一度きりのフェスのレポート
「天草西海岸MAF CAMP 2014 レポート」(2014)https://note.com/rakuha/n/n761d654bf9b0 を編集しています。
私はまだ、音楽フェスに行ったことがありませんでした。そんな中熊本でフェスが行われると聞いたのが、開催二日前。
時は5月24日。場所は天草、下田の廃校。ドミトリー店主の企画により、建てたばかりで廃校となってしまった小学校を使ったフェスが計画されたのです。下田は熊本県内とはいえ熊本市内から二時間半はかかる場所です。天草には電車も通っていません。有料道路も一部のみです。そんな中果たして、フェスは成功するのでしょうか?
ちなみに心配だったのは雨。会場は体育館とはいえ、私はエリートの雨男なのです。イベントはだいたい雨。実は以前福岡のフェスに参戦しようとしたのですが、大雨により中止。電車は止まり、太宰府インターは土砂崩れで高速道路通行止め、つまり物理的に近付くことすらできない状況でした。両親も雨男・雨女の家系です。披露宴では当然台風が来ました。五月の尾瀬に雪を降らせたこともあったそうです。数年前九州旅行に来た時も、何年に一回かの大型台風により、ホテルに閉じ込められていました。
そんな不安の中でしたが、同行者に恵まれたのかいい天気でした。美しい自然の中たどり着いた下田。私にとって二回目でしたが、なかなか来れる場所ではありません。
さて、そんな天草の地、ロックとは無縁そうな田舎道やトンネルを抜け、小学校が見えてきました。おじちゃんたちが交通整備しています。露店が並んでます。グラウンドが駐車場になってます。これは、夏祭りの空気です。
お腹が空いたので、まずは食べるものを探します。地元のお店が多く出展していて、陶器やオリーブの苗なども売られています。これはあれです、道の駅の雰囲気です。私は網焼きしているにおいに誘われ、豚丼を買いました。
と、突然体育館から歌声が聴こえてきました。なんか、唐突に始まったようです。会場に向かいます。
中は完全に体育館。まず目に付いたのは、みかん箱。その上におばあちゃんたちが腰掛けています。地元の方たちが多く来ているんですね。前の方はまだ空いていたので、かなりいい場所に腰掛けることができました。
一番目は、マッカーサーアコンチ。舞台の上に、さらに審判台を乗せてその上で歌っています。
良い具合にアングラ臭というか、ダークだけどハッピーな感じで良かったです。
二組目はPredawn。ソロの弾き語り女性アーティストです。静かなたたずまいから透き通るような声で、主に英語で歌ってました。MCは非常にシャイでした。イルカを見てきたそうです。そうです、天草はイルカがおすすめなんです(私は見たことがない)。
休憩時間に外に出てみると、方言がきつすぎて詳しくはわからなかったのですが、スタッフの方たちが「介護疲れで大変」という話をしていました。年配の方だけではなく、親子連れも多いです。やっぱり夏祭りの空気です。
そして三組目は曽我部恵一。ここでぐっと人が増えました。ファンの方たちが駆けつけたようです。ライブパフォーマンスもさすがで、一気に盛り上がりました。いや、私は前の方だったので後ろの様子は詳しくはわからないんですが。
四組目はorange pekoe。個人的には一番楽しみにしていました。もう、最初から弾き出されるような声で、来てよかったーと思いました。しっとりとした曲もよかったでございます。
一部最後は松本素生(from GOING UNDER GROUND)。徹夜だったそうですが、迫力あるパフォーマンスでした。また、ライブでは初めてという「おれ、ねこ」を男の子のリクエストにより披露。やっぱりNHKで歌うと大きいぜー、と田舎で実感した様子です。
二部は地元の方のハイヤなどだったのですが、さすがに帰らなければならずここで撤収。特に渋滞が起こることもなく、みなさん家路についていました。
このような形のフェスは、色々手探りの中で準備され大変だったのではなかったかと思います。それでも予想していたよりもすばらしい点がいくつかありました。まず、セット。舞台上には地元の方が作ったオブジェが飾られており、天草の空気感が演出されていました。
また、照明は理科実験室にあるようなスライドを使っており、水と注射器や虫眼鏡を使ってキラキラした光を作っていました。また、その土台にはやはり理科室にあるような机・椅子が使われていました。教室でも絵画の展示や地元のものの販売などしていましたし、地域振興のイベントとしてかなり未来の感じられるものでした。
それだけに強く思ったのですが……もっと宣伝しなっせ!
天草の人ですら一週間前にたまたま知ったらしいですし、道中の看板もほとんどが目立たない文字だけのものでしたし、ツイッターアカウントなどもおとなしいですし、天草に来て何ができるという話が伝わってきませんし、やっぱり人が来ないとお金も大変で次回以降開催できるのかという話にもなるでしょうし……というわけでですね、微力ながら私もレポートを書いて皆様に知ってもらえればと思ったのです。
はっきり言って熊本は観光戦略が下手です。そしてこれはすぐにどうこうなるとも思いません。だからみんなで盛り上げていければと思います。そして私は音楽が好きです。素晴らしい演奏が多く、このフェスに行けてよかったと思っています。ですから、切実に思うのです。
「届け!」
そんなわけで、「天草西海岸MAF CAMP 2015」楽しみにしています。
(以下追記)
結局、第2回以降はなかったようです。
まあ、そうかなあ、と。実は曽我部恵一以外は、明確なファンの姿というのはなくて、いまいち盛り上がりに欠ける様子でした。実はこの後別の熊本のフェスにも行ったのですが、すごいアーティストでもあまり盛り上がっていませんでした。まず「フェス感」がなかったように感じます。地域の特徴なのでしょうか?
また、やはり遠いです。熊本市からでも遠く感じるのですから、県外の人にとってはとんでもなく遠いでしょう。「ちょっと行くか」では無理なのです。
そして元の記事にも書きましたが、あまり知られていませんでした。特にキャンプ場は一組しか設営しておらず、来た人の多くは「泊まれたんだー」と思ったのではないでしょうか。
続かなかったのはとても残念ですが、記録として残しておく価値があると思うので今回記事にしました。
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