Happiness どらっぐ

わたちょ

プロローグ

 コロンと手の中で二つ。薬が転がる。それだけがよく見えた。他は自分の手すらも掠れ殆ど見えない。闇の中で二粒だけが存在している。自分が分からなかった。何をしようとしているのか。何を考えているのか分からなかった。分かろうともしなかった。もう何もかもがどうでも良かった。二つの薬が舌に乗る。

 水に流され喉を通り過ぎていく。

 胃に落ちていく感触。

 存在していたものがなくなりそこがどこかすら分からなくなる。何もないならそれは白だ。白の中にいた。体に熱が灯った。

 急激に全身に回り内側からすべてを焼き尽くそうとする。白い世界が眩く輝く。

 遠のいていく意識。



……ああ……疲れたんだ。

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