第565話 (閑話)もう一人の黒幕の行方、二章終了時のステータス
今回は3人称視点の閑話です。ビガイルの同僚で、一緒に悪巧みをしていた妖人族フェアズーフどうしていたかというと……
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※※※
ディゾルバードラゴンが天之尾羽張のエネルギーブレードで両断されて消えて行く。
その様子を遠方から盗み見ている者達が居た。今回の襲撃の黒幕の一人とも言うべき、妖人族のフェアズーフと部下2名である。
南門前に広がる平原、その東の外れにある小高い山の上に陣取っていた。中腹辺りの木々に隠れた場所では、主であるフェアズーフは野外用のテーブルセットで優雅にお茶を楽しんでいる。そして、山頂に居る部下の1人が、天体望遠鏡のような細長い遠見の魔道具で戦況を覗き見していた。彼は、ディゾルバードラゴンが消えて行くところを見届けると、フェアズーフの元へ行き報告する。
「フェアズーフ様、ドラゴンは街へ入る手前で討伐されてしまいました」
「ふん、かなりの強さのドラゴンに成長したと思ったが……やはり、下等な人族と
「いえ、損害は軽微の様です。主に一人の騎士が、ドラゴンと一騎打ちで倒しましたから」
「は?! レベル70のドラゴン相手にか?!」
部下は遠見の魔道具で見ていた事を報告する。ただ、戦闘に巻き込まれないよう遠く避難していた為、鑑定スキルも効かず、詳細は分からない。赤く光る長い剣で戦っていた事、溶岩を浴びても平気な事、残像が残るほど高速で走り回る事。これらの情報から、フェアズーフは第0騎士団の仕業だと判断付けた。
戦っていた者は赤髪と言う情報もあったのだが、レベル30程度の
「溶岩は火属性無効の魔道具で防げばよい。それに、赤い武器とやらは、対ドラゴン用の武器であろう。
この国の王族は、以前にドラゴンに痛い目にあっているからな。対抗策をダンジョンの宝箱から集めていても不思議ではない」
正確には、ミューストラ姫の時代は300年ほど前である。ただし、寿命の長い妖人族(200~500年くらい)にとって『300年前』はそこまで昔ではない。72歳と若手のフェアズーフにとっては生まれる前の出来事であるが、彼の父親か祖父くらいの年代だからである。故に、人族の間でもドラゴンに対する恐怖と警戒心が残っていると、考えてしまう。ただ、人族的には10世代は経っているので教訓として残っているが、そこまでの危機感は残っていない。
そして、統一国家時代の遺産を抱える妖人族にとって、高レベルドラゴンを倒すような不可思議な事=魔道具で何とかしたのだろうと、短絡して考えてしまうのだ。
こうして、ラントフォルガー王国の最大戦力である第0騎士団を警戒しているが故に、特異な存在であるザックスの事を見落とした。
「……つまりは、この作戦を立てたビガイルの責任だな」
フェアズーフは責任をビガイルに押し付ける事を閃き、サラリと独り言を漏らした。
ビガイルが火の精霊石と共に渡して来た火属性の魔物、ファイアドレイクがディゾルバードラゴンの元だからである。
精霊石……精霊を封じた結界石と、同属性の宝石髪の乙女……出来るだけ苦しめ憎ませた状態で殺し、魂ごと結界石に封じた物。この二つを、元となる魔物に取り込ませる事こそが、レア種を誕生させる邪悪な儀式の正体であった。
本来であれば、精霊自体が魔物に喰われたところで、取り込む事など出来ない。歪みを負とすれば、純粋な属性の塊である精霊は正の存在。水と油なのである。
しかし、宝石髪の乙女の憎しみで魂を歪ませることで、界面活性剤とするのだ。歪んだマナでも、元は精霊と親和性の高い宝石髪の乙女のマナである。精霊から吸収するマナを、歪みにて魔物が扱えるマナへと変換し、強大な力を手にするレア種が誕生するのだった。
ともあれ、作戦の要にドラゴンを使ったビガイルの落ち度だと、フェアズーフは考えた訳である。
「それで、アイツからは追加の狼煙は上がったか?」
「ハッ! いえ、先にご報告した『錬金釜を破壊した』事を示す狼煙が上がった後は、何も追加はありません。
〈トールハンマー〉らしき光が街中で起きていましたが、雷のトカゲは見える範囲には出てきていません。恐らく倒されてしまったのかと……」
「クックック、アイツの作ったレア種は外れだったからな。
何が、『外と内側から攻める、2段構えの作戦』だ。どちらの失敗もアイツのせいではないか。
……仕方あるまい。第2目標の『ヴィントシャフト壊滅』は失敗したが、第1目標である『魔法が使える魔道具の生産拠点の破壊』を達成したものとみなし、本国へ帰還する!
お前達、撤収に掛かれ」
フェアズーフは〈アイテムボックス〉が施された魔道具、アイテムカバンの中を漁ると、台座付きの宝玉を取り出した。地球儀程の大きさがあるそれをテーブルに置き、魔力を込め始める。
その様子を見た、もう一人の側近が少し困惑した様子でフェアズーフに意見する。
「フェアズーフ様、その魔道具は旦那様より『緊急時のみ』と使用を制限されておりませんでしたか?」
「馬鹿者、部下が2人しか居ない状況など、緊急事態に他あるまい。ダンジョンを守る守備隊が思いのほか反抗的だったせいだな」
侵略型レア種が誕生しても、ダンジョンに放流しなければ意味は無い。結界石に一旦封印し、ダンジョンに吸収させる事で、内部にレア種を送り込むことが出来るのだ。(管理ダンジョンの守備隊の隙をついて1層に侵入、中に放置して来る)
ただし、ダンジョン内がスタンピードモードになり魔物を量産し始めると、異変が起きたと感づかれてしまう。
フェアズーフ一行は見張りを奇襲して殺し、ネクロドッペルミラーで成り代わってから、他の守備隊を暗殺していったのである。だたし、隊長格には成り代わりがバレてしまい、反撃で3名を失ってしまった。
その後、ダンジョン内部で魔物が溢れかえるまでの1週間、ネクロドッペルミラーで守備隊の隊長に成りすまし、ヴィントシャフト騎士団の定期連絡も躱したのである。年末年始の期間で、定期連絡の頻度が下がっていた事も功を奏したが、スタンピードが始まってしまえば、後は逃げるだけ。予め決められていた避難場所に逃げ込んだのである。
そんな経緯は部下も把握しているが、確認したかった事は他にある。
「いえ、人数が足りない事は重々承知しております。それならば、ビガイル様と合流すれば宜しいのではありませんか?
ここが、合流地点でございますよね?」
豪華な馬車で街道を移動するのに、3人では不安&少数過ぎて不審がられてしまう。それならば、ビガイル隊の帰還を待ってから一緒に帰れば良い。そう、提案したのであるが、それを聞いたフェアズーフはあからさまに溜息を吐いた。
「それこそ無用である。アイツよりも先に本国へ帰還し、俺の手柄だと報告するのだからな。
……ああ、ビガイルは合流地点に帰って来なかった故に、戦死したと報告しても良いな。むしろ、先輩面する目障りなアイツは死んでいると良いのだが」
フェアズーフは、街に潜入したビガイルの身を案じるどころか、出世競争のライバルを蹴落とすかのように死を願った。
程なくして、貴重品の魔道具に必要なだけの魔力が溜まった。フェアズーフを中心として、足元に魔法陣が広がる。
「〈
妖人族の貴族であっても貴重な魔道具とは、長距離転移のスキルである。
魔法陣の光に飲まれた3人は、龍脈の中を高速移動し、国外へと脱出した。
妖人族の本国にて、フェアズーフは『魔法が使える魔道具の生産拠点を破壊した』、『大領地の首都を壊滅寸前まで追い詰めた』と喧伝した事により、上層部から大いに評価された。
しかし、その報告から数ヶ月経っても、ラントフォルガー王国の王都ではゴールドカードが流行る一方であった。これにより、妖人族から輸出する魔道具は激減。『生産拠点破壊』は失敗だったと、評価を手の平を返されたフェアズーフは、降格処分されてしまうのだった。
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以下、現在のステータスです。ジョブ一覧はレベル35の頃にやったので、あまり変化の無い今回は見送り。レベル50か60になったらまとめましょう。
【人族、転生者】【名称:ザックス、16歳】【基礎Lv50、街の英雄Lv1、司祭Lv45、ニンジャレベル47、賭博師レベル47、近衛騎士Lv1
HP B □□□□□
MP B □□□□□
筋力値B
耐久値B
知力値B
精神力B
敏捷値B
器用値C
幸運値B
ボス討伐証:AL371ダンジョン20層●、KM284ダンジョン30層●、KA182ダンジョン40層●
アビリティポイント:0/54
所持スキル
・特殊アビリティ設定→
(省略)
●ジョブレベル
・見習い修行者レベル10E、修行者レベル30E、戦技指導者レベル40
