第708話 わちゃわちゃガチャ大会

 ミスフィートさんと和泉以外のメンバーは、可愛い服がいっぱい手に入ると噂のガチャを始めて見て、ワクワクが止まらないといった感じだ。



「小烏丸は、このガチャってヤツで服をいっぱい手に入れていたんだよね?」

「その通り!魔石を10個投入してそこのレバーを回すと、中からカプセルが出てくるんだ。そのカプセルを開けると中にカードが入っていて、書かれているジャンルのアイテムが出現するんだ」

「ん~~~、話だけ聞いても実際にやってみなきゃよく分からないわね~」

「上に何か色々書いてあるっスよ!」

「ガチャの説明書だ。まあこれを読んでも意味不明だろうけど、【カプセルの色によりレア度が変化】って書いてるだろ?そこがかなり重要で、なんと赤いカプセルが出ると服が確定なんだ!」


「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 ほぼ全員が服狙いなので、彼女達にとってはこの情報が一番重要なのだ。

 ミスフィートさんは面白いモノ狙いかもしれんけど。



「デラックスガチャ以外のヤツでも、赤カプセルは服確定なのか?」

「いえ、今のはデラックスガチャの話ですね。それ以外のガチャで赤いカプセルを引いても服確定ではないと思います。属性ガチャなんかだと装備品しか出て来ないと思いますし。ノーマルガチャの赤カプセルからは雑貨品が出てきます」

「レジェンドガチャってのは!?」

「特大の魔石を投入することで回せる最強ガチャなんだが、特大の魔石はボスを倒さないと手に入らないので今回は諦めてくれ。京の都ダンジョンの深層まで潜れば手に入る可能性が高いけど、ボスはマジで強いから下手したら死ぬかもしれん」

「へ~~~~~!それって命を懸けるほどのモノなの?」

「人によるんじゃないか?大当たりを引けば加護が貰えたりするんで、運が良ければ命を懸けるほどの見返りがあるぞ!」

「加護ねえ・・・。アタシは格好良い服が出ればいいや!」

「ワタクシも豪華なドレスが欲しいですわ~!」

「うん。加護とかどうでもいい。欲しいのは服!」

「最低でも三着は手に入れる!」



 やっぱ女性陣は、みんな服狙いですよね~。


 今まで『着たきりすずめ』だったから、新しい服を手に入れるのが夢だったハズなんだよ。この機会に沢山手に入れてくれ!


 まずは手本を見せるということで、ミスフィートさんから回すことになった。

 あとは何となく身分順って感じでいくらしい。


 今回は参加者が9名もいるので、サクサク進めていかんと時間が掛かりそうだ。



「久々だからワクワクするな!何か面白いモノ出ろ!」



 ガチャコン!



「お!?今の音って服じゃないのか!?」

「赤いカプセルの音ですね!」


「「いきなり服キターーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 中のカードが服なのを確認すると、カプセルがポフッと変化したが、なぜかミスフィートさんの手には『小さな白くま』が乗っていた。



「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



「服と書いてあったよな?」

「あっ、そうか!これは赤ちゃんに着せる『ベビー服』ですね!ほら、この大きな穴から顔を出すんですよ」

「なるほど!赤ちゃんに着せる服だったのか!」


「「わあああああああああ~~~~~~~~~~!」」



 いきなり斜め上って感じの着ぐるみ服が出たので驚いたけど、これから出産・子育てを控えている女性陣には大当たりの一品で、大いに盛り上がった。



「うわ~、すごく緊張する!!」



 次は、人生初のガチャに挑むカーラだ。


 始めの1回は今まで溜め込んでいた運が炸裂する傾向があるので、このチャンスを是非生かしてもらいたいところ。



 ガチャコン! キュピン!



「わわわっ!え!?何なの、今の音って!?」

「当たりの音だぞ!確か今の音は銀カプセルだ!」

「やったーーーーーーーーーー!!」


 カーラが銀カプセルを開けた。


「エーーーーー、【魔道具】って書いてあるんだけど・・・」



 服じゃないことにガッカリしていたカーラだったが、カプセルから出てきたのは、女性用のオシャレな腕時計だった。



「腕時計じゃねえか!それ大当たりだぞ!ホラ、俺のと一緒のヤツ!!」



 カーラに俺の腕時計を見せると、自分のと見比べてぱぁ~っと笑顔になった。



「服じゃなかったけどこれは嬉しい!ずっと欲しかったんだーーーーー!」

「良かったではないか!でも時計持ちは少ないから、頻繁に時間を聞かれることになるぞ!」

「うわ、それは面倒臭いわね~!」

「持ってない人より全然いいではないですか!私も自分の時計が欲しいです」



 グミも目覚まし時計をGETしてたし、時計の出現率は結構高めな感じだから、ワンチャンあるんじゃないかな?


 実はチェリンも、コテツ商店で置時計を発掘して手に入れてたりする。



 ガチャコン!



 時計が欲しいと言っていたカトレアだったが、引き当てたのは赤カプセル。

 やたらと高級感のある黒のワンピースだった。



「・・・・・・・・・・・・・・・」



 ジッと服を見つめたままピクリともしないカトレアだったが、目がキラキラ輝いていてとても喜んでるのがわかった。



「おめでとう!すぐにでも着てみたいだろうから、俺に預けてくれれば強化しといてやるぞ。マジックバッグも作らなきゃならんから、強化値++までだけどな」

「お願いします!!」

「服が引けてよかったわね、カトレア!」

「私も『白くま』を引いたぞ!」

「それはそれで羨ましいけど、まずは子供服よりも自分の服が欲しいわね~」

「うん、まずは自分の服!」

「時計でもいい!」



 とりあえず今のところは、全員が当たりを引いてるな。

 やっぱガチャの一発目は当たりを引きやすいみたいだから、みんな頑張れ!


 それにしても、さっきからナターシャが何か上の空って感じなんだけど、あとで理由を聞いてみた方がいいかもしれん。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る