タイトル回収

「じゃじゃーん! というわけで、ギャイラスコラボカフェに行ってきたわよ~! こいつがその戦利品!!」


【行動早くて草】

【めっちゃあるやん。どんだけ食べたの?】

【オタク全開なラブリー、流石ですわ……】


 その日の夜、天は雑談配信にてコラボカフェでゲットしたグッズたちを早速リスナーたちへと報告(自慢)するために見せびらかしていた。

 コースターやランチョンマットなど、キャラクターたちのイラストが描かれた限定の品を撮影した写真を画面に表示しながら、その光景にうっとりとしている天が熱を帯びた口調で語り続ける。


「料理も映える上に美味しかったし、グッズもいい感じのものばっかりだしさあ……やっぱりギャイラスは最高よね! みんなもコラボカフェ、行こう! っていうか行け! お前らも行くんだよ!!」


【いつにも増してテンションがヤバいwww】

【そんなにギャイラスが好きになったのか、ラブトラマン】

【コラボカフェってメニューの値段が高くて足踏みしちゃうけど、ギャイラス好きだし一度は行ってみるかなあ……?】


 自慢だけでなくカフェの宣伝もする辺り、天のアニメ愛は流石といった感じである。

 ここまでは実に普通の配信なのであったが……大概の場合、こういう調子に乗った人間というのはその長く伸びた鼻をぽっきりとへし折られるものだ。

 天にとって、その瞬間は思ったよりも早くに訪れた。


【なんかグッズの中にカップル限定でしか貰えない品があるように見えるんだけど、気のせいか?】


「うぇっ……!?」


 そんなコメントを目にした天が、驚きに声を漏らすと共に自分が表示しているグッズを撮影した写真を改めて確認する。

 そうすれば、確かにそこにカップル限定でしか貰うことのできないグッズの姿があることに気が付いた彼女は、自分の失敗を心の中で後悔し始めた。


(し、しまったぁ! グッズを前にして、完全にこのことが頭の中からすっ飛んでた~っ!!)


 調子に乗っていたというか、完全に失念していたというか……なんにせよ、浮ついた気分のせいで迂闊にも自分がとんでもない失態をしでかしたことに天が気が付いた時には後の祭り。

 コメント欄はにわかに騒ぎ立つと共に、面白おかしいリスナーたちの声が爆速で流れていく。


【ラブリー、お前、男がいたのか……!?(嬉し涙)】

【幸せになれよ、愛鈴! ……と思ったけど、まさか相手はくるるんじゃないよな? だとしたらくるめい過激派として黙っていられないんだが?】

【よっしゃ火種ゲット! ちょっと枢に火炎瓶投げ込んでくるわ!】


「あっ、ちょっ……! た、タイム! マジで待って! マジでそれはヤバいって!!」


 自分に男がいたことに関してはどうでもいいのかと、大事なのは相手が枢じゃないかどうかなのかと、ガチ恋勢の存在が全く感じられないコメント欄に若干凹む天であったが、今はそんなことを言っている場合ではない。

 もう完全に手遅れなのだが、このままではせっかく自分のために時間を使ってくれた零にとんでもない迷惑がかかってしまうと……そう焦る彼女の目に、メッセージの着信を示す通知と、その内容が飛び込んできた。


【やったな、お前? どうしてくれるんだ?】


「あ~、あ~、あ~……」


 送り主の名前は当然ながら蛇道枢。メッセージの内容は、これまた当然ながら天の不用意な行動に対するツッコミ。

 PCの前で顔を引きつらせる彼女の視線の先では、『LOVE♡FAN』をはじめとするリスナーたちの火炎瓶投擲会が繰り広げられている。


【くるるんが浮気するだなんて……しかも相手がラブリーとか、すごく残念です……】

【妻帯者としての自覚があるのか!? どうなってるんだ、枢!?】

【これは燃えますねえ、間違いない】


「あ~、その、えっと、ねえ? あ、あはは、あははははは……」


 完全に恩を仇で返すことになった天が、乾いた笑いを上げ続ける。

 こうして見事彼女と共に炎上する羽目になった蛇道枢は、なんだかんだでくるめい過激派にボコボコにされたり、され返したりを繰り返した後に数日後に無事に騒動を鎮火させたそうな。


 ちなみに零は天にマジギレした。


――――――――――

公約SS一本目、楽しんでいただけたでしょうか?

購入してくださった皆さんへの恩返しが少しでもできたら嬉しいです。


次回はくるめい回を予定しておりますので、楽しみにしていてください!

あと、何度も申し訳ないんですが、続刊目指して頑張ってますので、よろしければ書籍の購入をよろしくお願いいたします!!

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