第4話


 クラークの屋敷で迎える初めての夜に、クリスティーナの胸は高まった。


 晩餐が終わり、湯浴みを済ませた後、彼女は用意された夜着に目をやった。


 こういう時は、色気がある衣装が用意されるというけれども、それにしても随分控えめな感じがするわ・・・。


 マリオン様は清楚な女性が好みなのかしら・・・。


 侍女がクリスティーナに着せてくれたその夜着は、肌触りの良い白い厚手の生地に、シンプルな装飾が施された、ほとんど身体が隠れるような丈の長いものだった。


 侍女は、用が済むと挨拶をして去っていった。



「入ってもいいかな?」


 唐突に部屋の外からマリオンの声が聞こえて、クリスティーナは緊張しつつ居住まいを正して、彼の入室を促した。


 入ってきた彼は夜着ではなく、なぜか正装のままだった。


 クリスティーナは不思議に思ったが、仕事がまだ残っているからと聞かされて、そうであるならば仕方がないと納得した。


「夜更かしすると君の美貌に障るだろうから、なるべく早く眠るんだよ、クリスティーナ」


 マリオンはそう言うと、クリスティーナの額に軽いキスを落とした。


「よい夜を・・・」


 彼は静かに扉を閉めて部屋を出て行った。



 少し風変りな初夜ではあったが、マリオンは忙しいのだから仕方ない、きっと夫婦の形というのはそれぞれあって、一つではないのだろう、とクリスティーナは思ったのだった。


 そのあと、ベッドに横になったクリスティーナは、式の疲れもあってか、直ぐに深く眠ってしまった。

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