異常な日常回はもはや日常と言えるのか?
第30話 アホ毛病に感染したZE☆
「バリィバキュロムッ!」
『伝説の合体パチモンになるんじゃない』
朝の日課となりつつある渾身の叫びをあげ、窓の外から広がる太陽の光を全身に浴びながら全力で飛び起きる。
「ギニャァァァァァァァァッ!」
猫がすごい勢いのいびきで完全に目が覚めた。
「というわけで、雪!着替えよろしく!」
『そろそろ自分で着替えられるようになってくれよ』
「いいのか?俺のセンスをあてにしたらもう大事なところ以外を隠すようなファッションだぜ?」
『喜んで着替えさせていただきます!』
雪はそう叫んで、せっせと着替えを始めた。
ちなみに俺はもう1人で着替えができるほどに脱いでいるが、こうすることで妹の生着替えを合法的に覗いている感覚がしてやめられない止まらない!
「ほい、できたぞ…」
今日は動きやすさ重視のホットパンツにTシャツ姿。惜しげもなく晒している白い柔肌に自分で自分に欲情する。
そのことを報告するなり、雪はまるでプログラミングされた機械のように「キモ」と冷淡に告げられ、新しい何かに目覚めそうになるのもいつものことである。
雪にイアの操縦を任せようと、俺は精神世界であくびをして、眠ろうとしたその時…
『アホ毛………』
イアの白髪に、ピンと立っているアホ毛が目に入った。そう、1部のキャラクターのトレードマークとも呼ばれているアホ毛。割と人気のある体の部位である。(作者の主観)
「チッ…」
雪は舌打ちして、水場に貯めてある水に手をつけ、そっと髪を撫でた。
『ただし何も起こらなかった』
どうやら髪のレベルが高かったらしい。アホ毛は雪に反抗した。
「…」
もう1度…
『何も起こらなかった』
2回目…
『ピーン!』
3回、以下略
「ウゼェェェェェッ!クソ兄貴並みにウゼエエエエエエエエ!」
4、5回目、とうとう雪がキレてしまった。
あと正直アホ毛並みのウザさに認定されたことは悲しい。俺ならもっとウザさの高みに登れるはずだ。訂正求む!
「最終手段だ」
雪はハサミを持ってきた。
流石にこれなら……
雪はほくそ笑み、そのアホ毛との決着を…
ガキッ…!
「『は?』」
おい。
ハサミが折れたんぞ…凄まじいアホ毛の強度。アホ毛というより鋼みたい。
毛にこの言葉はおかしいが、アホ毛には傷ひとつ、ついていない。
…………………………………
『よし、朝飯食いに行こうぜ!』
「そうだな」
諦めました。毛の強度は異世界だからしょうがない。そりゃそうだよね。異世界だから髪がハサミを砕くなんてよくあることだよね。
「こんな異世界は嫌だ上位にランクインしそうな文言を残すのはやめてもらって良いか?」
というわけで、異世界特典の帽子を被って、朝食をいただいた。
♣︎
〜今回のあらすじ〜
アホ毛>ハサミ QED証明終了
♣︎
「エイル!おはよう」
最早、学生仲かと言われんばかりに親しくなったエイルとは、クエストを受けに行く用事がなくとも、待ち合わせするようになっていた。
街中をダッシュして、エイルの元へ着地。
「おはようございます!イアさ…ん—ッ!!」
何故か途中まで聖母のような笑みを浮かべていたエイルはすぐにその表情を引っ込めた。
「イアさん…もしかして、アホ毛病にかかっていませんか!?」
『なんだその病名は。アホ毛うんぬんより、その病名つけた奴がアホだろ』
ポカンとしている俺にエイルは手鏡を俺の頭に向けた。
………動いている。アホ毛が動いている…風とかそんなの関係なしに、アンテナみたいに動いている…
うん。アホ毛ってなんだっけ?オレの知っているアホ毛は、もっと女子があると愛嬌があるはずのものなんだ。(作者の主観)
鋼の強度を持っていたり、アンテナのようになったり、病気にされるようなものではないんだよ。
『「アホ毛の新たな可能性を感じたよ」』
少なくとも、元の世界で1冊出せるくらいには、可能性を感じた。
「アホ毛病を甘く見てはいけません!アホ毛病はかかった当初から鋼の強度を持っていて、それからアホ毛が頭に食い込むんです!それが3日ほど続き、その後は、その人自身がアホになってしまうんです!」
※前例 アホになった人が道端の花を食う。妹の結婚を前に、こんな思いをするなら草や花に生まれたかったなど意味不明な供述。嘔吐物からアリウムが発見。(花言葉 深い悲しみ)
節子、それ多分アホ毛関係ない。ただのやばい変態や。シスコンの俺には分かる。雪が結婚するってなったら似たような行動を取る。
『そうなったら全力でぶん殴ってやる』
心を読むのやめい。
「と、とにかく、遊ぶのは中止にして、早く薬を買いにいきましょう!大体の人が症状を甘く見て取り返しのつかないことになっているんです!」
♣︎
というわけで、安くなっている瓶詰めのアホ毛病特効薬を買ってきた。
飲んで1日中寝ていれば、アホ毛が引っ込むそう。
……アホ毛が引っ込むというパワーワード…
そういうわけで、意外にもピュアな妹は、その薬をぐびっと飲み干し、1日中寝ることにした。
……後日…
「あ、アホ毛が引っ込んでる…」
いの1番に鏡を見に行った雪はそんなことを呟き、これにて、アホ毛病を完治することに成功した。
……結局アホ毛病とはなんだったのだ…
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