第9話 いいショタ悪いショタ
「いらっしゃい!坊主、ここは酒飲むところだぜ?」
誰かが来たようだ。
「ここにいらっしゃいましたかカラカラさん。」
「他人行儀だな、カラカラちゃんだろ?ウィル。」
現われたのはたぶん魔法使い?魔法使い見習い?ちっちゃくて、目が見えないくらいの前髪
そしてサラサラ金髪のショタ。
「さっき話していたこいつがウィルだ。こっちはズーコっていう面白いヤツなんだ。」
「どう、面白いですか?」
「それはだな。」
「ワァーワァーワァー。」と話しを遮る私、だって無垢なショタに聞かせる話じゃない。
「僕には刺激の強い話だから、耳をふさごうか?」
「はぁ?何言っての?この腐れビッ★が!!ナメるなよ、こっちはもう300年生きてるんだぞオリャ。」
・・・はて、私いまかわいいショタに話しかけていたような、なぜにおっさんに罵倒をされているんでしょうか?
「目の前には僕しかいないよね?」
「寝ぼけてるんか?このビッ★がッ。さっきから話しているだろうが。」
あぁ神様、この世界にはふぇーんとかいうショタなんて幻想なんでしょうか?
「まぁまぁ、ウィルそこらへんで許してやれよ。」
恨み発泡酒を飲み干しながら、やっとカラカラちゃんが救いの手を差し伸べてくれた。
「ウィルお前も飲むだろ?」
「うん、僕は100年物のグラッパね。」
その見た目で焼酎かよ。
このウィルさん。どうも魔法使い見習いでなく。れっきとした魔女らしい。
魔法使いは人間だけど、魔女は魔族なんだよな。紛らわしい。
でもこのおっさん、いやこの子はどうも男の子なんだけど、魔女なの?
性別なんて簡単に変えられる魔族にとって、見た目で判断できないのよね。
カラカラちゃんの説明によれば、魔女の中でもそこそこの希少種らしい。
だいたいゲームでも強いボスになればなるほどあっさり小さいし、そんなものなんだろう。
で、このウィルさんとカラカラちゃんとの話はこうだった。
紙を読んだ人間のマナをページごとに定着させる。
人間が本を閉じたらページごとに記録されたマナが表紙に集まる。
表紙には魔界との一時的な通路を開くが、それは人間が寝静まった時間に起動するようにセットする。
魔法陣が見つからないように、表紙は二重構造にする。
「でそもそもマナを吸収する紙はどうするんだ?」敏腕社員カラカラさんが質問する。
「原料の段階でマナを吸収する魔法をかければ可能です。しかし、マナ吸収には鍵が必要です。」
「鍵ってなんだ?」
「それは人間がマナ吸収紙をある一定時間意識を集中させることです。人間とマナ吸収紙に一本の道ができるイメージでしょうか。」
「ようは人間がマナ吸収紙にくぎ付けになればいいんだな。」
「はい、そうです。」
「なら話は早い。ウィルこの日記を見てくれ。」
!!!!!「ちょっと待った~~~」
「おぉ 静かだったから帰ったかと思ったぞズーコ。どうした?」
「どうしたもこうしたも、その日記をそんなおっさ、いやそんな子に見せたらダメですよ。」
「んだこのババ★、減るもんでもなし、どうせ臭い妄想でも書いてあるんだろうが。貸せってんだ。」
私のBLノートはこうして、また会ったばかりのおっさんショタに奪われたのでした。
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ぶりーき
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