2ー状況説明
「それじゃあ、最初から説明していこう。」
「はい。」
あの後テールさんが普通に戻って来て、全員分の椅子を出してくれる(?)。いきなり現れた椅子に俺と彩だけがビビり散らかした、やっぱいきなりはダメだよ。
優美には案内人さんが既に説明してあるらしい。本当に分かっているのか知らないけど…あれ?優美だけベッドが出てない?寝るの?優美さん?
「…先ずは自己紹介から。僕の名前はテー…」
「名前は全員知ってるだろ、自分は神様だって言っとけ。」
「えっ!?」
マジ!?…でもここ天国って感じはしないんだよな、窓から普通にビルとか見えるからなぁ。
本当にそうならなぁ…何の神様だろう、"テール"って聞いた事無いな…
「だから、それは君がそう言ってるだけだろう。スキップ…」
「全ての世界を見てんのはお前だけだから、名乗ってもいいんじゃないかと。」
「…はぁ、とりあえず説明して欲しいんですが。」
俺達がいるのに分からない会話しないで?
とりあえず案内人さんは"スキップ"と言う名前なのかな?
「分かってるさ。俺の名前はスキップ、こいつの親友だ。君達の名前とかは知ってるから自己紹介はしなくていい。」
「…はぁ」
「こいつがさっき言ったかもしれないが…もう一度言っておくぞ?君達は死んだ。3人共仲良く一緒にな。」
「そこらへんの説明をもっと…して欲しいんですが。」
「そうだな…痛みの記憶だけは消しておいたが、普通にその前の事を覚えていない様だな。だが映像があるから見れば思い出すだろ。」
「えっと…事故の瞬間は…」
「消してある。」
「あっはい。」
まぁ多分本当に死んでるんだろうな。こんなテレビがいきなり現れるなんて事、ありえないからね。
スキップさんはポケットから出したディスクをテレビに入れ…あれ?凄くねそのテレビ?高性能じゃん。
流れた映像には見慣れた光景が映り、聞き慣れた音楽が流れた。
思い出したかもしれない、優美が後部座席で俺の音楽を流しながら一緒に歌って、彩が合いの手を入れて、俺がそれを聴きながら運転に集中する。あの瞬間、俺は確かに左右の確認をした筈だった。だけど…
…大きなトラックが俺達目掛けて進んでいた。
確かにそうだ。俺はその後の事は覚えていない、知っている筈の死の痛みすら覚えていない。
「…思い出した様だが、余り気に病む必要は無い。」
「…」
「君達は生き返るんだ。そんな事、気にする程度の物じゃない。」
「そ…そんな事って…っていうか生き返るんですか!?」
「条件があるが。」
えぇ…なんかもう考えるの無駄な気がしてきた。常識のピースが徐々に外れていく気分だ。
「…その条件というのは?」
「至ってシンプルな条件さ。」
「そこからは僕が。スキップが言った通りシンプルだ。君達が元に住んでいた世界とは異なる世界で君達の技術を魅せて欲しい。」
「異世界で…技術?」
彩の質問に二人が返答する。確かにシンプルかもしれない、異世界で何かをすればいいだけだ。だがそれが何かは分からない、そして何故それをするのかを知っておきたい。
「要約すれば君達の最も得意とする事をすればいいだけさ。」
「…えっ?」
「音楽を作り、人に聴かせる。絵を描き、人に見せる。君達はその世界で好きにすればいい。」
「…」
「別に生き返りたく無いならそのまま消える事も出来るが…俺としては生きて、俺達のお願いを聞いて欲しい。身の安全は保障するぞ。」
「…無理強いはしない。どうするかは君達に任せる。」
「…先に…何故、と聞いていいですか。」
「いい質問だ。答えは簡単、この世界の文明開化だ。」
「娯楽の発展、とも言える。この世界は余り、そこらへんの事に興味を示さないんだ。だから、君達に任せようと思ってね。」
「…」
「後は…世界の説明だけだが…行く場合にしか説明はしないぞ。」
俺は決まってるけど、どうする!?どうしよう!?
「行こう!」
「判断が早くない?私もいいけど。」
「いやあ〜よく考えたら優美を今死なせたくないのと…まだまだやりたい事があるからね。」
「話しが早くて助かるね。ほらスキップ、もう連れて行っていいよ。」
「分かってるさ。」
「えっ!いやもうちょい話しを…」
言いたい事を言い終える事すら出来ず彼らの旅は始まる。
「大丈夫かなぁ、あの家族。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます