第2章 結婚式準備
side 愛海
少しずつ、少しずつ、彼のもとに近づいていく。
近づくたびに、自分の中のドロドロしたものが心を搔き乱していくのがわかる。
狂っていく
狂ッテイク
クルッテイク
思考が働かない。
あれだけ、感情的になるな、常に冷静でいなさいと愛する人に指導していたのに、今の自分は全く冷静でなかった。
ただ強い衝動に突き動かされて歩いていた。
いや
ただ歩いているだけではなかった。
ゾワリ、ゾワリ
私が感情を昂ると、私の影が形を変えていく。
そう、其れはもうただの影ではなかった。
影が伸び、地面からも離れれる。
其れは私の影であって影ではない、手のように伸びる鋭い刃だ。
影の刃は、私の目の前の木々を切りさいて道を開いていく。
まっすぐ歩いた、その先に、彼がいる。
あの女と一緒に……
影の刃が無数に現れ、さらに激しく周りを切り裂いていく。
私の感情を表すかのように。
そうして、歩いていくと、山の麓にある小さな駅前の広場にたどり着いていた。
***調査フェイズ***
時 間:90分
目 的:魔獣の弱点を見つけ出す。
***シーン アッサルト***
アッサルト:駅前広場に行き、魔獣の気配があるか辺りを探す
駅前広場は完全ではないが、封鎖を開始している。
明日は小規模ながら、ホワイトデーのイベントもあるようで、ハートの飾りなどが飾られていたた。
その時であった。
アッサルトは強烈な気配を感じる。
其れはこの世ならざる、いや、この世にあってはならない異質な気、魔獣が放つ邪気であった。
しかし、これだけ強烈であるのなら、近距離におり、はっきり見ることができるはずの魔獣の姿
すぐそばにあるのに、すぐに視線を外しそうになる。
だが、なんとか集中して探すと、黒いドレスをまとった女性を認識することができた。
年齢不詳な整った顔立ちは僅かに衰えが見えるようであったが、それも邪力の影響かわからなくなる。
いや、整った貌であったのか、それすらもわからなくなった。
彼女がきているのは、喪服のような黒いドレスであった。
高価そうな古い大粒の真珠のネックレスをかけ、指輪や腕輪も上品な装飾が施されていた。
アッサルトが認識したことで、愛海もまた彼を認識する。
青みがかった黒い髪に、青い瞳を持った青年であった。
その手には、現代日本には似つかわしくない細身の剣「サーベル」が握られていた。
常人でないことは、今の彼女ならわかった。
だが、それはどうでもいい事であった。
大切なことは……。
愛海は左手にもった愛用のビジネスバックから携帯電話を取り出すと、時間を確認した。
大丈夫、まだ時間はある……
再び携帯電話をしまう時、指がビジネスバックの牛のぬいぐるみに触れる。
「白垣くん……」
愛海は再び歩き始める。
「行かないと……」
アッサルト:(おぼろげではあるが…感じることはできる。攻撃できるだろうか)
アッサルトはとりあえず声をかける
アッサルト:「古杉愛美さんですか?」
突然の問いかけに驚き、愛海は体を震わせる。
だが、彼に構っている暇はない。
愛海は問いかけを無視した。
アッサルト:(返答はない…ならば)
アッサルト:魔獣の気配を感じる場所を高速移動でぐるぐると回り囲み始めた
アッサルト:(攻撃の隙を伺おう…どう反応するか)
自分の周囲を高速で動き回る青年の動きに、愛海は戸惑う。
だが、攻撃を仕掛ける意思はないようだった。
だから…
愛海は、アッサルトの「横」を通り過ぎていく。
そのことにアッサルトが気づいたのはしばらく経ってからだった。
彼女の動静に注意しながら、移動して挑発を試みたのに、いつの間にか、彼女を認識していなかったのだ。
アッサルト:(!? ………考えが甘かったか)
アッサルト:しかしアッサルトは追いつこうとする
アッサルト:「古杉さん、どこへ行くんです。白垣さんのところへですか。あの人は別の人と結婚します。もう破壊活動は止めてください。お願いします」
アッサルトの言葉が、愛海の心を揺さぶる。
愛海:「白垣くん」
愛海:「白垣くんのお嫁さんに……」
愛海:「あわないと」
愛海:「壊す? 壊したくない」
愛海:「あああ、でも」
愛海の体の中で、様々な感情の嵐が吹き荒れる。
なぜなら、彼女の心は歪み、狂っているから。
彼女の中で昂っていた想いが、邪気となってあふれでていく。
(感情のコントロールができない)
愛海は、目の前の青年を見る。
彼は、彼女に立ちはだかる壁だ。
(壊さないと……)
そう壊さなければ、目の前の男も、愛する男も、そしてセカイも
堪えきれない破壊衝動が彼女の心から零れだす。
愛海:「許せない、壊してやる」
愛海:「すべてを壊してやる!」
愛海:暗い炎を宿した瞳でつぶやきます
アッサルト:(よし、こっちに注意が向いた)
アッサルト:「あなたが破壊をやめないのなら、僕はそれを止めるまでです。それが僕の使命だから」
アッサルト:剣に手をかけ、魔獣の瞳をにらむ
敵対し、殺気を放つアッサルトを見た愛海の足元の影が蠢き、アッサルトに襲い掛かかる。
GM ;【情報判定>魔獣戦闘】を開始します
【魔獣攻撃】3 魔獣の攻撃ロール
【邪力1:魔獣】+【邪力2:愛憎のパトス】、強い想いを放ちながら、【邪力4:●●】で足元も影が伸び、騎士を襲う。
魔獣への攻撃は【邪力3:●●】で騎士の認識を阻害しかわす。
アッサルト:【能力3:アッサルト】として戦う。
アッサルト:【能力4:セントアリア軍剣術】伸びてきた影を剣で次々と受け止める。
アッサルト:(弱点は……わからないな。こちらからも攻撃してみなければ)
アッサルト:剣に力をこめ、影を思い切り弾き飛ばし、一瞬の隙をつく
アッサルト:【能力2:突撃疾風】すぐに高速移動し、かすかな気配にしっかりと集中しながら、魔獣に攻撃を入れる
GM 邪力3-1,邪力4-1、判定値+7でどうぞ
アッサルト:2d6+7
アッサルト:16. (4 + 5 = 9, 7)
【邪力描写】7 邪力の細かい描写
愛海の足元から繰り出される影の攻撃、実態をもたないはずの影の攻撃は防御不可能
影はアッサルトだけでなく、他のオブジェなども切り裂いていく。
そして、彼女の姿がさらに消えていく。
だが、完全に消えたわけではない。
なんとなく彼女のいる場所がわかる。
それがなぜかはわからない。
【激突】11 PCのロールの結果、邪力がどうなったかを説明
アッサルトが高速移動している中であってさえ、何度も攻撃目標としてのロックオンが外れてしまう。
【推測】15 違和感にたいする推察
影はアッサルトだけでなく、ハートのオブジェやカップルを襲ってくる。
そんな中、なぜかアニメで有名な4次元ポケットを持つネコ型ロボットの人形も無残に切り裂かれていた。
GM:愛海のダメージ判定
GM:12+2d6
GM:16. (12, 3 + 1 = 4)
GM:同値ですので、ダメージはないですね。
影の刃の攻撃を、アッサルトは紙一重でかわしていく。
アッサルト:(影は、対象物と意識したものを襲うものと、まったく無差別に斬ってくるものがある)
アッサルト:「古杉さん、あなたは好意を寄せていた白垣さんが結婚するから、悲しいんですね? 新婦が憎いのですね。……白垣さんも憎いですか」
その問いかけは、彼女の心を搔き乱す。
愛海:「白垣君、憎い? 大好き? 嫌い? 愛している?」
幸博が幸せなことは素直にうれしい、自分が結婚相手でないのは哀しい
香恋は健気な少女だ、祝福したい。でも、うらやましい、嫉妬してしまう。
だから、私は一度は断った彼らの結婚式に……
いや、違う。
それだけなら、行くのを我慢できなかった。
我慢できなくなってしまったのは……
愛海:「あああああああ!」
愛海は頭を掻きむしりながら絶叫する。
彼女はただそこにいるはずなのに、アッサルトは認識できなくなっていくのを感じた。
アッサルトがあわてて近づこうとすると、影の刃が伸び、アッサルトに再び襲い掛かってくる。
アッサルト:「待って! 消えないでください!」
アッサルト:考えるほど混乱してくる
アッサルト:(こうなったら……!)
アッサルト:自分とハートのオブジェやカップル以外に向けられる自動追尾の影を見つけ、そこに一瞬で移動し、その影に一撃を入れ逃走を試みる
GM:では、逃走できます
アッサルト:魔獣の様子は?
GM:そのまま、結婚式の行われるチャペルのほうにむかっています
アッサルト:「逃げられたか……」
アッサルト:「もしかしたら、本体の影自体に攻撃をいれるべきだったかもしれない。影に何かあることは間違いない、と思うが…」
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