く切れてしまう。
実際に使ってみると、黒いオーラを剣に纏った……魔剣術の亜種の様だ。闇属性なんて、まだ使えないが。
敵の魔法の充填を邪魔するのは、〈語らいのブルーバード〉と武僧の〈魔光相殺〉しかなかったので、戦術の幅が広がるな。魔法を切るのもロマンがある……が、範囲魔法は斬れないっぽいので、微妙か? ジャベリン魔法とか避けた方が早いし。ブレスを使う敵も……領都防衛戦の最後の方に出て来た、頭が二つあるトカゲ魔物しか、覚えがない。機会が有ったらで、いいな。
【スキル】【名称:MP自然回復量中アップ】【パッシブ】
・MPの自然回復量が中アップする。ダンジョン内だと、少しだけ効果アップ。
これは、そのまんまのスキルだな。HPとMPの自然回復量アップが揃っているとか、経戦能力が高い……解放条件的に、一人でも強敵と戦いやすいように調整されていたりして? 英雄的行為は得てして、そういう場面が多いし。
いや、俺のディゾルバードラゴン戦は、後ろから援護をもらっていたし、ゾンビ戦法だったからな。知名度は上がったかも知れないが、英雄的行為かと言われると首を傾げるな。むしろ、チート行為な反則スレスレかも?
翌日の10時過ぎ、俺は伯爵邸へと呼び出された。ここ数日で復旧工事も進み、溶岩弾の飛沫で穴だらけになった伯爵邸での業務も再開したらしい。
1階にある会議室へ通されると、中では親子喧嘩の真っ最中であった。エディング伯爵が座るテーブルに、ソフィアリーセが詰め寄って、何やら主張している。
「わたくし用の管理ダンジョンではありませんか! 他の者に渡すなど……わたくしとザックス達で攻略する権利があります!」
「ならん!
今回の魔物のスタンピードの影響で、ダンジョンの構造はおろか魔物の分布も変わっている。加えて、入り口にある転移ゲート※も機能が停止しているのだ。最早、管理されているとは言えん。
他の管理ダンジョンを手配するよう調整する。それまでは第1ダンジョンでも攻略していなさい」
(※各層に降りる青い鳥居のこと。スタンピード後は、10層毎のボス階層を攻略しないと使用できない)
「その調整は、何ヶ月掛かるのですか? 春に間に合わないではありませんか!」
ああ、春までにダンジョン攻略出来たら、春から王都の学園に一緒に通えるって話だな。ソフィアリーセが固執している理由であるようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます