第10話 助ける私
馬車の中でナタリーさんがぐったりと胸を抑えている。相当ストレス付加が…。わかるのよ…私も胃が死にそうだったし。
ナタリーさんには横になるよう言った。
「お嬢様…何故今まで黙って…いろいろ大変だったでしょう?お一人で悩まれて!」
「ナタリーさんを心配させたくなかったのよ。それにもう私お嬢様じゃないから…」
と言うとナタリーさんは
「いいえ…私にとってお嬢様はお嬢様ですよ。例え平民になられてもね」
「ふふ。ありがとう。退職金代わりに私のドレス少し持っていってよ。売ってお金にするか、娘さんにあげてよ」
「まぁ!ありがとうございます!!お嬢様!!」
とお礼を言われ、ナタリーさんの家の前で降し、ナタリーさんはちゃっかり一番高そうなヤツ持っていきおった!!
それから私はヴァンサンの家まで御者さんに送ってもらったが、あれ?いつかの貴族女の馬車が停まってる。
すると家の中から叫び声が聞こえた!!
「助けてーー!ベスーーーー!!」
「ヴァンサンの声だわ!」
「お嬢様!突入しましょう!」
と御者台のお兄さんが言う。
しかし戸口の前に従者らしき中年が立っていて
「ち、今取り込み中だ!わかるだろう?」
と金を渡した。
御者のお兄さんが中年の従者を取り押さえ
「おし!こいつは抑えておきますから早く!」
と言い、私は中へ入るとヴァンサンが貴族女に押し倒され腕やら顔にキスマークがついておった!必死で顔を背けて自分に迫る女の顔を押さえておる!
この女ああ!!
「辞めんかい!!」
と私は女の縦ロールを引っ張り退かせた。
「痛っ!!な、なんなのお前は!?す、凄いブス!!」
「うるさいっ!!私はオレリー・クローデット・ルネ・ラヴァル侯爵令嬢です!!下がりなさい!!」
もう平民だがな!!まだいい服着てて良かったわ!!
「ひっ!?侯爵家の!?」
「疑うならもう少し先に私の別荘地があるからね、使用人も近くに住んでいるから聞いてみればいいわ!」
とナタリーさんの住所を教えておく。彼女なら口裏を合わせてくれるだろうよ。後、御者台のお兄さんもいるし。
「くっ!!やっと…ヴァンサンが私のモノになると思ったのに!!」
「お黙り!!二度とこの家に近付くんじゃないわよ!!」
私はビシと指さした。
「ひっ、ひいっ!!」
と女は青ざめて出て行った!!
「大丈夫ヴァンサン?」
「べ…お嬢様…本当に助けに!ううっ!怖かったー!あの方…ペネロープ・アンリエット・レルカン伯爵家の若奥様だったんだけど今日なんか仕事の話してから急にベタベタ触り出して…変な目つきで俺を見て押し倒してきてブチュブチュ手やら顔にキスし出して頭おかしくなったのかと思って」
いや、無理矢理手籠にされそうになったんだよ。ヴァンサン…。
「口にキスされそうになったから思わずベスの名前を呼んじゃったよ。いつもピンチの時助けてくれるんだ。俺昔からどんくさい所あるから」
とヴァンサンは言う。そこで御者台のお兄さんダレイラクさんが荷物を持ち入ってきた。
「お嬢様、奴等慌てて帰っていきました!うちの馬車に付いていたラヴァル家の家紋に心当たりがあったようで青ざめてましたよ!くく!」
と笑うダレイラクさん。
「そう……まぁ最後に勘違いしてくれて良かった。荷物をありがとう!元気でね、ダレイラクさん!」
「お嬢様こそ!お元気で!このことは内密にしときますよ!!ふふっ!お幸せに!」
なんかヴァンサンのこと恋人と勘違いされたわ。すまねぇな、ヴァンサン。金が貯まったら家買って出て行くからよ!
ヴァンサンはダレイラクさんに肩を叩かれて
「お嬢様のことよろしくお願いします!」
と頭を下げて出て行った。
「んんと…お帰り…べ、いや…そうだ!オレリーお嬢様!」
ヴァンサン!私の名前を!!ようやく覚えたのね偉い!
「もう、お嬢様じゃないけどね。さっきのはハッタリよ。今日からお世話になるわ!ヴァンサン!ただいま!」
と私は笑うとヴァンサンはにこりとして
「お帰り!オレリー!」
と言った。しかし顔やらについた紅が気持ち悪いらしくて
「ひいっ、洗ってくる!気持ち悪い、臭い!」
とか言ってバタバタ洗い場の方に向かって言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます