笑う探偵と冴えない助手
あめ🍬
プロローグ
バチバチと窓に雨風がふきつけている。山奥の館で開催されたとあるパーティー。私は親の変わりとして出席することになった。特に話す人もおらず椅子に座り足をブラブラさせながら女性の話を聞いていた。なんとも誕生日パーティーだとかなんとか。中1だったころの私にはつまらない話だったのだろう。
「では、楽しんで行ってくださいませ!!」
スピーチしていた女性の声がステージを降りる。その時だった。
「キャァァァァァァ!!!!」
扉の外から悲鳴が聞こえた。私は思わず顔を向ける。嫌な予感しかしない。
息をきらしながらメイド服を着た女性が入ってくる。汚く汚れたスカートの裾はところどころいたんでいる。
「どうしたの···?風見さん···」
「奥様が!奥様が!息をしてないんです!もがいた様な跡があって···!それに、それに···!!」
「あ、案内してください!!」
思考より先に体が動いた。周囲の視線が自分に集まるのがわかる。
「え、えぇ!こ、こちらです!」
全く、嫌な体質だ。巻き込まれ体質の私にはゆっくり楽しめる時間というものがないのだろうか?それにしてもこのスカートは走りづらすぎる。母さんも母さんでこんなフリフリしたスカート中学になってはかせるなんて、恥ずかしいったりゃありゃしない。
メイドさんは階段をかけのぼった目の前にあるドアを丁寧に開けた。おそるおそる中に入るとベッドの上に無惨な姿となった遺体が現れた。白のシーツはめくられもがいたとわかる。苦しかったろう。死にたくなかったろうに。顔に近づくと首もとに跡ができていた。おそらく首を絞め殺害したのだろう。となると、犯人は腕力の強い者と絞ることができる。
「メイドさん、館って今出入りできる状態ですか?」
「えっ···?いや、警備員が玄関にいるから出入りしていたとすれば警備員が把握しているはずよ···!」
「なるほど···メイドさん、今すぐ警察を呼んでください。警備員が誰も出入りした人物を見ていなければ犯人はまだ会場内にいる···と思います」
「ほほう」
メイドの後ろから少し背の高い男性が現れる。制服に身を包んでいる。
「君、僕の助手してみない?シャーロックとワトソンが揃ったら解決できない事件はないよ!」
「え?」
これが全ての始まりだった。あの日、この時から始まった。
笑う探偵と冴えない助手。
または···
探偵は笑い、助手は泣いた。
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