序章 結婚前夜

side 香恋

 結婚は、女の夢。

 そんな時代ではないのはわかっているし、自分もそんなこと思っていなかった。


 そもそも、私は親に捨てられた女だ。


 愛なんて知らなかったし、家族なんてもっとわからなかった。 

 そんな私にとって、結婚は鬼門だった。

 


 彼と出会い、彼を愛しても、結婚は不安だった。


 

 でも、あの人の言葉が、私の心も前向きにしてくれた。 

 だから、コロナ渦だし、友達もいないし、費用もなかったけど、できる範囲で結婚式の準備をした。


 

 幸せな結婚をするために……

 


 理想をすべてかなえたわけではないけれど、私は満足だった。

 それまで薄暗い人生を歩んできた私からすれば、結婚式の準備で苦労する事ですら幸せだった。

  

 明日はいよいよ、結婚式

 

 

 

 

 ウェディングベルがもう聞こえてきそうだった……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る