第1章 結婚式の朝
side 香恋
早朝
私は目を覚ました。
結婚式前夜で緊張していると思っていたけど、いつのまにかぐっすりと眠っていたようだ。
私の隣には、愛する彼がいる。
彼の寝顔をみているだけで幸せな気分になっていく。
大学の寮に引っ越すため、彼が施設を出たのは、7年も前のことで、そのころ、私はまだ小学生だった。
彼、幸博さんは、よく私たちの面倒を見てくれる優しいお兄さんだった。
当時の自分の気持ちなんて、はっきりと覚えていないけど、少なくとも幸博さんに対し、憧れの意識は持っていたのだろう?
18歳になり社会に出た私が、幸博さんと再会した時、私はびっくりした。
小さい頃の思い出は補正され、いい思い出になるという。
小学生の時、幸博さんが別れる際、私の頭を撫でてくれた時の事を私ははっきりと思い出すことができるけど、その思い出の中よりも、再会した幸博さんのほうがもっと輝いて見えた。
きっと私と別れてからの6年間で、幸博さんは素晴らしい人生を送ってきたのだろう。
再会した時は知らなかったけど、彼を支え変えていった女性を、今の私は知っている。
古杉愛海(こすぎ あいみ)さん
幸博さんの会社の上司
40代と聞いていたけど30代にしか見えない綺麗な人
何度かあって話したこともあるけど、素晴らしい女性だった。
幸博さんが、古杉さんの事を尊敬するのも当然だと私は思っている。
でも、彼女が幸博さんに向ける視線は本当に、ただの部下に対するものだったのだろうか?
古杉さんは笑って否定していたけど……
だったら、なぜ彼女は、大事な部下の結婚式に欠席するのだろうか?
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