【コント台本】金をたかるヤンキー息子【私が見て笑いたいネタ】
睦月紅葉
登場人物 ・タカアキ······不良息子。根が真面目。・母······最近少し太った。
『まってタカアキ!やめて!』
不良息子、化粧中の母に詰め寄る。
『うるせえババア!どっかにヘソクリ隠してんだろ!』
『隠してないわ!そんなお金どこにもない!どうしてそんなにお金が欲しいの!!』
『ダチとつるむのに小遣いじゃ足りねんだよ!』
『バイトでもなんでもすればいいじゃない!』
『校則違反なんだよ!!』
『変に真面目!?』
『いいからよこせよ!タラタラしてんじゃね~よ!』
息子財布を手に持つ。確認して厚みを確認する。
『こんなに分厚いじゃねえか!ケチケチしやがってよ』
息子文句を言いながら財布を漁る。母黙って俯く。
しかし探しながらガッカリする息子。
『確かに金はねえな』
『だから言ったじゃない!』
『でもなんであたりめが入ってんだよ!!』
息子財布からあたりめを取り出す。
『いいじゃない!あなたに関係ないでしょ!』
目を丸くして狼狽える母。
優雅にあたりめを床に叩きつける息子。
『あとなんで蒲焼さん太郎も入ってんだよ!』
息子財布から蒲焼さん太郎を取り出す。
『い······いいじゃない!!好きなのよ!!』
目を丸くして狼狽える母。
恭しいお辞儀のように、優雅に蒲焼さん太郎を床に叩きつける息子。
さらに財布を探る。
『ビッグカツ、よっちゃんイカ······かさ増しするにしたってもうちょっとなんかあんだろ!お前の財布は駄菓子屋か!!せめて5円チョコとかにしとけ!!』
優雅に駄菓子を連続で床に叩きつける息子。『······ん?』
突っ込んでなにかに気づく息子。
『【ビジュアルクラブ・ローズダイヤモンド】······ホストクラブの名刺じゃねえか!!』
わかりやすく見せつけて優雅に床に叩きつける。
『あ、そうね、そんな所にあったの』
『なんで冷静なんだよ!!金欠なのに男遊びしてるなんて1番うろたえるべきところだろうがよ!!あたりめ!蒲焼さん太郎!ビッグカツ!よっちゃんイカ!クラブの名刺!』
床の平たい物を順に指し示す息子。
母は目を丸くする、目を丸くする、目を丸くする、目を丸くする、真顔に戻るのリアクションをとる。
『なんで最も財布に入ってそうなモンがクラブの名刺なんだよ!』
『だから言ったじゃない!お金ないって!』
憤る母。
ハッとした表情をする息子。
『この家が貧乏なのはお前がホスト通いしてるからじゃねえのか!?この色欲の権化が!!』
『失敬な!!』
怒る母。
『なんだよ、違うってのか?』
詰め寄る息子。
母は自信ありげに頷く。
『タカアキ。その名刺をよく見なさい』
『は?······【ビジュアルクラブ・ローズダイヤモンド No.1キャスト カケル】······このカケルってのがババアのお気に入りか?』
『違うわ。カケルは母さんよ』
『はぁ!?』
『そのクラブはね。男装ホストクラブなのよ。母さんはそこのNo.1キャストなの』
『No.1キャスト!?』
『そうよ。月に1億売り上げて東室小路の白薔薇と呼ばれた伝説のキャスト······それが私よ』
ドヤ顔で決めポーズをする母。
『東室小路の白薔薇!?』
終始愕然とする息子。気を取り直す。
『自分の母親がそんな仕事してるなんてびた一文たりと知らなかったよ!!』
『お母さんの仕事知ってどう思った?』
『どうもこうもねえよ!理解が及ばねえよ!』
まさかババアがね~······男装ホストね~······とぶつくさ言いながら一瞬お開きになりかけるが目的を思い出す息子。
『ハッ。待てよ?そんなに稼ぎがあるならやっぱり金隠してんじゃねえのか!?』
『無いわ』
『なんでだよ!月1億売り上げたんだろ!』
『······』
言いにくそうに黙る母。
何としても口を割らせたい息子。
『なんで金がないんだよ!』
『······』
『息子の質問にも答えられないなんて東室小路の白薔薇の名が泣くぞー』
半ば諦め気味にぶっきらぼうに言う息子。
顔を上げる母。
『それはダメ!!!』
1番大きな声を出す。
『どんだけその異名気に入ってんだよ······』
呟くように突っ込む息子。
『親友のマリコ······可愛い後輩のモモコ······厳しかった先輩のさや姉······彼女たちを押しのけて1位になるには血のにじむような努力をしたわ······私の存在意義と言ってもいいほどの勲章なのよ!その異名は!』
めちゃくちゃ熱を入れて力説する母。握りこぶしを息子の顔の前につくるほど。
『ほん······。で、なんで金無いんだよ?』
母の拳を虫を払うみたいに適当に払い、興味無さそうに頷いてなおも尋ねる息子。途端に言いにくそうにする母。暫し葛藤する様子を見せるが、小さく呟く。
『······に······かったからよ······』
『あ?聞こえねえよ。なんだ?』
耳を近づける息子。
母は化粧台の大扉を勢いよく開ける。
中からは大量の駄菓子が流れ落ちてくる。
『全部駄菓子買うのに使っちゃったからよ!!!』
『全部駄菓子に!?!?!?』
驚愕する息子。収納出来る全ての小道具をひっくり返す。大量の駄菓子が出てくる。
呆然と駄菓子を見回し、呆れたように言う息子。
『色欲の権化じゃなくて食欲の権化じゃねえか······!』
『今は家賃もこれで払ってるわ』
束になったダミーお札の駄菓子を取り出す母。
『いや救えねえな!!!!』
盛大に突っ込む息子。
ネタ終わり。
【コント台本】金をたかるヤンキー息子【私が見て笑いたいネタ】 睦月紅葉 @mutukikureha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます