第11話 家事をする私
ヴァンサンに部屋を借り、私の新しい生活がスタートした!!
しかしいきなり家事とかブスのくせにお嬢様だった私には無理だったから次の日からナタリーさんに教えてもらうことにしてヴァンサンの家にやってきた。
「ごめんね。ナタリーさん。家事が全くできなくて…」
「今まで貴族だったのですから当然ですよ、あら、こんなハンサムさんと暮らして!お嬢様はあのクソ野郎と違いいい趣味ですわ!」
「あはは、そんな関係じゃなく普通の友達よ、ほほほ」
「なんの話?」
とヴァンサンがキョトンとする。
「ど天然ですけどね」
「ちょっとね」
と苦笑いするナタリーさんと私だ。
私はナタリーさんから洗濯の仕方や料理、掃除を習い始めた。私は飲み込みが早く直ぐに覚えたしそんな不器用でもなかった。
流石庶民の血が流れとるだけあるわ。
これやってけるわ!
「うめー!!これオレリーが作ったんか?うめー!!」
とヴァンサンも初めて作った私の手料理に驚いとった。
「まぁ一通り教えてもらったらできたのよ。良かったわ、口に合って」
「ふーん…俺の仕事は手伝えそうかな?器用ならできそうだね」
とジッと私の手を見る。
「靴の仕事?やってみないとわからないけど…どんなかんじ?」
「んん、靴ってのは…レルカン伯爵夫人のように発注されることもあるけど、大抵は修理が専門だよ。痛んだのを直したり、後は成長したお子さんの靴を作る。旅人もよく利用するよ」
「なるほどね」
「ほんとは貴族はこんな田舎村じゃなくて王都の靴屋に注文するんだけど、旅行に来てたレルカン伯爵夫人が俺の店気に入ってお得意様だったけど…なんか怖かったしもういいや」
「あら、じゃあなんかごめんね、私余計なことした?」
「いや、あれは…助かったからオレリーが気にすることない」
「そう…」
シュンとすると頭をわしわしとされた。
にこりと微笑まれるとキュンとするわ。
好きに…………
なっちゃいかーーーん!!
ヴァンサンにはもっと心が綺麗で優しそうでお似合いのお嬢さんと幸せになって頂かねばならんだろがい!!
ブス!勘違いしてんじゃねぇよ!!
今の撫で方も犬に撫でるのに近かったろ?
いいんだ!私はヴァンサンの番犬でな!!
家族愛だ!うん!!
「どうしたの?」
ヴァンサンがまた私のことでキョトンとするので
「いや?なんでもないよ?おかわりはいる?」
「うん!!いるいる!!」
と皿を出してにへっとするヴァンサン!
それから私は掃除や洗濯料理にヴァンサンの靴の仕事を手伝い何とか暮らした。
生活苦しい時ドレス売ってヴァンサンに渡したら泣いて
「ごめん!!ごめんよオレリー!!いつか返すっ!」
と言ったので笑って
「いいよ、儲かってからで!」
と言う。
村娘がヴァンサンを観に来た時は
「バウっ!」
と吠え追い返した。
それにクスクスとヴァンサンは笑ってた。
楽しい毎日だ!!
*
ある日の午後、雨が降ってきたから干してる洗濯物を取り込んでいたらなんかドサリと音がして誰かが道端で倒れていた。
不細工な男だった。旅人?
なんかボコボコにされとる!!
「どうしたの?」
ヴァンサンが出てきて男を見る。
「怪我してるみたいだよ?」
「うん、とりあえず家に運ぶよ」
ヴァンサンは男をヒョイと担いで行った。
おお、カッコいい!
「誰かに殴られた痕だね…あっ…」
よく見たら手の甲に奴隷印がありその上から隠すように傷をつけている。これは…
逃亡。奴隷商人や主人から逃げ出したヤツが良くやるのだ。この不細工な男…奴隷だったのか。
ヴァンサンと顔を合わせどうするか考える。
「うちにはもう置けないよ…」
部屋も余ってないしな。しかも、逃げた奴隷を匿うことは…重罪とされる。
「でもまぁ、元気になるまでは仕方ないよ…」
「オレリー…わかった…元気になるまでね…?」
とヴァンサンは少し困ってこの不細工な奴隷を自分の部屋に運び自分は工房で寝ようとした。
「ヴァンサン!ヴァンサンの家なんだから私が工房で寝るよ!!私の部屋で寝ていいよ!!」
「それはダメだよ…オレリー女の子でしょ?」
え!?
女の子!?
女の子?
あれ?女の子?私か!!!?
「何なの?オレリーまさか女の子じゃないの?」
「そんなわけないでしょ!!」
ブスでも女だよ!!
「じゃあ、決まり」
とヴァンサンは工房で寝ることになった。
あの不細工な奴隷!早く目を覚ませ!!
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