第133話 例のポーズと気まずい公開処刑
近場の敵の区画、その換気用の蟻塚のような煙突に近づいた、俺達の軍は、アルファーとベータが、煙突を警護しているドローンのコントロールを押さえると、素早く兵たちが、首を落として〆て回り、ついでに腹の部分も切り落として背中の籠へと放り込んでいく。やはり、食材を集めるつもりで籠を背負っていたのかよ…
「では、これから中央部に乗り込みだな」
「はい、イチロー殿、よろしくお願いします」
「とりあえず、敵のジェネラル級を制圧したら、煙突を使って合図をする。その合図を見て、サイリスたちは突入してくれ」
俺はサイリスと言葉を交わすと、飛行魔法を使い、煙突の開口部へと向かう。翅が残っているベータは俺と一緒に飛行してついてきており、翅のないアルファーは身体能力を使って、ぴょんぴょんと跳ねながら、開口部までやって来た。
「それではこのベータが一番槍を頂きます!(キリッ)」
「私もベータの後に続きます」
ベータが煙突の中に獲物を狙う海燕のように吸い込まれていき、アルファーが人間の剣をもって突入していく。
「よし、俺も突入だ!」
俺も二人に続き穴の中へと突入する。前回の穴の中から飛び出す場合と異なり、突入の場合は最終地点が血面であるので、底が見えるにつれ、速度を落としながら着陸する。そして、空気穴から顔を出すと、ここのボスとアルファーとベータとの戦闘は既に始まっていたようであった。
剣を使ったアルファーの戦い方は、どことなくノブツナ爺さんの剣筋に似ている様な気がする。やはり、一度戦った相手の動きを取り入れているのだろうか。片やベータの方は片腕の鎌は失っているが、最初にあった時の様な戦い方をしている。一人であれば恐らく押されていただろうが、アルファーと二人係なので、徐々に押し始めている。
このまま眺めていても二人が押し切りそうな感じではあるが、戦いはここだけでは無く、これからずっと続く長丁場になる。二人の消耗しすぎるのは不味いので俺も加勢する。
といっても、俺が剣を持ち出して二人の乱戦に加勢しても二人のテンポが悪くなるだけなので、俺は遠距離で加勢しようと思う。
俺は腰のポケットに手を突っ込み、じゃらじゃらと音を立てる小石の塊を掴む。こいつは蟻のコントロールの鍛錬をしていたカローラに集めさせたものだ。蟻で集めたか、それともカローラ自身が集めたかは分からないが、以前使っていた鉄球の代りにはなる。
俺は手元から小石を飛ばして、敵のジェネラルの翅を狙っていく。あいつらの翅はただ移動に使うだけではなく、戦闘中の体勢を維持するのにもつかわれる。なので、翅を潰していくと、隙ができやすくなってくる。
「隙あり!」
体勢を崩し始めた敵に、ベータが声をあげ、敵に足払いをかます。あいつも俺の技を盗んでいたのか… そして、敵が前のめりに倒れこんだ所に、アルファーとベータがそれぞれ、敵の腕を掴んで、脇固めのように地面に敵を押さえつけていく。
どうやら、勝負は着いたようだな。俺は二人が抑え込む敵へと近づいていく。
「抵抗は無意味だ、我々に駆逐されるがよい」
「キング・イチロー様がそれを言われるのですか?」
「うん、実はちょっと言ってみたかった」
「流石はキング・イチロー様! そこに痺れる! わからせられる~!」
俺の言葉にアルファーとベータが反応する。しかし、敵は無言で自由な下半身だけをじたばたさせる。ん~ これでは致しにくいな…
「おぉ、もう決着がついておるではないか~」
「あっ 本当、私の出番ない」
「あっしは、戦えないんで、その方がいいでやす」
空気穴から、シュリ、カローラ、カズオの三人が降りてくる。
「おぉ、みんな、丁度よい所へ来た」
俺は三人に声をかける。
「へい、上の合図の事でやすか?」
「いや、合図はまだ後だ、敵をまだ、わからせていない」
