第521話 致し尽くして…
「いやぁ~ えがったえがったぁ~」
俺は程よい疲労感と満足感に満たされながら部屋の扉を開く。すると部屋の前で警備をしていたベータに出くわす。
「これはこれはキング・イチロー様、随分とお楽しみだったご様子ですね…」
「おぅ、随分と楽しませてもらった」
ドラクエの宿屋のようなセリフを返してくるベータに、俺は機嫌よく答える。するとたまたま用事で部屋の前に来たと思われるミリーズが俺の姿を見るなり、ぷくっと頬を膨らませてツカツカと足音を立てて近づいてくる。
「ちょっと! イチロー!」
「おぅ、ミリーズ、待たせたな」
「待たせ過ぎよっ!!」
随分と怒なご様子だ。
「ちょっと長くなったぐらい、いいじゃないか」
「ちょっとじゃないわよっ! もう一日…いや一日半経っているのよっ!」
「えっ!? 一日半? そんなに時間が経っていたのか?」
自分自身でもたっぷり致していたとは思っていたけど、一日半も時間が過ぎているとは思わなかった。道理でスゲー満足感があるはずだ…
「確かにアイリスに対しては私も腹を立てていたからイチローの致しは許可したけど…長くて2・3時間だと思っていたら、まさかどっぷり一日半もするとは思わなかったわよ… 致し過ぎよっ! 中で腹上死でもしてるんじゃないかと心配したわよっ!」
「いやいや、すまんすまん… 向こうにいる間の二か月、ずっと我慢していたもんだから、久々の致せると思って随分とハッスルしてしまったんだ」
「えっ!? イチローが二か月も我慢してたの!? ロアンや私たちと冒険している時は一日も我慢できなかったのに?」
今から思うとあの時の俺はホント猿だったよな… ミリーズだけで一日置かずに致していたけど、実際はアソシエやネイシュもいたからなぁ~
「まぁ… 俺なりの願掛けみたいなもんだよ、向こうで致していたらこっちに戻るモチベーションが下がると思ってな」
後、向こうで致してしまったら、また誰か孕ませそうだからな… そうなると尚更こっちに帰りづらい… あっ… よく考えたら向こうで孕ませてもこっちにお持ち帰りすればよかったのか… 無駄な我慢だったかもしれんな…
「あら…そうだったの…それじゃ一日半ぐらい… 一日半… うん、一日半ぐらい仕方ないわね… それより、一日半も飲まず食わずで良く続けられたわね…」
「そこは時々、収納魔法から向こうで手に入れた飲食物を取り出して飲み食いしていたんだよ」
「あぁ、あれね、私もカローラちゃんから分けてもらったわ、あんな美味しい食べ物や飲み物がいつでも安価に手に入れる事が出来るなんて、イチローの元居た世界は凄いわね」
「ミリーズも食べさせてもらったのか、でも俺のいた国が特殊なだけで、向こうの世界全てがそうじゃねぇよ、所で、冒険中に使う浄化魔法でさらっと身綺麗にしたけど、ちゃんと風呂に入って本格的にさっぱりしたいんだが、ここって風呂借りることは出来るか?」
浄化魔法は便利なんだけど、本来は冒険中に使うものだから、ちゃっと水洗いするぐらいの効果しかない。だから、さっぱりする為には本物の風呂に入りたい。
「大浴場の方は聖女候補生の使う所だから、男性のイチローには使わせてあげられないけど、客室の簡易浴槽なら使わせてあげられるわ」
「あぁ、致した後だし風呂に入れるならどこでもいい」
致す前ならちょっと大浴場の方も惹かれたかもしれんな…
「じゃあ、案内するわ、ついてきてくれる? イチロー」
「分かった」
案内してくれるミリーズに付いて行こうと思ったが、途中である事を思い出してベータに振り返る。
「あっ、ベータ」
「なんでございましょう、キング・イチロー様、致したりないのでしょうか? それなら、私が…」
「いやいや、そうじゃなくて… ちょっと致し過ぎたもんだから、アイリスが腰が抜けて動けない状態だから、アイリスの方はベータが風呂入れて身体を綺麗にしてやって面倒見てくれないか?」
「わかりました、キング・イチロー様、このベータにお任せあれ」
アイリスの事はベータに任せてミリーズの後を歩いていると、後ろ部屋の中から、ベータの「うわぁ…」という事が聞こえる。
「ちょっと…イチロー… 本当にどれだけやったのよ… あのベータがうわぁっていうのは初めて聞くわよ…」
「いや…二か月ぶりだったからな…」
俺にはSMの趣味もリュナの趣味も無いから至って通常のノーマル致ししかしてないけど… 処女だったアイリスにはちょっと濃くすぎたか?
そして、ミリーズに客室に案内された俺は入浴の準備を始める。やはり質素が基本の聖女候補生育成所だけあって、客室でも浴槽は小さめで、しかも浴槽の中身はお湯ではなく水だ。
一瞬、火照った身体を覚ますのも良いかなと思ったが、現代日本から持ち帰った入浴剤を試したくなったので、魔法でお湯を沸かす。そして丁度良い湯加減になったところで、檜の香りの入浴剤のタブレットをぽとりと落とす。
「大浴場だと厳しかったけど、この浴槽なら丁度良いな」
湯から立ち昇る檜の香りを大きく吸い込み肺に満たす。聖剣やカローラの荷物が多すぎてあまり持って帰って来られなかったが、カローラ城に戻ったら、ディートと一緒に風呂に入ってこっちでも同じような物が作れないか相談してみるのもいいな。
俺は収納魔法から男性用デオドラントシャンプーやボディソープを取り出して、致しの汗や臭いを落としていく。さすがは現代日本の製品。この世界の石鹸とは異なり、身体をあらった爽快感が段違いだ。
さて、身体を綺麗さっぱりしたので次は入浴の儀である。ほんのり湯気が立ち上げる湯船に足先から湯に付けていき徐々に身体を沈めていく。
「ふぉぉぉ~ 気持ちいいぃ~♪」
首までしっかり使ったところで思わず声が出る。
「やっぱ風呂だな… 致した後の程よい疲労感の後に入る風呂は格別だ~」
俺は十分に風呂を満喫した後、風呂場を出ると、着替えを持つミリーズの姿があった。
「ようやくお風呂を上がったのねイチロー… あら? なんだかいい香りがするわね…木の香りかしら?」
「あぁ、向こうの世界から持ち帰った入浴剤の香りだよ」
「そうなの? いい香りだから今度私にも入らせてもらえるかしら… とりあえず、これ、着替えだから来てもらえるかしら」
そう言ってミリーズが着替えを差し出してくる。
「ん? これって、俺が転移する前に着ていた『麗し』の衣装だよな… なんで風呂上がりにこれを?」
差し出されたのが部屋着でも普段着でもなく、式典などで使う『麗し』の衣装だったので俺は首を傾げる。
「呼び出しよ、イチローがお風呂に入っている間に呼び出しがあったの」
「呼び出しって… 正装が必要な呼び出しって一体誰だよ?」
「前教皇様よ…」
ミリーズは真剣な眼差しで俺を見た。
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