・村の英雄レベル30E、街の英雄レベル1、遊び人レベル40、賭博師レベル46
・戦士レベル30E、軽戦士レベル40、重戦士レベル40、魔法使いレベル30E、魔道士レベル40、僧侶レベル30E、司祭レベル45、スカウトレベル30E、トレジャーハンターレベル49、騎士レベル50、近衛騎士レベル1
・魔法戦士レベル48、剣客レベル41、武僧レベル40、ニンジャレベル49
・採取師レベル20E、植物採取師レベル40、採掘師レベル40、罠術師レベル45
・商人レベル30E、新興商人レベル40、職人レベル20E、錬金術師レベル40、付与術師レベル40、料理人レベル40、熟練職人レベル40
●特殊アビリティ設定一覧 ポイント0/54(設定内容は一例、レベル上げ最高効率)
・追加ジョブ(〇2次職5p、〇3次職10p、〇4次職15p、●5次職20p)
・追加スキル(〇1枠1p、〇2枠3p、〇3枠6p、〇4枠10p、〇5枠15p)
・経験値増(〇2倍5p、〇3倍10p、〇4倍15p、●5倍20p)
・緊急換装(〇1枠2p、●2枠3p、〇3枠5p、〇4枠6p)
・パラメータ上昇1箇所5p~ →
・魔法適正1属性5p →
初級(★火5p、★水5p、★風5p、★土5p) ※★は祝福有り、●は適正有り
中級(★木5p、★氷5p、★雷5p)
上級(●光5p、●闇5p)
・特殊スキル(■詳細鑑定5p、■ストレージ5p、□ゲート5p、□充填短縮5p、□無充填無詠唱10p、□MP自然回復量極大アップ10p、□パーティージョブ設定1p、■パーティー状態表示1p)
・特殊武器(□ミスリルソード5p、□紅蓮剣10p、□プラズマランス15p、□聖剣クラウソラス20p、□聖剣 天之尾羽張25p)
・特殊防具(□癒しの盾5p、□ミスリルフルプレート10p、□ブラストナックル15p、□聖盾20p、□アキレウスの鎧25p)
●装備品(古い装備は省略)
・氷柱のミスリルバスタードソード1本、耐火の黒刀1本、黒魔鉄のワンド(自作)3本、飢餓ノ脇差1本、貫通のフェケテシュペーア1本、ウーツダガー2本、雷のロングソード1本、投擲用短剣10本。
・耐雷のジャケットアーマー一式、ウーツ鋼製の増加装甲一式、ウーツカイトシールド1個、サファイアブレスレット1個、運命神のバングル型賽銭箱1個、砂漠用黒マント1枚、ベルト及び剣帯1セット、革製ポーチ1個、ブーツ用追加スパイク1個。
【猫人族】【名称:レスミア、16歳】【基礎Lv49、闇猫Lv49】
HP D □□□□□
MP D □□□□□
筋力値C
耐久値E
知力値F
精神力F
敏捷値A
器用値A
幸運値C
ボス討伐証:AL371ダンジョン20層●、KM284ダンジョン30層●、KA182ダンジョン40層●
所持スキル
(省略)
●ジョブレベル(種族専用ジョブ以外の下位ジョブは省略)
・狩猫レベル30E、闇猫Lv49、トレジャーハンターLv40、料理人Lv40、熟練職人Lv40、植物採取師Lv40、司祭Lv40
●装備品
・耐麻のウーツサーベル1本、パイロキルシュ・コンポジットボウ1個、餓鬼の盾割り矢30本、毒矢30本、ウーツ鋼の矢50本、ウーツダガー1本、矢筒1個、革製追加矢筒1個。
・氷華花咲くロングテールドレス一式、スティングレイブーツ1個、百合花のシルバーペンダント1個、ペンギンチャーム1個、カーネリアンのイヤリング1個、サファイアの髪飾り1個、ダイヤの婚約指輪1個、火炎放射のルビーブレスレット1個(売却予定)、砂漠用黒マント1枚、雪山用毛皮のマント1枚、ブーツ用追加スパイク1個、ベルト及び剣帯1セット、おしゃれ革製ポーチ1個。
【鬼人族】【名称:ベルンヴァルト、18歳】【基礎Lv47、騎士Lv47】
HP A □□□□□
MP F □□□□□
筋力値B
耐久値A
知力値F
精神力E
敏捷値D
器用値E
幸運値C
ボス討伐証:AL077ダンジョン20層●、KM284ダンジョン30層●、KA182ダンジョン40層●
所持スキル
(省略)
●ジョブレベル
鬼足軽レベル30E、鬼徒士Lv41、騎士Lv47、重戦士Lv41、司祭Lv40
●装備品
・ウーツハルバード1本、シュネル・ツヴァイハンダー1本、飢餓の重棍1本、ウーツダガー1本。
