あの日と同じ夕陽

いつもの帰り道で別れたあなたを

気づかれないようにそっと

振り返って胸に焼き付けた


夕陽に染まったあなたの背中


トクンとなった気持ちの意味を

過ぎ去った時間はそれだけを


私に教えてくれた


ふざけて掴んだ あなたの腕は

思ってたよりもがっしりしていて


その腕に包まれるのが誰になろうと


私の心はずっと

あなたの記憶を抱きしめている


あの日と同じ夕陽がまた

遠くの街並みに沈んでいく



はじめて下の名前で呼んでくれた日を

今でもときどき思い出して

小さな声でそっと呟いた


夕陽に消えたあなたの名前


変わってしまうのが怖かった

ずっとこのまま続くと思っていた


二人の時間だけは止まるって…


あなたとの時間が 交わした言葉が

いつしか私のすべてになって


その声で呼ばれるのが誰であろうと


私の心はいつも

あなたの名前を呼んでいる


あの日と同じ夕陽がまた

遠くの街並みに滲んでいく



何かを言おうとして あなたが声をつまらせた

あの日の帰り道

どうして、その一言が待てなかったのだろう



あなたとの日々が かけがえのない毎日が

夜がくるたびに遠い思い出になっても


たとえあなたが誰を好きになろうと


私の心の一番奥には

いつでもあなたが微笑んでいる


あの日と同じ夕陽をまた

あなたはどこかで眺めている


あの日と同じ夕陽はまた

きっとあなたを照らしている



_________________________________________________


一つ前の「君に会いたい」と合わせて読んでください。

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