「では、何をするのじゃ?」
三人が俺の元へとやってくる。
「あいつがまだ、暴れているから、シュリとカズオであいつの足を押さえてもらえるか?」
「わらわとカズオがか?」
シュリが首を傾げながら、カズオとともに敵に近づく。
「動かしにくい、腰から太ももに駆けて押さえていけ、そうだそうだ、それで足首を掴んで両側に開け」
シュリとカズオは俺の指示に従い、敵のポーズをお尻だけ浮かせて、足を開いたポーズへと変えていく。これで準備オッケーだ。俺は敵の後ろへと回り込む。
俺はカチャカチャとベルトを外す。
「あ、あ、主様! い、いいいったい、何をしておるのじゃ!!」
「何をってナニをする準備に決まっているじゃねぇか、こいつらは致してわからせないと、大人しく俺達の仲間にならんのだ」
俺は慌てふためくシュリに下半身を露出させながら説明する。
「ど、どどいういう仕組かは分らんが、わらわは、強姦の手伝いをさせられておるわけか… あれ… なんだか、涙が溢れて来たのじゃ… 泣いているのはわらわか…?」
「しかし、旦那も、仲間とはいえ…いや仲間の目があるのに、こういう状況下でできやすね…」
足を押さえている二人が愚痴を言い始める。
「うるせぇ!! お前らがちゃがちゃいうな!! 萎えるだろうが!!! この方法しかねえからしかたねえんだよ!!!」
俺は下半身を露出させて叫ぶ。俺史上、最高にかっこわるい怒りシーンだ…
そんなこんなで、俺は敵との人間式同化作業を行った。早く終わらせれば早漏と思われるし、時間を掛ければ、公開処刑の様な気持ちを味わうしで、これも俺史上、最高に楽しくない致し行為であった。
「新たな生態認証を確認、自己の管理権限を女王から、新たな生態認証提供者に移行します」
敵のジェネラルが言葉を口にする。
「おう、これで仲間になったようだな。これからのお前の名前はガンマだ」
「分かりました、キング、私はこれからガンマです」
ガンマはまだ頬を高揚させながら、俺に対して敬礼する。ちなみに下半身は事後の状態だ。
「しかし、こやつらは、ホント、わらわたちとは全く精神構造が異なるのじゃのう…」
「でやすね、致した後なのに… 普通ならなんか気まずくて、どうしたらいいものやら…」
ガンマの様子を見て、シュリとカズオがこそこそ話をする。
「うるせぇ! おまえら! そんな事を言うな! これから何十人と同じことをせにゃならんのだ! やりにくくなるだろうが!!」
ちなみに、今はズボンはちゃんと履いているので、もう恥ずかしくもないし、カッコ悪くない。まぁ、セリフは自分でもどうかと思うが…
「えっ!? なんじゃと!? まだまだ、何十人じゃと!? わ、わらわはこの後、何十回も強姦の手伝いをせねばならんのか…」
シュリは涙をポロポロ落としてガン泣きし始める。
「ちょっ! 泣くなよ! シュリ! これから遣り辛くなるだろうが… それに、敵を仲間にしていけば、もうお前の手は借りんよ…」
「イチロー様、もう終わった?」
カローラが空気穴の所から、ぴょこっと顔を出す。こいつはこういうややこしい時の回避能力は滅茶苦茶高いな…
「あぁ、終わった…」
なんか別の意味でも終わりそうだけど…
「じゃあ、外への合図をしましょうか」
こうして、外へ合図を送り、外のサイリスたち兵士が次々と中へ入ってくる。
そして、中に入って来たサイリスが俺達の気まずい空気に気が付く。
「えっと… 何かあったのですか?」
「すまんが、聞いてくれるな…」
俺は俺達の様子を不審に思うサイリスにそう答えた。
こうして、サイリス達、一般兵はここに拠点を作り、ドローンを始末していき、俺達は次のジェネラルを制圧する為、先に進んだのであった。
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