第29話 見学会終了のお知らせ。

「というわけで…お世話になりました!」


一通り見学も終わり、マインを弄っていると長いようで短かった見学会は終わりを迎えた。


本来ならもっと早く切り上げるつもりだったようだったが、他人の個人情報を覗くのが止められなかったらしい。薬物かな?


「じゃあな、マイン!また来るから!」


「2度と来るな!」


ちなみに、怒り心頭の雪には散々殴られそうになり、俺には散々おもちゃにされた影響で、トータルでイアそのものが嫌われてしまったらしい。


「博士、いつもは引きこもっていらっしゃるのに、随分と外にでるようになったのですね?」


「人をニート扱いするんじゃない」


ほう、外にでるようになったのはいいことだ。このままこの百合学院に新たな性癖を爆誕することを楽しみにしている。


……男の娘学院…


いや、どっちみち地獄でした。


そんなことを思いながら校門の前で別れの挨拶を済ませていたエイルはぽつりと呟いた。


「なんですか…あの娘?私の性癖にどストライクなんですが…」


エイルさん?


それは、男か女かどっちの性別で判断してくるのでずいぶん変わってくると思うんですが?


ただ、どっちの意味を取っても博士に引かれることには変わりはないようです。


そんな状況を踏まえ、俺はポツリ。


「どストライクって言葉、なんか卑猥だよな」


俺のその発言に、何故か集まった博士と生徒会長、エイルのファンが真顔になり、言った。


「「「「『ちょっと何言ってるかわかんない』」」」」


………なんでわかんねぇだよ…


          ♣︎


「さて、帰ったぞー!5話ぶりの帰りー!」


『時間としてはそんなに経ってないのに、そう言われるとすごい時間が経っているように感じる不思議』


「ニャー!」


と、この前のキメラ事件の報酬で得た金で1ヶ月分の支払いを終えた宿屋のベッドにダイブすると、午前中間放っておいた生首猫が跳ねながらこちらに向かってきた。


『あーよしよし、正直干物になっていると思ったけど、良くなかった良くなかった!よし、今日は猫の干物にしようぜ!』


雪は俺の精神世界に幽閉しているのに、何故かこの猫は聞こえているようにビクッとした。


『まぁ、製作元に返すのがいいか』


窓を見上げるともう日も傾き、夕焼けが俺たちを照らしている。


「さっさと飯を食って寝ようぜ」


『ああ、そうだな私ケバケバで…』


「それだけは却下で!」


          ♣︎


さてさて、飲食店。今日は俺たちの行きつけの店ではなく、せっかく金が入ったので、ちょっとおしゃれな店でチキンを貪っていた。


「この鶏肉うめえな。例えるなら妹の下着くらい」


『死ね。ふぁっきゅー!』


久々に食べるゲデモノ以外の食材に、俺は安心して舌鼓を打ち、妹には沼ってしまったゲデモノの沼を脱出させるために、チキンを食べさせた。


「……いや、まだケバケバよりは………」


だからなんなのだろうか、ケバケバとは…


謎は深まるばかりである。


一通り飯を食い終わって俺たちは帰路についていた。


そこには、どこにいくにも一緒になってしまった妹がいて…


……


俺はふっと笑った。


「こんな、異世界生活が続くといいな!」


『いや、こんな兄と一緒にいたくないから早く離れてくれ』


ハハ。思春期の俺に大ダメージ!






































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