ゴーレム少女（仮）

第1話

　海神情華（わだつみ　じょうか）は世界の破滅を夢見る。

　一日、二日、三日と世界に変化はなく。

　一週間、一月、一年と待てども世界は破滅しない。

　やがて、世界の破滅を願うぐらいなら自身の命を摘み取る方が手っ取り早いことに気が付く。しかし、それを実行できない自身が情けなくて涙を流した。

　海神情華は愛に飢えている。

　見栄を張って借りた２ＬＤＫの室内はうまいこと使いこなせていない。

　満たされることのない承認欲求に身を焦がし、夜な夜な立ち寄ったホストクラブで大金を巻き上げられて、やるせなさにやはり涙した。

　私が求めてる愛情とはかけ離れている。

　ただ無心に注がれる虚飾に塗れた言葉などいらない。と、実感するのにわざわざこんな経験をしないと解らない。そんな自分が惨めで仕方がない。

　泣きながら食べた流行のスイーツは、情華になんのときめきも抱かせなかった。

　心の渇きを癒したい。癒せないなら世界など滅んでしまえ。

　そうやって、今日も彼女は世界を呪い。自分を呪い。周囲のありとあらゆるを忌み嫌う。いつしか心は閉ざされがちになり他者とのコミュニケーションは上手くいかないようになっていた。