女の子に話しかけたら後宮の姫になりました。〜幼なじみの男の子と後宮の謎を解き明かすぜ〜

@yu-are-angel

第1話不思議な女の子



「行ってきます……」

今日もまた物静かな一日が始まりました。

朝起きて、学校に行って、帰ってきて、寝る。これのくりかえし……

どこにでも居そうな女子高生やってます。詩織です。

陽キャって感じじゃないけど、だから陰キャって訳でもなくて。成績ふつー。お友達もふつー。ちなみに最近の趣味はお菓子作り。



「詩織、おはよ〜。またぼっちかよw」

毎朝、毎朝私にちょっかいをかけてくる煌鬼。小さな頃からの幼なじみで親同士も仲がいい。幼稚園から高校生になっても同じ学校に通っていて腐れ縁ってこういうことを言うんだろうなって改めて思う。

煌鬼って漢字かっこよくない??

まぁ、煌鬼は顔も性格もイケメンなんだけど。

……リアル出木杉君ってやつw

だから、学校でもモテるのは当たり前。毎年クラス替えをする度に私は言われる。


煌鬼君の幼なじみなんて羨ましい〜!


……いやいやいやいや。そんな訳あるかぁ!

と毎度心に思う。あいつ、かなりの意地悪だし、私のことを茶化してくる。みんなの前では凄い良い奴ぶってるけど、裏を知ってる私からしたら最低なやつ。そんなやつを好きだとか言ってる女の子たちは幸せなやつだなと思う。

なんていうか……言い方失礼だけど頭の中お花畑……


「……おい。……り、詩織!!」

煌鬼が急に顔を覗き込んでくる。

なに!?と驚いて顔を慌ててあげると、煌鬼が苦笑。

「……また変なこと考えてただろ。ブッサイクな顔になってんぞ〜w」


うるさい!!誰のせいだと思っとるんじゃあ!

私の癖なのか、煌鬼の取り巻きの女の子のことを考えてる時はこのしかめっ面なんだとか……友達にもよく指摘される。



しばらく歩いていると、前の方から私たちの方へ歩いてくる女の子に出会った。

「ねぇ、煌鬼。こんな朝早くから女の子が1人で歩いてる……」

「いや、そんな朝早くねぇぞ?小学校に通ってるヤツらはこの時間帯に登校だろ……そんなに気になるなら……」

「……ちょっと話しかけてくる。」

「……おいおい。」



女の子は小学1,2年くらいでツインテールをしていた。右手に簪、左手に石のようなものを持っている不思議な子で今どきこんな子もいるんだなぁと思いつつ、ねぇ。と話しかけてみた。

「何してるの?」

小さな女の子は私たちを見上げて、ニコッと笑った。

「あのね、凜音、探し物をしてるの。お姉ちゃんも一緒に探してくれる……?」

凜音と名乗った女の子は私の右手をグイグイ引きながら話していた。

こんな朝早くから探し物なんて余程大事なものを落としたのかな……お母さんたちはどこにいるんだろう??

しかも、この時間煌鬼の話どおりなら小学生ならランドセル担いでるはずだし……




「探し物??……仕方ねぇな。まだ学校に行くまで時間があるから一緒に探してやるよ。

詩織、いいだろ?」

煌鬼がひょこっと顔を出して言った。まぁ元よりそのつもりだったからいいんだけど。

「もちろん。凜音ちゃんだっけ?何を探しているの……?」

凜音ちゃんと目線を合わせようと、煌鬼と二人でしゃがみこむ。すると、彼女は両手をぐーにしたまま右手を私に、左手を煌鬼に突き出した。

おわっ!……危ない。


「これ、お姉ちゃんたちにあげる!」

そう言って突き出した小さな右手には簪を持っていた。赤と金色のキラキラした簪で、しゃらしゃらしてる飾りもついていた。……可愛い。

「……こんな高そうなもの貰ってもいいの??」

うん!と凜音ちゃんは元気よく頷いた。あっちむいてー!!と私を後ろ向きにしゃがませると、綺麗に髪をまとめあげて簪を刺してくれた。

……小学生どこでそんなこと覚えたの??

……制服に簪ってどうなの?


あれ、煌鬼も何かもらったみたい。大きく目を見開いている。私みたいによほど凄いものを貰ったのかな……?

「煌鬼、あんた何貰ったの?」

「……俺?えーと、多分翡翠の宝珠だな、これ」

……なにそれ?初めて聞いたんだけど。

あんたなんで知ってんの!?

「お兄ちゃんも付けて!!」

凜音はまたまた手から取り上げると、煌鬼のベルトを通す輪っかに宝珠を結びつけた。

「…なぁ、凜音。お前の家……なにもんだよ。」

煌鬼が低い声でそう呟いた。

どういうこと??



「煌鬼??どういうこと?」

「詩織、あのな。翡翠の宝珠って、大抵の物語とかそーゆーので、皇族の印の1つなんだよ。現代はどうだか分からないけど。……皇族だって示すための物って感じだな。まぁ、昔はどこもそんな感じで……えーと、ほら、これこれ読んでみろ。」

「……皇族?後宮??……なんでこんな本持ってんの??」

私の質問ガン無視。

いつからそんな趣味を持っていたのか、煌鬼から手渡された本の表紙には、「馬鹿でもわかる後宮のこと」とでかでかと書いてあった。

そんな私を横目にじゃらんと腰に着いた宝珠を持ち上げると、凜音ちゃんの方を向いた煌鬼。

「……だろ?凜音。お前なにもんだよ……?ただの小学生にしてはこんなもの持ち歩いてるのはおかしいだろ。」

そう尋ねられた凜音ちゃんは、にこっと笑って私と煌鬼の手をとった。






「さすが煌鬼じゃ。頭がいいのぅ……こんなに早く気づかれるとは思わなかったが……仕方ない。妾の国へ招待してやろう」


……あれ?凜音ちゃん??

……妾??うん??

すると、いきなり視界が真っ白になった。





私にはまだ知る由もない。







新たな世界での……異国ライフ……

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