第96話 ワイフ・プリンセス~10の孕ませ~
「じゃあ、あの時のエルフたちは全部、君の姉たちで、全員、族長の娘って事なのか?」
俺はダークエルフのシーハンに問いただす。
「はい、私の異母姉となります。姉たちの事はありがとうございました」
そう言ってシーハンは再び、俺に対して頭を下げる。いや、ありがとうございましたって、俺はエロい拷問をしようと考えていたのに、簡単に口を割るものだから、エロい拷問が出来ず、結局、勢いにのって11Pをしただけなんだが…
もしや、シーハンがシンデレラみたいに姉たちにいじめられていて、俺が致した事でざまぁになったから礼を言っているのか? 兎に角、ありがとうだけでは、俺はどう答えていいものか分からない。
返答に困った俺は、頬を掻きながらチラリとシーハンを見る。シーハンは執事が運んで来た椅子に腰をかけ、こちらに向き直って話し出す。
「そもそも、我々、南部黒エルフのピローテス部族は人類側に対して、無干渉中立の立場を執っていたのですが、ある日突然に姉たちが魔族側に付くと言い始めて、マセレタと呼応して、街道封鎖を行い始めたのです」
「あぁ、街道を使って交易をする商隊を襲っていたやつか」
俺はあの酒場の街の事を思い出す。
「そうです。しかし、ある日、突然、集落に戻ってきて、人類側に立てつくことを止めたと言い始めて驚きました。それで、その訳を尋ねてみたら… そのぅ…」
シーハンは言葉を濁し、赤面しながら俺を見る。俺はすぐにシーハンが言葉を濁し俺を見た理由が分かったので、バツが悪くなってシーハンから目を逸らせた。…しかし都合の悪いことに、目を逸らせた先で俺を睨みつけるカミラル王子と目が合ってしまい、俺は仕方なく目を伏せる。
「あぁ、別にイチロー様を責めている訳ではありません。お蔭で我々、黒エルフ族が人間と争わなくても済みましたので… 幸いな事に人類側に死者がおられなかったので、話がまとめやすかったです。ただ…」
俺は伏せがちな顔でシーハンを覗き見る。
「我々の部族では、『部族以外の男性と交わり子をなした時は、その男性の所でその男が住まう所の文化や風習を学びながら、子育てをしろ』という掟がございまして…」
「もしかして… 出来ちゃったの? …何人が?」
俺はカミラル王子の視線を気にしながら、恐る恐る尋ねる。
「…全員です…」
「えっ!? 全員!? 全員って10人だよな?」
俺はガッツリとシーハンに向き直り、目を丸くする。視界の端に俺を睨むカミラル王子の顔がチラチラと映る。
「一番上の18歳の姉から一番下の14歳の姉に至るまで全員です…」
異母姉妹だった10人を全員、竿姉妹にした上に、全員、処女まで頂いて、おまけに妊娠か… 自分で言うのもなんだが、俺は業が深いな…
「で、俺の所に来て、子育てするといったが、いつ来るんだ?」
俺は出来るだけカミラル王子が視界に入らないようにシーハンに向いて尋ねる。
「はい、ここイアピースに私と同行しておりますので、イチロー様が帰られる時にご一緒致します」
俺はその言葉に頭を抱える。カミラル王子の早急に引き渡したいものがあるというのは、この事だったのか…
「イチロー… 私がどれだけの忍耐力を発揮したか分かったか? 王子という立場でなければ、お前も女たちも叩き切っていたところだぞ!」
俺は、カミラル王子に向き直り、頭を下げる。いや、御見それしました。この状況だったら、俺でもそうするかもしれん…
「とりあえず、南部ダークエルフのピローテス族長が、娘たちが人族と契りを交わしたという事で、全力で南部獣人連合をまとめ上げ、人類側と友好的な立場を表明してくれたのだ。その御恩に報いるためにも、くれぐれもダークエルフの娘たちに粗相がないように… 分かったか! 粗相をするなよ!」
「サー! イエッサー!」
俺はしかりつけられた事で、大げさに敬礼しながら答えた。
カミラル王子とシーハンとの会談が終わり、俺たちは城を出て城門前にいる。さて… これからどうしよう… 俺は振り返り、ダークエルフたちを見る。シーハンを合わせて11人いる。
今回、イアピースまで俺一人、馬一頭で来たので、全員乗せる訳にはとても出来ないし、歩いて帰る訳にも行かない。どこぞで、幌馬車でも買うしかないか…
「主人ちゃん、これからどうするの?」
ダークエルフの一人が俺に聞いてくる。
「どうするって、俺の城へ帰るんだが、歩いて帰る訳にもいかないから、どこかで全員乗れる馬車でも買おうと思っているんだが…」
俺はそう答える。それより、主人ちゃんってなんて呼び方だよ…
「主人ちゃま! それなら、イーはどこかでお食事したい!」
「しゅじん~! ボクもお城の食事に飽きたから街で食事したい!」
別の二人のダークエルフが声をあげる。
「ご主人様、わ、私はちょっと街を見て回りたいかしら、べ、別に旦那様と二人で見て回ってもいいんだからねっ!」
別のダークエルフがツンデレっぽく言う。
「分かった、分かった… それなら先ず飯だ、その後、自由時間をとるからそれでいいか?」
「ごしゅじんたま、ウー、ごしゅじんたまとお手手つないでいい?」
「しゅじんさぁや、ちぃも手を繋ぎたい…」
二人が俺の両側にやってきて、俺の手を掴む。
「主人! 両手が塞がっているから、あたしが馬みてあげるね! スケルトンホースをまぢかで見るの、初めてなんだ!」
「主人君、私は、自由時間の時に本屋に行きたいのだが、いい本屋を知らないか?」
「しゅじんさま、姫はお菓子がみたいですの!」
さっきからこいつら、俺の事を主人ちゃんとか、主人ちゃま、しゅじにぃ、ご主人様、ごしゅじんたま、しゅじん~、主人、主人君、しゅじんさまとか… お前ら、某12人の妹がいるアニメかよ…
「なぁ、シーハン…」
「はい、イチロー兄君さま」
お前もそんな呼び方をするのか…
「もしかして、お前の姉妹12人だったりしないか?」
「よくご存じでしたね、一番下に妹がおります。その妹はまだ小さかったので、姉たちとは行動せず、父の所におります」
マジ、12人だったわ…
俺は手持ちの金を頭の中で計算する。先ほど、カミラル王子から褒章として金貨200枚を貰った。この200枚の金額は色々と功罪を合わせた金額であろう。貰えるだけでも有難い。おそらく、カローラ城の事もバレているはずだ。向こうも王族の恥部だから、だまっているはずだが、俺たちが勝手に使っていることを見逃してくれているのだろう。それと前にウリクリから貰った金も残っているので、幌馬車と馬を買って、この娘たちの身の回りの品を買っても大丈夫だろう。
その後、俺たちは街の食堂で食事をとった後、一人、金貨五枚を渡して、身の回りの物を買わせて、幌馬車と馬二頭を買って、カローラ城に戻ることとなった。
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