一つだけ

あなたに一つだけ

話しておきたいことがあります

たぶん私は

とても嘘つきです


なぜなら

自分にすら

心を偽っているからです


生きたいように生きず

言いたいことも言わず

まるで本心とは

違う着ぐるみを着て生きています


毎日


あなたに一つだけ

お願いがあります

どうか私に

何も期待しないでください


なぜなら

私には何も

与えられるものはないからです


施すときは常に

どこかで見返りを期待し

この胸の中身は

偽りの希望すら見せてあげれないほど


空っぽ


あなたに一つだけ

お聞きしたいことがあります


優しさとは、なんですか

誠実さとは、なんですか


誰かを

人を

本気で愛することができたとして


どうしてそれを

ただの好意ではなく

愛だと言うことができるのですか


生きるとは、どういうことですか


教えて


あなたに一つだけ

聞かせたい夢があります


人は花を見て

心癒されるとき

その花が枯れて散るとき

悲しい気持ちになります


いつかこの命が絶えるとき

この存在が消えるとき

せめて誰も悲しませず

風に戻れたなら


いつか世界から

一つの悲しみもなくせたなら


それはきっと


愛もなく

希望もない


そんな世界


たった一つの

夢ですら


だとしたら

そんな夢はもう捨ててしまっていいでしょうか


たった一つの

たとえ一つだけの

夢だったとしても



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