・血魂桜ノ赤揃え一式(修理中)、ウーツタワーシールド(みじん切りに破壊され破棄)、ミラーサークルシールド1個、耐雷のジャケットアーマー一式、チタニウム・タワーシールド1個、灼躍花のピンブローチ1個、砂漠用黒マント1枚、雪山用毛皮のマント1枚、ブーツ用追加スパイク1個、ベルト及び剣帯1セット、革製ポーチ1個。
【ビルイーヌ族】【名称:フィオーレ、20歳】【基礎Lv46、楽師Lv46】
HP F □□□□□
MP D □□□□□
筋力値E
耐久値F
知力値D
精神力B
敏捷値C
器用値A
幸運値C
ボス討伐証:SS307ダンジョン10層●、DS450ダンジョン10層●、AL077ダンジョン20層●、KM284ダンジョン30層●、KA182ダンジョン40層●
所持スキル
(省略)
●ジョブレベル (遊び人習得の為に育てた基本ジョブは省略)
・OPアクトレベル30E、ソードダンサーLv41、楽師Lv46、遊び人Lv40、賭博師Lv40、付与術師Lv40
●装備品
・テンツァーバゼラード2本、子供用ギター1個、母の形見の大人用ギター1個、祭りで買った格好良い幽魂桜製ギター1個、楽器メンテ道具一式、ナイフ2個、
・花乙女のフェアリーチュチュ一式、カラフル羊毛製の普段着一式、ペンギンチャーム、おしゃれ革製ポーチ1個、背負カバン1個、雨の日用蠟引きマント、雪山用毛皮のマント1枚、ブーツ用追加スパイク1個、仲良くなった劇団員から貰った演奏会用ドレス、舞台用コスメセット。
【人族】【名称:ソフィアリーセ・ヴィントシャフト伯爵、17歳】【基礎Lv46、魔道士Lv46】
HP E □□□□□
MP B □□□□□
筋力値F
耐久値F
知力値A
精神力B
敏捷値F
器用値F
幸運値C
ボス討伐証:ZS260ダンジョン30層●、KA182ダンジョン40層●
所持スキル
(省略)
●ジョブレベル
・魔道士レベル46。
●装備品
・四重宝の銀扇1個、護身用の短剣1本、予備の小型ワンド2本(ドレスに仕込み)。
・氷華花咲くロングテールドレス(色違い)一式、銀のティアラ1個、ルビーの髪飾り1個、ダイヤの婚約指輪1個、おしゃれ革製ポーチ1個、雪山用装備一式、火山用装備一式。
【人族】【名称:ルティルト・セアリアス子爵、17歳】【基礎Lv46、騎士Lv46】
HP B □□□□□
MP F □□□□□
筋力値C
耐久値A
知力値F
精神力E
敏捷値E
器用値C
幸運値C
ボス討伐証:ZS260ダンジョン30層●、KA182ダンジョン40層●
所持スキル
(省略)
●ジョブレベル
・騎士レベル46。
●装備品
・ウーツ鋼製の白い短槍1本、ウーツ鋼製の白鞘のロングソード1本、儀礼用ウーツ鋼製のレイピア1本、ウーツダガー2本。
・ウーツ鋼製の白鎧一式、銀のティアラ1個、ウーツ鋼製の白いカイトシールド、おしゃれ革製ポーチ1個、婚約者からもらったムーンストーンのペンダント、雪山用装備一式、火山用装備一式。
●サポートメンバーのジョブ育成状況
・ベアトリス:料理人レベル40。
・フロヴィナ:熟練職人レベル40。
・フォルコ :新興商人レベル40。
●メンバーの給料
月当たり総額237万円(レスミア35万+ヴァルト30万+フィオーレ28万+フォルコ30万+フロヴィナ27万+ベアトリス27万+ソフィアリーセ30万+ルティルト30万)
今後、これに複合ジョブの職業手当10万が上乗せ、サードクラスで更に見直し予定。
●経過日数
第1話~564話までで、130日経過。
・第一章が42日、第二章が88日。
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業務連絡
次回の更新は10月12日(土)にオマケのアイテム図鑑(装備品)。
三章の開始は、10月16日(水)予定です。1週間のお休みを頂きます事、ご了承くださいませ。
そして、二章終了記念の近況ノートを更新しました。いつものオマケもありますので、宜しければご覧ください。
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